神だったわしが幼女に転生!? 仕方なく聖女を演じていたら、信仰が集まりすぎて別の神として祭られて世界の命運を握ることになった件

青田きぬ

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貧民街

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ラウルベルへとついたわしらはまたしても歓待を受けた。
姫は魔道具で姿を変えているためばれる心配はない。
(わしも欲しいのぅ)
歓迎されるのは結構だが。こうも毎回ではお忍びで来ることもできまい。
まぁお忍び自体ができないということもあるのじゃが。

「あちらへまいりましょう」
「姫様。あちらは貧民街です」
「わかっています。この機会に見ておきたいのです。……前に来たときは逃げることばかりで見る暇がありませんでしたから」
「しかしですね……」
「なぁにこれだけ強い護衛がそろってるんじゃ、問題あるまい。それにいざとなればわしの浄化魔法でちょちょいのちょいじゃ」
「それですが本当なのですか?姫様でもそんなことはできません。それに浄化魔法で人の心を変えるなんてそんな話は聞いたことがない」
「わしは凄いんじゃ」
できるもんはできるんじゃから仕方ないんじゃ。
「そんなことが出来る存在がいるとしたらそれはもう——」
「着いたぞ。貧民街だ」


貧民街は薄暗い路地裏の奥にあった。
人々は皆暗い顔をしてうつむいていた。
「辛気臭いところじゃのぅ……」
「当たり前だ……」
わし等は貧民街の奥へ進んでいった。
すると、子どもが男たちにボコボコにされていた。それはもうフルボッコじゃ。
「止めなくては!」
「姫様。いけません!ここではこれが日常なのです」
「あぁ。止めたところでまたいつこうなるかもわからない」
「でも——」
「だが、このまま見てるわけにもいかないな」
アルクがさっそうと飛び出した。
三人いた男たちを一瞬で片付けると言った。
「お前ら子供にはもうちょっと優しくするもんだぜ」
「な、なんだお前ら……俺らがだれかわかってるのか?」
「知らないねぇ」
「子供に手を出すとは穏やかではありませんね」
「おっしゃあ!かかって来いやぁ」
「君たち最低だね」
「あらあら」
「ち、ぞろぞろ引き照れてきやがって。お、覚えてろ……」
三人は慌てて逃げようとした。
すかさずわしは浄化を使った。
「な、なんだこの光は……心が穏やかになる……」
「俺たちは一体……」
「こんな子供に手を出すなんて……」

子供を治癒したあとわしらは4人に話を聞いた。
「俺らはこの貧民街の顔薬のグループに属してるんだ」
「ボスにににらまれるとここでは生きていけねぇ」
「だがこいつはグループを抜けたいといいだした」
「それで俺らが"教育"をボスから言い渡された」
「お、俺はもうこいつらとは関わりたくないんだ。せっかくの稼ぎもこいつらに巻き上げられちまう」
「稼ぎとは」
「あぁ、こいつはスリなんだ」
こんな子供がスリとは驚いたのぅ。
「ここではそうやっていかないと生きてはいけない」
「だけどもう俺はこんな生活いやなんだ。俺はまっとうに生きたい」
「足を洗いたいなんてグループでは許されない」
「それで俺らが"教育"することになった。最悪殺しても構わないと言われてな」

「なるほど。よくある話だ」
「なるほどのぅ。ではその顔薬とやらを"教育"してしまえば解決じゃの」
「そんなことできるもんか!」
「お主もみたじゃろ?わしの浄化は悪人の心を変える力がある」
「そうか……さっきの光がその浄化ってやつなのか……」

わし等はさっそくとの顔薬のグループのアジトに乗り込むことにした。

見張りがいたのでわしが浄化を行った。
このまま全員浄化してしまおう。
「ボス。ボスを話したいという方を連れてまいりました!」
「話だと?誰だ?この俺に向かって」
「わしじゃ」
「なんだ。お前は?ガキじゃないか。おい!こんなガキ連れ着てどういうつもりだ!?」
「えぇ。是非ともボスとも話して頂きたいと思いまして」
「そうですよボス。話せば分かります」
「お前ら何言ってやがる?」
「もう、めんどくさいのぅ。それ浄化の光!」
「ぐ…ぐぉおおお!なんだこれは……」
ボスはよろめきながらも耐えている様子だった。
「お前らまさかこれを食らったのか?浄化だとふざけるな!」
しぶといのぅ。1発耐えるとは上位悪魔並みのしぶとさじゃ。
「それ浄化!」
「ぐおおおおおおおおおおおお!!俺は一体……?」
「気分はどうじゃ?」
「あぁ……すっきりした。生まれ変わったような気分だ」
「浄化成功じゃな。これからは悪いことはしないことじゃな」
「あぁ……一から出直しだ」
こうして貧民街の顔役は浄化され、貧民街に一時の平和が訪れた。


「……」
「マリアンヌよ何を考えておるのじゃ?」
「今回私は何もできませんでした。私も同じ聖女であるというのに。それに貧民街の人々の生活が変わったわけではありません」
「そうじゃな。じゃがわし等はわし等にできることをすればいいんじゃ。それしかないのだからのぅ」
「私にできることですか?」
マリアンヌは何か考えているようだったか。その考えは読めなかった。

そして一行は次の目的地王都ブリンガムに向かうのだった。
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