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2人で訓練所に戻ると、殿下が座り込んで肩で息をしていた。アダルがおろおろと、水を渡している。
「殿下?どうしました?」
「はぁっはぁっ…こ…れ…きっつ…!!」
「あぁ、最初はみんなそうですよ」
「はぁっ…はぁー!!疲れた!!」
「ふふ…」
両手両足を投げ出して、殿下は笑っている。
アダルがほっとした表情で、私をチラチラと見ている。
「殿下、お召し物が汚れますよ」
「やー、今ね、動けないからね。足とか震えてるからね!」
「アダル、肩を貸してあげて」
「はい!」
殿下はアダルに起こされ、よろよろと椅子に座った。
ジークハルトは唖然とした表情でそれを見ていた。
顔に、殿下 動けない どうする ?と書いてある。
「俺、殿下があんなになってるとこ初めて見た」
「私もよ。いつも平然としてるもんね、何しても」
「ライネル、殿下は何コース選んだの?」
「1番きついのをお選びになったので、Sコースです」
「あー、無謀な奴がここにも居たか…」
「それ、俺の事?」
「そ。最初はDコースから慣らすのよ」
「あぁ…そりゃ俺が気絶するわけだ」
「あとちょっとだったけどね」
「次で出来るようになる」
ふんす!と気合いを入れるハルトが楽しそうで笑ってしまった。
私はどれにしようかな…。
「ヴィオレットも訓練するんだろ?何するんだ?」
「んー、何か見たいのある?」
「俺と手合わせ」
「ん、いいよ」
「前にヴィーに一発もらった時から気になってたんだよ、結構やるなって」
「あー、あれね。怒ってたから力入ったのよね」
「しばらく動けなかったわ、俺」
「あ、ははは」
笑って流そう。痛かっただろうな、とは思うけど、あれはハルトが悪いもん。
あれからしばらく会ってなくて、訳わかんないまま何故か決闘だったのよね…。
「武器使う?使わない?」
「んー、危ないから使わない」
「はーい」
「じゃあ、全力で来いよ」
「わかった」
武器ないと受ける物がないから、そっちのが痛いだろうと思うけどまぁいっか。
全力出しても問題ないわけだし。
嫌われませんように…。
「ラビ、審判してね!」
「え、いいんすか?お嬢!」
「もういいのよ」
「解りました!ジークハルト様、舐めてかかると危ないんで、本気でやって下さいね」
「解った」
ラビはどことなく嬉しそうだ。前にお嬢の強さを見せびらかしたい!って言ってたな、そういや。
そんな事を考えながら、姿勢を正す。
「始め!」
ラビの掛け声が響き、私は早速ハルトの懐に入った。
足を払い、ハルトの体制が崩れた所を逃さずに鳩尾に一発。
「ぐうっ!」
呻きながらも攻撃を仕掛けてきたハルトの腕を掴んで、そのまま腹に膝蹴りを一発。
「がぁっ!」
ハルトが膝を付いたのを見て、ヒュッと首筋に手刀を寸止めした。
「お嬢の勝ちっす」
ラビの気の抜けた判定が下る。
ハルトは、膝を付いたまま反撃もない。
「あなた実践なら死んでるわよ」
「………すげぇ…」
呆然とするハルトに、ちょっとだけ不安になる。
こんな女嫌だって思われてたら、と。
ぎゅっと目を閉じて、ハルトの反応を待つが一向に何も言わない。
恐る恐る目を開けると、ぶつぶつと何か呟いているハルトが居た。
「あのスピード…あれが……いや……技の連携か…?」
「ハルト?」
「あ!悪い。思い返してた。それよりヴィー凄えな!!」
「へ?」
「あんな一瞬でここまで来るとか!しかも躊躇いなく一発入れてくるし!!強いな!!」
「あ、うん…」
ハルトはキラキラとした表情で、私にそう伝えて来る。
あれ…?何か……あれ?
