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1.出会い
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「アンドルネリーデ。あんたはこれからあの城へ行って、生まれたばかりの赤子を探しなさい。そうして、十五年後に死ぬ呪いをかけるんだよ」
暗くてあらゆるものが混ざり合う混沌から引き出された俺の耳に、やせた老婆の声が入り込んでくる。人間なんぞに従いたくはないのに、俺の体は勝手に動いた。
召喚されたのは久々だ。人間界に実体化した肉体は、ぎしぎしと軋んで痛む。「アンドルネリーデ」と呼ばれた俺の体は、禍々しい黒で、おぞましい形をしていた。
外は夜だったが、闇より生まれた魔の者である俺には関係がない。言われた通りの方向にある城へ向かい、その中へ入った。
「ひいっ!」
城内へ入った途端に出くわした人間は、白目をむいて泡を吐いた。
俺は魔力を辿って赤子を探したが、城の中は人間ばかりで、どれが赤子のものか判然としなかった。城の中を歩き回ってみたが、出会う人間出会う人間、皆気絶するばかりで赤子の居場所はわからなかった。
こちらを見る、丸い目に気づいたのはその時である。
倒れた男の向こうから、小さな子供が覗いていた。
赤子、と言うほどには小さくないが、まだ幼児。俺を見ても、気絶するどころか、瞳を輝かせていた。
『アンドルネリーデが、お前に問う。この城のどこに赤子が──」
「アンドルネリーデ? そんなの可愛くないわ。あなたの名前は、これからアンちゃんよ!」
『は?』
アンちゃん。禍々しい魔の者には、似つかわしくない名だ。
ふざけるな──と言い返す間もなく。名付けられた途端、俺の背丈はぐんと縮んだ。
「わあ、かわいい! アンちゃん、お人形さんだったのね!」
『そんな訳ないだろう、俺は恐るべきアン──アン──』
アンドルネリーデ。
あの老婆に付けられた自分の名前を口にすることは、もうできなかった。
「アンちゃん! よろしくね!」
『……アンちゃん』
俺を召喚した老婆よりも、遥かに大きな魔力を持った幼女。そいつに「アンちゃん」などと名付けられてしまった俺の体は、熊のぬいぐるみの形になってしまったのだ。
あの時押し付けられた頬の柔らかさを、俺は妙に生々しく覚えている。
暗くてあらゆるものが混ざり合う混沌から引き出された俺の耳に、やせた老婆の声が入り込んでくる。人間なんぞに従いたくはないのに、俺の体は勝手に動いた。
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外は夜だったが、闇より生まれた魔の者である俺には関係がない。言われた通りの方向にある城へ向かい、その中へ入った。
「ひいっ!」
城内へ入った途端に出くわした人間は、白目をむいて泡を吐いた。
俺は魔力を辿って赤子を探したが、城の中は人間ばかりで、どれが赤子のものか判然としなかった。城の中を歩き回ってみたが、出会う人間出会う人間、皆気絶するばかりで赤子の居場所はわからなかった。
こちらを見る、丸い目に気づいたのはその時である。
倒れた男の向こうから、小さな子供が覗いていた。
赤子、と言うほどには小さくないが、まだ幼児。俺を見ても、気絶するどころか、瞳を輝かせていた。
『アンドルネリーデが、お前に問う。この城のどこに赤子が──」
「アンドルネリーデ? そんなの可愛くないわ。あなたの名前は、これからアンちゃんよ!」
『は?』
アンちゃん。禍々しい魔の者には、似つかわしくない名だ。
ふざけるな──と言い返す間もなく。名付けられた途端、俺の背丈はぐんと縮んだ。
「わあ、かわいい! アンちゃん、お人形さんだったのね!」
『そんな訳ないだろう、俺は恐るべきアン──アン──』
アンドルネリーデ。
あの老婆に付けられた自分の名前を口にすることは、もうできなかった。
「アンちゃん! よろしくね!」
『……アンちゃん』
俺を召喚した老婆よりも、遥かに大きな魔力を持った幼女。そいつに「アンちゃん」などと名付けられてしまった俺の体は、熊のぬいぐるみの形になってしまったのだ。
あの時押し付けられた頬の柔らかさを、俺は妙に生々しく覚えている。
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