1 / 5
1・
しおりを挟む
エリーサベトには生まれた時から婚約者がいる。
名前はレオナルド・ルヴァルド。
ルヴァルド王国第三王子だ。
何の因果か、このレオナルドのひとつ下という年齢で公爵家の令嬢として生まれてしまったせいで、幼い頃から婚約者としてレオナルドの世話を焼かされていた。
何を隠そうレオナルドは幼いころからポンコツだった。
剣を持てば転び、鍛錬しようとジョギングに連れ出せば猫を追いかけ、図書館に連れて行けば司書を口説く。
最初は可愛い王子の戯れぐらいにしか思っていなかった周りの者も、レオナルドが8歳になった頃にはいい加減気づいた。
この王子、無能じゃね?
王子にはもれなく英才教育が施される。
エリーサベトも同様の教育を受けたが、7歳の時すでに理論立てた会話ができた。教師への質疑応答も理解した上での発言であるため喜ばれ、必然的に教師とエリーサベトの会話が続く。
同じ部屋にいたレオナルドといえば、鉛筆を転がし、ノートを折り紙にし、本を読むふりをしながら寝ていた。
ポンコツ王子――
そんなあだ名が囁かれても、誰も不敬と騒がないぐらいレオナルドはポンコツだった。
けれども、異国出身の王妃の顔立ちを色濃く受け継いだレオナルドは、彫刻のような顔で、線の細さも相まって、黙っていると影のある(ように見える)美青年に育った。
落ち込むことは多々あれど、美形に弱い令嬢から慰められたり励まされたりしながら、レオナルドはのらりくらりと成長した。
周りの側近候補が似たり寄ったりだったので微妙に目立たずに済んだというか、王宮内の事情に詳しくない人からは気付かれないというか、王家が隠していたりなんだり。
14歳という多感な年齢になったころ、頼りない婚約者に嫌気がさしたエリーサベトは、わざと婚約破棄されようと、お転婆なふりをして乗馬に明け暮れてみたりした。残念ながら乗馬の才能が開花しただけで、婚約破棄には至らず、乗馬界のプリンセスと呼ばれるようになった。
そんな称号は要らない。
すでに、公爵令嬢という名のプリンセスだし。
(誰よ、殿下の手綱もしっかり握れとか言ったのは!)
それならばと、レオナルドの通う王立学園に入学した15歳のとき、レオナルドを差し置いて生徒会長になり、バリバリ仕事をして、レオナルドの面目を潰すことで婚約破棄を目論んだ。
結果、エリーサベトがただ忙しくなっただけで、レオナルドはどこ吹く風。可愛らしい令嬢たちと日々楽しそうにお茶をしていた。
(それならそれで誰かと噂になってくれればいいのに!! お気に入りの令嬢とか作らないのよね!?)
王家の教育が、そんなところでは発揮されている。悔しい。
それでも婚約破棄を諦めきれないまま16歳になったエリーサベトは、自分が誰かと偽装恋愛すればいいのではないかと無謀なことを考えた。
しかし、レオナルドの婚約者であるエリーサベトに対し、慕ってくる令息たちは皆、揃いも揃って紳士だった。絶妙な距離感を保つ能力、これぞ貴族令息。
(決して私がモテないわけじゃなくてよ!?)
名前はレオナルド・ルヴァルド。
ルヴァルド王国第三王子だ。
何の因果か、このレオナルドのひとつ下という年齢で公爵家の令嬢として生まれてしまったせいで、幼い頃から婚約者としてレオナルドの世話を焼かされていた。
何を隠そうレオナルドは幼いころからポンコツだった。
剣を持てば転び、鍛錬しようとジョギングに連れ出せば猫を追いかけ、図書館に連れて行けば司書を口説く。
最初は可愛い王子の戯れぐらいにしか思っていなかった周りの者も、レオナルドが8歳になった頃にはいい加減気づいた。
この王子、無能じゃね?
王子にはもれなく英才教育が施される。
エリーサベトも同様の教育を受けたが、7歳の時すでに理論立てた会話ができた。教師への質疑応答も理解した上での発言であるため喜ばれ、必然的に教師とエリーサベトの会話が続く。
同じ部屋にいたレオナルドといえば、鉛筆を転がし、ノートを折り紙にし、本を読むふりをしながら寝ていた。
ポンコツ王子――
そんなあだ名が囁かれても、誰も不敬と騒がないぐらいレオナルドはポンコツだった。
けれども、異国出身の王妃の顔立ちを色濃く受け継いだレオナルドは、彫刻のような顔で、線の細さも相まって、黙っていると影のある(ように見える)美青年に育った。
落ち込むことは多々あれど、美形に弱い令嬢から慰められたり励まされたりしながら、レオナルドはのらりくらりと成長した。
周りの側近候補が似たり寄ったりだったので微妙に目立たずに済んだというか、王宮内の事情に詳しくない人からは気付かれないというか、王家が隠していたりなんだり。
14歳という多感な年齢になったころ、頼りない婚約者に嫌気がさしたエリーサベトは、わざと婚約破棄されようと、お転婆なふりをして乗馬に明け暮れてみたりした。残念ながら乗馬の才能が開花しただけで、婚約破棄には至らず、乗馬界のプリンセスと呼ばれるようになった。
そんな称号は要らない。
すでに、公爵令嬢という名のプリンセスだし。
(誰よ、殿下の手綱もしっかり握れとか言ったのは!)