てっきり引かれると思ってたけど違う…むしろ喜んでる…?
「殿下?どうしました?」
「はぁっはぁっ…こ…れ…きっつ…!!」
「あぁ、最初はみんなそうですよ」
「はぁっ…はぁー!!疲れた!!」
「ふふ…」
両手両足を投げ出して、殿下は笑っている。
アダルがほっとした表情で、私をチラチラと見ている。
「殿下、お召し物が汚れますよ」
「やー、今ね、動けないからね。足とか震えてるからね!」
「アダル、肩を貸してあげて」
「はい!」
殿下はアダルに起こされ、よろよろと椅子に座った。
ジークハルトは唖然とした表情でそれを見ていた。
顔に、殿下 動けない どうする ?と書いてある。
「俺、殿下があんなになってるとこ初めて見た」
「私もよ。いつも平然としてるもんね、何しても」
「ライネル、殿下は何コース選んだの?」
「1番きついのをお選びになったので、Sコースです」
「あー、無謀な奴がここにも居たか…」
「それ、俺の事?」
「そ。最初はDコースから慣らすのよ」
「あぁ…そりゃ俺が気絶するわけだ」
「あとちょっとだったけどね」
「次で出来るようになる」
ふんす!と気合いを入れるハルトが楽しそうで笑ってしまった。
私はどれにしようかな…。
「ヴィオレットも訓練するんだろ?何するんだ?」
「んー、何か見たいのある?」
「俺と手合わせ」
「ん、いいよ」
「前にヴィーに一発もらった時から気になってたんだよ、結構やるなって」
「あー、あれね。怒ってたから力入ったのよね」
「しばらく動けなかったわ、俺」
「あ、ははは」
笑って流そう。痛かっただろうな、とは思うけど、あれはハルトが悪いもん。
あれからしばらく会ってなくて、訳わかんないまま何故か決闘だったのよね…。
「武器使う?使わない?」
「んー、危ないから使わない」
「はーい」
「じゃあ、全力で来いよ」
「わかった」
武器ないと受ける物がないから、そっちのが痛いだろうと思うけどまぁいっか。
全力出しても問題ないわけだし。
嫌われませんように…。
「ラビ、審判してね!」
「え、いいんすか?お嬢!」
「もういいのよ」
「解りました!ジークハルト様、舐めてかかると危ないんで、本気でやって下さいね」
「解った」
ラビはどことなく嬉しそうだ。前にお嬢の強さを見せびらかしたい!って言ってたな、そういや。
そんな事を考えながら、姿勢を正す。
「始め!」
ラビの掛け声が響き、私は早速ハルトの懐に入った。
足を払い、ハルトの体制が崩れた所を逃さずに鳩尾に一発。
「ぐうっ!」
呻きながらも攻撃を仕掛けてきたハルトの腕を掴んで、そのまま腹に膝蹴りを一発。
「がぁっ!」
ハルトが膝を付いたのを見て、ヒュッと首筋に手刀を寸止めした。
「お嬢の勝ちっす」
ラビの気の抜けた判定が下る。
ハルトは、膝を付いたまま反撃もない。
「あなた実践なら死んでるわよ」
「………すげぇ…」
呆然とするハルトに、ちょっとだけ不安になる。
こんな女嫌だって思われてたら、と。
ぎゅっと目を閉じて、ハルトの反応を待つが一向に何も言わない。
恐る恐る目を開けると、ぶつぶつと何か呟いているハルトが居た。
「あのスピード…あれが……いや……技の連携か…?」
「ハルト?」
「あ!悪い。思い返してた。それよりヴィー凄えな!!」
「へ?」
「あんな一瞬でここまで来るとか!しかも躊躇いなく一発入れてくるし!!強いな!!」
「あ、うん…」
ハルトはキラキラとした表情で、私にそう伝えて来る。
あれ…?何か……あれ?
てっきり引かれると思ってたけど違う…むしろ喜んでる…?
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