45 / 56
7-2.
しおりを挟む私は秋人に、「どうぞ好きにお使い下さい」とだけ返しておいた。何をどう好きに使うかは、鍋を食べてからのお楽しみである。
ちなみにこのBL鍋のベースは塩で、ダシは、腐女子の方々のご想像通りのものをブレンドした。
マカや高麗人参、スッポンやマムシ、ウナギ、トナカイの角、オットセイのペニス、豚の睾丸。
この材料を集めるにはさほど難しくなかった。なぜならパパが、研究材料と称して研究室に隠し持っていたからだ。ママのためなのか、それとも別の女のためなのかは知らない。
ダシですらこれだけ精力のつくものばかり、さらにそこに媚薬を投入するのだから、彼らが彼らを求め合うのは間違いない。
もう私の中では笑いが止まらなかった。
BLをモニタリングできるだけでなく、それを物的証拠として婚約の申し出を断ることができるのだから。
「でも朱南ちゃんが突然部屋に誘うなんてどうしちゃったの?できれば2人っきりの時に誘ってほしかったのになあ~。」
「たまには皆で一緒にご飯でも食べたいなあって。卒業しちゃえば、皆忙しくて会えなくなるかもしれないでしょ?」
そんなことを言えば、3人が「絶対に俺のことではない。だって朱南とは結婚するんだから」という空気を醸し出し、私の言葉を無視していた。
「そうそう、僕さ、朱南ちゃんと同じ研究職に就こうかと考えてるんだよ。だから同じ企業に就職したらヨロシクね♡」
「へ、へえ~···そっか、そうなんだ。」
少し自分が動揺してしまったことをすぐに後悔した。私の動揺を見て取った心陽君が、ニヤリと口角を上げるのが見えたから。
くっ、なんか悔しいな。
「お前がいくら優秀な研究員だとしても、うちの会社に面接に来た時点で落としてやるからな!」
「あはは~☆皆藤先輩はもう次期社長の座が決まってるもんね。だから朱南ちゃんとは当然一緒には働けないよね~。」
「はあ?!」と怒りの声を心陽君に上げる琉生。心陽君がそれを無視すると、すぐに琉生がスマホを手にして必死に画面をタップし始めた。
ブーとパーカーのポケットでバイブが鳴れば、自分のスマホに琉生から、
『いやだいやだいやだよ朱南ー!!!!俺は絶対にお前を専属の秘書にして、毎日社長室でお前を縛ったり、あんな恰好やこんな格好させて凌辱して凌辱して卑猥な言葉いっ~ぱい言わせてウッハー、ウソウソ、嘘だよ朱南、怒った?ごめんマジごめん。
···ごめん。本当にごめんなさい。お詫び申す。いやだいやだよ見捨てないでよ、俺を捨てないで朱南、もし俺を捨てたら屋上から飛び降りるから。飛び降りてずっと朱南を呪ってやるからなあああ』
という独り漫談でもしているかのようなメッセージが入ってきた。皆スマホの文字入力するのが格段に速くなっている。
ここで勝手に機嫌を損ねて帰られても困ると思い、私は適当に、陽気なバニーガールの"チュ♡"というスタンプで返しておいた。
するとそのメッセージを見た琉生の鼻息が荒くなり、「俺のバニーガール、これで寿命が3年延びた」と呟いた。たったの3年かよ。お前の私に対する想いはそんなもんか。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる