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1.一周目のループ
しおりを挟む今世のクリスティーヌの人生は、三周目である。
これまでに二回ほど、ベツォ王国のバルト男爵家のクリスティーヌとして生きた記憶を持っている。
(一周目の人生が一番大変だったわね……それを考えると、今世のなんと幸せなことか)
ロジェと結婚し、引っ越しを済ませたクリスティーヌの部屋は、アイボリーの地にピンクの小さな花が描かれた壁紙で彩られており、小さなテーブルと椅子は小柄なクリスティーヌの背丈にぴったりであった。
その窓際に置かれた椅子に座り、心地いい風に揺られながら、クリスティーヌは一周目の人生に思いを馳せた。
一周目――
貴族子息や子女の通うベツォ王立学園へ入学したクリスティーヌは、領地を持たない新興貴族であるバルト男爵家の庶子であることから、学園内で馬鹿にされ、嫌がらせを受けていた。
ある時は教科書やノートが裂かれ、ある時は暗い空き部屋にとじ込められ、ある時は池に落とされ、時には階段から突き落とされるという非常に危険な行為にまで及んだ。
クリスティーヌは、父がメイドに手をつけて生まれた子で、美しい父に似ているという理由から、いずれ政略結婚で他家との繋がりに使えると判断され、バルト男爵家で育てられたが、義母には虐げられていた。
その影響で、クリスティーヌは抵抗する、ということを知らずに育ってしまった。
抵抗すると食事を抜かれるからだ。
人との会話も苦手であったことから、学園で起こっている出来事を相談する相手もいないまま、一年を終えようとしていたときのこと――
学年末に行われるダンスパーティーで突然、身に覚えのない罪で裁かれることになった。
罪とは、ベツォ国の第二王子、ヴィヴィアン殿下の婚約者である公爵令嬢のマイナに無実の罪を負わせようとしたというものである。
読み上げられた罪の内容は、クリスティーヌへの嫌がらせがマイナ主導であると、虚偽の申告をし、ヴィヴィアン殿下の婚約者になろうと目論んでいる、というものだ。
クリスティーヌは身に覚えのない罪を突きつけられて、酷く混乱した。
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