それならばと、レオナルドの通う王立学園に入学した15歳のとき、レオナルドを差し置いて生徒会長になり、バリバリ仕事をして、レオナルドの面目を潰すことで婚約破棄を目論んだ。
結果、エリーサベトがただ忙しくなっただけで、レオナルドはどこ吹く風。可愛らしい令嬢たちと日々楽しそうにお茶をしていた。
(それならそれで誰かと噂になってくれればいいのに!! お気に入りの令嬢とか作らないのよね!?)
王家の教育が、そんなところでは発揮されている。悔しい。
それでも婚約破棄を諦めきれないまま16歳になったエリーサベトは、自分が誰かと偽装恋愛すればいいのではないかと無謀なことを考えた。
しかし、レオナルドの婚約者であるエリーサベトに対し、慕ってくる令息たちは皆、揃いも揃って紳士だった。絶妙な距離感を保つ能力、これぞ貴族令息。
(決して私がモテないわけじゃなくてよ!?)
150
あなたにおすすめの小説
5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!
158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・
2話完結を目指してます!
女騎士と文官男子は婚約して10年の月日が流れた
宮野 楓
恋愛
幼馴染のエリック・リウェンとの婚約が家同士に整えられて早10年。 リサは25の誕生日である日に誕生日プレゼントも届かず、婚約に終わりを告げる事決める。 だがエリックはリサの事を……
【完結】真実の愛のキスで呪い解いたの私ですけど、婚約破棄の上断罪されて処刑されました。時間が戻ったので全力で逃げます。
かのん
恋愛
真実の愛のキスで、婚約者の王子の呪いを解いたエレナ。
けれど、何故か王子は別の女性が呪いを解いたと勘違い。そしてあれよあれよという間にエレナは見知らぬ罪を着せられて処刑されてしまう。
「ぎゃあぁぁぁぁ!」 これは。処刑台にて首チョンパされた瞬間、王子にキスした時間が巻き戻った少女が、全力で王子から逃げた物語。
ゆるふわ設定です。ご容赦ください。全16話。本日より毎日更新です。短めのお話ですので、気楽に頭ふわっと読んでもらえると嬉しいです。※王子とは結ばれません。 作者かのん
.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.ホットランキング8位→3位にあがりました!ひゃっほーー!!!ありがとうございます!
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
四の五の言わず離婚届にサインをしてくれません?
白雲八鈴
恋愛
アルディーラ公爵夫人であるミレーネは、他の人からみれば羨ましいと思える立場にいた。
王妹の母譲りの美人の顔立ち、公爵夫人として注目を集める立場、そして領地の運営は革命と言えるほど領地に潤いを与えていた。
だが、そんなミレーネの心の中にあるのは『早く離婚したい』だった。
順風満帆と言えるミレーネは何が不満なのか。その原因は何か。何故離婚できないのか。
そこから始まる物語である。
病弱令嬢…?いいえ私は…
月樹《つき》
恋愛
アイゼンハルト公爵家の長女クララは生まれた時からずっと病弱で、一日の大半をベッドの上で過ごして来た。対するクララの婚約者で第三皇子のペーターはとても元気な少年で…寝たきりのクララの元を訪ねることもなく、学園生活を満喫していた。そんなクララも15歳となり、何とかペーターと同じ学園に通えることになったのだが…そこで明るく元気な男爵令嬢ハイジと仲睦まじくするペーター皇子の姿を見て…ショックのあまり倒れてしまった…。
(ペーターにハイジって…某アルプスの少女やんか〜い!!)
謎の言葉を頭に思い浮かべながら…。
このお話は他サイトにも投稿しております。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
私に婚約者がいたらしい
来栖りんご
恋愛
学園に通っている公爵家令嬢のアリスは親友であるソフィアと話をしていた。ソフィアが言うには私に婚約者がいると言う。しかし私には婚約者がいる覚えがないのだが…。遂に婚約者と屋敷での生活が始まったが私に回復魔法が使えることが発覚し、トラブルに巻き込まれていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる