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弁明
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ジョゼフィーヌは俯いて何も言わなかった。
じゃがわしは昨日ジョゼフィーヌと過ごしてこの娘のことが少し分かった気がしていた。
プライドが高く嫉妬深いが、そも半面高潔さを持っている。わしにはどうにもこの娘が姑息な手を使うとは思えなかった。
「信じるよ」
わしはジョゼフィーヌに語りかけた。
「浄化!」
わしが浄化を浴びせるとジョゼフィーヌは語り始めた。
「……私はこの方達に命令したことなど一度もありませんわ」
「なんだと?」
周りがざわつき始める。
「これはどういうことだ。確かに浄化魔法は二回とも発動していた。どちらも本当のことを言っているということなのか?あり得ない!」
馬鹿王子は本当に馬鹿王子だった。
「なに、簡単なことじゃよ」
わしは言った。
「人は浄化されようが嘘を付くこともある。そういうことじゃ」
わしは三人娘に視線を向けた。
すると娘共はビクッと体を震わせた
「お主ら?誰かに脅されているのではないか?」
「私たちは——」
「そうなのか?」
馬鹿王子が視線を向ける。三人娘は蛇に睨まれた蛙のようになって言った。
「私たちは……命令など受けておりません!そう言えと脅されたのです!」
「誰に脅された?言え!」
「そ、それは……」
「言うんだ!」
「バシャール公爵家のご子息フロン・バシャール様です!」
「2大公爵家の?」
周囲がざわつく。
「……なるほどそういうことか。よく言ってくれた……話を聞こうか?フロン・バシャール!」
「これはこれは王太子殿下。何用で御座いましょう?」
「白々しい真似はよせ。話を聞いていただろう。お前の悪事は衆目に晒された」
「これはこれは異なことを。そこな娘共の言うことを信じなさるので?」
「私が信じるのはアルナの浄化魔法だ」
「それこそ。さっきアルナ様本人がおっしゃったじゃありませんか。浄化を受けてもなお嘘をつくことがあると」
「屁理屈を!それはお前に脅された恐怖から嘘をついたのだろう!」
「その証拠がお有りか?私を陥れるためにそこな娘共をブランシャール令嬢が脅したのではないですか?」
「馬鹿な事を…それならそうと言うはず……」
言ってて気が付いたのだろう。そう、脅されていた場合正直に答えるとは限らないのだ。
「だが一歩間違えれば自分の身が危ういのだぞ?そんな真似をするとは……」
「聞けば聖女アルナ様に嫌がらせをしていたのは事実だというではないですか?その罪を私に擦り付けるために一芝居打ったのでは?」
「馬鹿な!」
こいつ口がうまいのぅ。
いよいよもって雲行きが怪しくなってきた。
「まさか王太子殿下ともあろうお方が、何の証拠もなしにこのバシャール家跡取りであるフロン・バシャールに疑いをかける訳ではありますまい?」
「くっ」
ここまでのようじゃった。どう追求しようがこいつはのらりくらりと躱すじゃろう。
「もうご用件がないのでしたらこの場は失礼させていただきます」
そう言い残し去るフロン・バシャール。
わしは馬鹿王子に言った。
「何を呆けておる。お主には最後にやることがあるじゃろう」
「やること?」
「婚約破棄の撤回じゃ。まさかこのままうやむやのうちに破棄するつもりじゃあるまいな?」
「そ、それは……しかし名において宣言してしまったのだ。今更撤回するというのも……」
「ぐだぐだ抜かすでない。ジョゼフィーヌは何も悪いことをしてないのじゃ婚約破棄される理由もないじゃろう?」
「む。むむむぅ。いやしかし……」
「いいから撤回せぃ!」
「わ、わかった……ジュリアス・エムーデンに名において宣言する。先ほどのジョゼフィーヌ・ブランシャールとの婚約破棄を撤回する……」
