燦々と青がいた 〜3人のオメガが幸せな運命と出会うまで〜

鳴き砂

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第二章

背中の燦爛 2

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 痛くて、熱くて、苦しくて・・・・
けれども、すごく安心できる香りに包まれて。透はずっと「先生」って譫言みたいに呼んでいた。そしたらきゅっと手を握って「透」と甘い声で返してくれる。それが、泣いてしまうほど嬉しかった。

 頭の先から爪先まで、沢山のキスを降り注いでくれる。一色の唇に触れられた所から身体がじわじわと熱を持っていくようだった。自分の心臓は破裂してしまうんじゃないかな。呼吸の仕方さえ忘れてしまった。

「せんせ、せんせい・・・・」

「透、大丈夫。ここにいる。」

 必死に一色にしがみつこうとする自分を、寂しいのだと思った彼がしっかりと抱きしめてくれた。本当はただくっついていたかっただけなんだけれども、やっぱり透の心は満たされてしまうのだ。

「せんせい、ぼくを、つがいにしてくれる・・・・?」

 その瞬間、一色は少し複雑そうな顔をした。


 どうして?僕のこと好きじゃないの?


そんな考えが頭を過った刹那、自分が顔も知らない男に身体を暴かれた光景が目の前に鮮明に広がる。


 ああっ!・・・・そうだ、僕は、僕は・・・・!!!


「ごめんなさい、ごめんなさい!ごめん・・・・許して・・・・」

 高潔な彼の前で、自分の身体を見せることが急に恥ずかしくなった。


 消えたい


「みないで、おねがい、みないで、みないで・・・・」

透は頭を抱えて丸まった。そうすれば視覚も聴覚も全て遮断できると思ったからだ。大好きな彼の声もこれで聞こえない。その事がとても悲しくて、また、泣いた。

 そっと暖かな体温が自分の背中を柔らかく撫でた。その気持ちよさから、ほぉっと息を吐く。そして、甘く香る芍薬、これは一色の匂い。彼の香りに包まれてゆくと優しい毛布でくるまれている心地になる。

「透。ごめん、おまえを不安にさせた。」

耳元で一色が小さな声で言った。透は後ろから一色に抱き込まれている形だから、彼がどんな表情を浮かべているのか分からなかった。でも、なんだかとっても悲しそうな声だった。

「・・・・ううん。せんせいは、悪く、ないよ。僕の身体、ううん、ぼくね、きたないの・・・・もうっ!、もう、きれいじゃないっ・・・・!」

 一色が謝るのも、自分の所為で、自分が汚くなったのも、全部に腹が立って、なのに悲しくて、透は泣き叫んだ。わんわん声をあげて泣いた。自分自身の全てが許せなかった。

「透、透、おまえは綺麗だよ。」

「う、うそだ!!嫌な顔した、でしょ!」

「違うんだ、それは「いやだ!聞きたくない!」

透は怖くなって一色の言葉を遮った。

 すると、どんと視界がまわって透は仰向けにさせられた。一色が上から覆い被さる。怖いと思ったのも束の間、きつくきつく一色に抱きしめられていた。

「聞いてくれ。おまえを番にしたい、と俺から言いたかったんだ。なのに、酷い目にあって、その上ヒートでつらそうなおまえに、番のことまで言わせてしまった。・・・・俺は不甲斐ない男だよ。」

「そんなこと・・・・」

一色は困ったように微笑んだ。

「なあ、透。話を聞いてくれるか?」

「・・・・うん」

肯けば、「いい子だ」と言って一色は透の頭を撫でてくれた。それから、透の目をじっと見つめて微笑んでくれた。その笑顔に自分の心の冷たく固まってしまった部分が僅かに溶けていく。

「透、俺をおまえの番にして欲しい。運命なんて関係ない。俺はおまえが欲しいよ。例え、運命じゃなかったとしても、俺はおまえと必ず出会って、おまえと番になりたいと思った。」


「先生、これまでの僕を、許して・・・・」

 自分は彼の愛を受け入れるために、過去の自分を許して欲しかった。すんなりと出てきた言葉だった。

「許すもなにも・・・・」

彼は優しいから、そんな風に言ってくれるけれども、透は首を横に振った。


 僕は、許してもらいたい。


「先生・・・・」

彼の左頬をするりと撫でる。一色はその手を取って握りしめてくれた。それは、きっと全部分かってくれた証。

「ああ、許すよ。だから、透もこれまでの自分を許してあげて。」

ぱたぱたと涙が溢れて止まらなくなった。透は何度も肯いた。

◇◇◇

「・・・・んっ、あ、あぁ、あ、せん、せ、んぅ・・・・」

 どろどろにヒートの熱に溶かされながら、透は一色の大きなペニスを根元まで迎え入れることができた。透の身体に負担がかからない緩やかな抱き方をしてくれる一色は、本当はつらいはずだ。

「いい、んだよ、もっと、はげしくして、も・・・・」

「俺はおまえを甘やかしたいんだよ。」

「そっ、なの・・・・?ふふっ、うれし、っあ、あん!」

前立腺を掠めただけの刺激で透は達してしまった。

「かわいいよ、透。」

「ふっ、う、あぁ、あっ、きもちい、せんせ、もっと、もっとして・・・・あうっ!!!」

ズンと奥に響く今までと異なった衝撃。思わず一色の背中に爪を立ててしまった。

「ごめん、透が煽るから・・・・」

一色は透にとってよく分からない謝罪を述べると、律動をやめて奥の奥にペニスの先端を押し付けるように腰をゆっくりとまわした。徐々に一色のペニスの根元が膨らんでいき、透の中にみっちり収まった。透は一色に向かい合わせで抱かれているから、結合が深くなるたびに一色にきつく抱きついた。

「ああ、あっ、も、イく、イっちゃう・・・・ぁは、ああっ・・・・!!!」

 液体になった精液を出すと身体は弛緩してゆく。一色はそんな状態の透を支えて僅かに顔を横に背けさせる。そして、あらわになった頸に舌を這わす。その生暖かい感触にぞくぞくしてしまう。

「噛むぞ」

「うん、うん、噛んで!」

必死になって応えれば、刺さるような痛みと大きすぎる快感が一斉に押し寄せてきた。自分の身体を見失いそうになる程の快楽の波と、経験したことのない程の充足感に満たされて、透の意識は途絶えた。


 それでも、最後まで香った芍薬の花、先生の香り。

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