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言い分
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「私は所謂社会不適合者なんだよ。」
女の口調は淡々としていたが、どこか重かった。社会不適合者という枠組みは曖昧で、人によって捉える範囲が違う。この女の言う社会不適合者とはどの範囲を指しているのだろうか。
「決まった事を決まったタイミングでやることがどうしても受け付けないの。朝起きる時間も夜寝る時間もご飯を食べたり学校へ行ったりするのも時間通りにできないし、テスト勉強もバイトも指定された範囲のことを全くできなかった。」
なるほど。人間として最低限のタスクにストレスを感じている訳だ。
「でも私はそれを別に苦にしてなかった。周りにどれだけ文句を言われても、仕方ないじゃんって開き直ってた。でもそんな事を繰り返していたら、家を追い出されて、路頭に迷った。」
「それでここに来たのか?」
「いや、それから二年くらいはパパ活をして日銭を稼いでいたよ。」
「パパ活…」
噂には聞いたことはあったけど、実際にやってるやつは初めて見た。
「かなり稼げたよ。自由だった。私が自由にしているのが、所謂パパ達には好評だった。エッチなことはせずにただデートするだけでお金を沢山もらえた。」
女はそういう生き方もできるんだよな…。性別の違いによる経済活動の領域の差異を感じる。僕が女になってもパパ活なんて絶対しないけど。
「でも、この生活ってどこまでが区切りなんだろうって考えた時に、考えるのが急にめんどくさくなって、パパ活を辞めたんだ。」
「そうか。」
まだ、若いし、美少女だしいくらでも続けられそうではあるけど、それが嫌になったなら無理して続けることでもないだろう。
「それで暫く1人で暮らしてたんだけど、なんか1人は寂しいんだよね。人といるのは嫌いだけど、1人でいるのもなんだが嫌だった。」
「そうなのか。」
僕は1人で暮らすことに苦を感じるとは思わないけど。
「だから、自分と似てる人を探したの。自分と同じで空っぽで、自分と同じで他人に興味がなくて、無駄なことを無駄なことだと思わずに過ごせて、どこか寂しそうな人。」
「それが僕だったってこと?」
「うん。」
「そうかな?」
「そうだよ。君を見つけてから1ヶ月。君を見ていたんだから。」
「えっ?」
1ヶ月も見られていたのか?他人にも周囲の事象にも興味はなかったが、この目立つ容貌をした女に1ヶ月も見られてることに気づかないなんてことがあるのか?
「驚いた?」
天井を眺める身体を僕の方に傾け、女が静かに問いかけた。
女の口調は淡々としていたが、どこか重かった。社会不適合者という枠組みは曖昧で、人によって捉える範囲が違う。この女の言う社会不適合者とはどの範囲を指しているのだろうか。
「決まった事を決まったタイミングでやることがどうしても受け付けないの。朝起きる時間も夜寝る時間もご飯を食べたり学校へ行ったりするのも時間通りにできないし、テスト勉強もバイトも指定された範囲のことを全くできなかった。」
なるほど。人間として最低限のタスクにストレスを感じている訳だ。
「でも私はそれを別に苦にしてなかった。周りにどれだけ文句を言われても、仕方ないじゃんって開き直ってた。でもそんな事を繰り返していたら、家を追い出されて、路頭に迷った。」
「それでここに来たのか?」
「いや、それから二年くらいはパパ活をして日銭を稼いでいたよ。」
「パパ活…」
噂には聞いたことはあったけど、実際にやってるやつは初めて見た。
「かなり稼げたよ。自由だった。私が自由にしているのが、所謂パパ達には好評だった。エッチなことはせずにただデートするだけでお金を沢山もらえた。」
女はそういう生き方もできるんだよな…。性別の違いによる経済活動の領域の差異を感じる。僕が女になってもパパ活なんて絶対しないけど。
「でも、この生活ってどこまでが区切りなんだろうって考えた時に、考えるのが急にめんどくさくなって、パパ活を辞めたんだ。」
「そうか。」
まだ、若いし、美少女だしいくらでも続けられそうではあるけど、それが嫌になったなら無理して続けることでもないだろう。
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「そうなのか。」
僕は1人で暮らすことに苦を感じるとは思わないけど。
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「うん。」
「そうかな?」
「そうだよ。君を見つけてから1ヶ月。君を見ていたんだから。」
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