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4.魔王様と衝撃の事実
しおりを挟む湯加減は最高だった。広い浴槽に手足をゆったりと伸ばすと、身体の奥から声が出た。
気持ちいい~。
こんな広い風呂に入るのは何年振りだろう。
今年の年末年始には温泉に行こうかな。
「陛下はマジシャンですか?」
「魔法は使うが、魔法使いではない」
「魔王様ですね」
「そうだ」
あまりに真面目な顔でフォルティスが頷くから、笑ってしまった。
「何か面白いことでもあったか?」
「いえ?」
「笑い過ぎて死んだりしないか?」
「陛下のなかの人間って弱過ぎません? 死なないですよ、そんな簡単に」
「人間は脆弱だ……寿命も短いし、仲良くなっても数十年で死んでしまう」
フォルティスは遠くを見つめ、哀しそうに言った。
親しい人を失ったのかもしれない。
湯の中でそっとフォルティスの手を掴み、心臓に近付けた。
手のひらから鼓動が伝わるだすだ。
「ね、ちゃんと生きてます。大丈夫、俺はそんな簡単に死なないですよ」
「そうみたいだな……」
安心したような顔でフォルティスは、俺の心臓あたりを撫でる。
くすぐったくて、身を捩るとくすくすと笑い出した。もう大丈夫みたい。
「陛下だって人間なんだから分かるでしょ?」
楽しそうなフォルティスをチラッと見やって問いかける。
「いや……私は魔王、種族で言えば魔族にあたるが……」
設定は揺るがないのか。
「はいはい。そうでしたね」
素っ気なく返すと、フォルティスは怪訝そうに眉を顰めた。
「ーー信じてないのか?」
「そういう設定だっていうのは分かってますよ。中学の友人にもいましたから」
「設定? 伊織、きみの世界には魔族がいないのか?」
「当たり前じゃないですか」
何を言ってるんだと言うと、フォルティスはパチンッと指を弾いた。
すると、風呂場の壁が全てが消失し、外の世界が広がった。
「ーー?!」
黄昏時の空を見たこともない動物や大型の鳥が飛び交う映画のような映像をバックにフォルティスは両手を広げてみせた。
「ようこそ、魔族と魔物が暮らす我が国へ」
「嘘だろ……」
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