これで一見楽茶じゃ。
と思ったのも束の間、事件はまだ終わってはいなかったのじゃ。
じゃがわしは昨日ジョゼフィーヌと過ごしてこの娘のことが少し分かった気がしていた。
プライドが高く嫉妬深いが、そも半面高潔さを持っている。わしにはどうにもこの娘が姑息な手を使うとは思えなかった。
「信じるよ」
わしはジョゼフィーヌに語りかけた。
「浄化!」
わしが浄化を浴びせるとジョゼフィーヌは語り始めた。
「……私はこの方達に命令したことなど一度もありませんわ」
「なんだと?」
周りがざわつき始める。
「これはどういうことだ。確かに浄化魔法は二回とも発動していた。どちらも本当のことを言っているということなのか?あり得ない!」
馬鹿王子は本当に馬鹿王子だった。
「なに、簡単なことじゃよ」
わしは言った。
「人は浄化されようが嘘を付くこともある。そういうことじゃ」
わしは三人娘に視線を向けた。
すると娘共はビクッと体を震わせた
「お主ら?誰かに脅されているのではないか?」
「私たちは——」
「そうなのか?」
馬鹿王子が視線を向ける。三人娘は蛇に睨まれた蛙のようになって言った。
「私たちは……命令など受けておりません!そう言えと脅されたのです!」
「誰に脅された?言え!」
「そ、それは……」
「言うんだ!」
「バシャール公爵家のご子息フロン・バシャール様です!」
「2大公爵家の?」
周囲がざわつく。
「……なるほどそういうことか。よく言ってくれた……話を聞こうか?フロン・バシャール!」
「これはこれは王太子殿下。何用で御座いましょう?」
「白々しい真似はよせ。話を聞いていただろう。お前の悪事は衆目に晒された」
「これはこれは異なことを。そこな娘共の言うことを信じなさるので?」
「私が信じるのはアルナの浄化魔法だ」
「それこそ。さっきアルナ様本人がおっしゃったじゃありませんか。浄化を受けてもなお嘘をつくことがあると」
「屁理屈を!それはお前に脅された恐怖から嘘をついたのだろう!」
「その証拠がお有りか?私を陥れるためにそこな娘共をブランシャール令嬢が脅したのではないですか?」
「馬鹿な事を…それならそうと言うはず……」
言ってて気が付いたのだろう。そう、脅されていた場合正直に答えるとは限らないのだ。
「だが一歩間違えれば自分の身が危ういのだぞ?そんな真似をするとは……」
「聞けば聖女アルナ様に嫌がらせをしていたのは事実だというではないですか?その罪を私に擦り付けるために一芝居打ったのでは?」
「馬鹿な!」
こいつ口がうまいのぅ。
いよいよもって雲行きが怪しくなってきた。
「まさか王太子殿下ともあろうお方が、何の証拠もなしにこのバシャール家跡取りであるフロン・バシャールに疑いをかける訳ではありますまい?」
「くっ」
ここまでのようじゃった。どう追求しようがこいつはのらりくらりと躱すじゃろう。
「もうご用件がないのでしたらこの場は失礼させていただきます」
そう言い残し去るフロン・バシャール。
わしは馬鹿王子に言った。
「何を呆けておる。お主には最後にやることがあるじゃろう」
「やること?」
「婚約破棄の撤回じゃ。まさかこのままうやむやのうちに破棄するつもりじゃあるまいな?」
「そ、それは……しかし名において宣言してしまったのだ。今更撤回するというのも……」
「ぐだぐだ抜かすでない。ジョゼフィーヌは何も悪いことをしてないのじゃ婚約破棄される理由もないじゃろう?」
「む。むむむぅ。いやしかし……」
「いいから撤回せぃ!」
「わ、わかった……ジュリアス・エムーデンに名において宣言する。先ほどのジョゼフィーヌ・ブランシャールとの婚約破棄を撤回する……」
これで一見楽茶じゃ。
と思ったのも束の間、事件はまだ終わってはいなかったのじゃ。
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