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7.魔王様と気まずい朝 *
しおりを挟む頭が痛い。すごく痛い。が、この痛み方は覚えがある。二日酔いだ。
「昨日、そんなに呑んだっけなぁ……」
「起きたか、伊織」
「陛下……? え?」
寝起きの妙に艶めいたフォルティスの美しい顔が間近にあった。痛む頭の下にフォルティスの腕がある。
反対の腕はシーツの上から俺の腰を抱いていた。
「え?」
「昨日は楽しかったな?」
そう微笑むフォルティスは見える限り、服を着ていなかった。少なくとも上半身は裸だ。
恐る恐るシーツを捲ると、俺も裸だった。
「……したんですか?」
「覚えてないのか?」
腰を抱くフォルティスの腕が撫でるように身体の線を辿る。
嘘だろう?
「童貞捨てる前に処女喪失とか……キスは?」
「もう一度すれば思い出すか?」
フォルティスの指が口唇を撫でる。ぞくぞくしたが、何も思い出せない。
でも、もう一度ということはしたのか、フォルティスと。
「ファーストキスは覚えてたかったなぁ」
「……すまん」
しょんぼりと肩を落とす俺をフォルティスが励ますように優しく撫でる。
「謝らなくていいですよ。お互い大人なんですから」
「いや、そうじゃない。伊織が勘違いしてるから、つい嘘を。ーーそういう意味では、昨日何もなかったんだ」
「……本当ですか?」
「キスする寸前に伊織が寝落ちしたんだ」
残念そうな顔でフォルティスが俺を抱きしめた。素肌が触れ合うのがくすぐったくて、恥ずかしい。
「ええっと、……それはなんというか、すみません」
「今から仕切り直すか?」
耳に直接囁かれる声は低く色っぽい。首筋をキツく吸い上げられ、舐められた。
「んんーーッ」
「今ならきっと忘れないだろう?」
口唇は耳まで移動し、耳朶を水音をたてて吸われた。甘い痺れが背筋をかける。
非常にまずいことに気持ちいい。だめだ、このままだと流される。
フォルティスの胸をそっと押し、身を離す。
「素敵なお誘いですが、そろそろ起きないとお仕事があるんじゃないですか。魔王様?」
「残念だが、その通りだ」
俺の頬にキスしてフォルティスはベッドを抜け出した。
一瞬で着替え、長い髪を1つに束ねる。
「朝食は食べられそうか?」
「いいえ」
「分かった。水はここに置いておく。トイレとシャワーはそっちの扉の先。昼には戻って来るが、何かあればこのベルを鳴らしてくれ。すぐに戻る。それから、この部屋は私しか入れないから安心してくれ」
忙しなく説明するところを見ると、本当に時間がなかったらしい。
「いってらっしゃい」
そう言って手を振ると、フォルティスは虚をつかれたような顔をしたが、すぐに俺に近寄って来て額にキスをした。
「いってきます」
扉が完全に閉まるのを待って、俺はシーツの中で四つん這いになり、下半身に手を伸ばした。
我慢していたが、フォルティスに煽られた身体が疼く。
やばい……
陰茎は既に熱を持ち、頭をもたげている。そろりと撫でると腰が震えた。
ーー今から仕切り直すか?
さっき囁かれた言葉が蘇り、背筋に快感が走る。ベッドはフォルティスの匂いに満ちて、俺に追い討ちをかけた。
自身を手で包み、上下に動かす。
「あ、ぁ……ん、んぅ……」
気持ちいい。漏れる声をシーツに埋め、過ぎる快感を逃す。
「ふぁ……んん……ぁ……」
ーー今ならきっと忘れないだろう?
そう言って食まれた耳朶は未だに湿っている。
もし、あのまま流されていたら今頃、あの熱い口唇でここを咥えられたりしたんだろうか。
全身に口付けられ、舐められ、嬲られ……挿れられたり……
想像しただけで腰が跳ねる。どんどん中心に熱が集まっていく。限界が近い。
「ん、ん、へぃかぁ……」
先端を握り、親指で穴を弄ると、途端に熱は手の中で弾けた。
「んんーーッ はぁん……んん……」
ーー美味しそうだ、とても
やばいな。うっかり食べられそうだ。
そして、それをきっと俺は受け入れてしまうだろう。
せめてもの抵抗に美味しいものを作ろう。
俺より美味しいですよ、と。
この時の俺は魔王様の本当の力を知らなかった。
ーーまさか、人間への過保護が高じてこの部屋を監視していたなんて。そして、それを録画していたなんて。一年経っても映像が残っているなんて。
いつかどうにかして、消してやる。
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