僕の彼女はVtuber

黒瀬志乃

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第二章

秘密を知った日

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「お待たせしました、カフェラテです」

 震える手でカップを差し出すと、彼女──いや、月乃ルナの中の人は、軽く会釈して受け取った。

「ありがとう」

 彼女はそのままカウンター席に座り、スマホを取り出した。画面には、俺もよく見ているライブ配信のアプリが開かれている。

 ──間違いない。彼女は月乃ルナだ。

 動揺を隠しながら、俺はレジ横のメニュー表を整えるふりをして彼女の様子をうかがう。

(いや、落ち着け……たまたま似ているだけかもしれない……)

 そう思い込もうとした矢先、彼女がイヤホンをつけてスマホの画面をタップした。

『こんるな~! みんな、今日も来てくれてありがとう!』

 ──ルナの声だ。

 しかも、俺の目の前で、カフェラテを飲みながら配信のチェックをしている。これ以上の証拠はない。

(マジかよ……どうする……)

 俺はバイト中だ。変に動揺して態度を怪しまれたらいけない。だが、何事もないふりをするのも難しい。とにかく、自然に振る舞わなければ──。

「すみません、追加でクロワッサンください」

 彼女が再び俺に話しかけてきた。

「は、はい!」

 ぎこちない返事をしながら、レジを操作する。

「ん? なんか、さっきからちょっと挙動不審じゃない?」

 彼女は俺の様子を不思議そうに見つめた。

「え、えっと……そんなことないですよ?」

「ふーん……?」

 彼女はジッと俺の顔を見つめたあと、ふっと笑った。

「ねえ……もしかして、私のこと知ってる?」

 ──ドキッ。

「えっ!? そ、そんなことないですよ!? 何を言ってるんですか!?」

 俺は全力で取り繕うが、明らかに不自然な動きになってしまう。

「ふーん?」

 彼女はニヤリと笑いながら、クロワッサンを受け取ると、席へ戻っていった。

(や、やばい……バレた……?)

 俺は動揺しながらも、なんとかバイトを続けた。

***
 バイトの終わる時間が近づいてきた頃、彼女はカフェから立ち上がり、こちらへ歩み寄ってきた。

「ねえ」

「は、はい!」

「ちょっと、話せる?」

 俺は思わずゴクリと唾を飲み込む。

(……詰んだ)

 俺はバイト終わりに彼女と話すことになった。
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