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思い立ったが北海道
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これでもかという位に暖房の効いたパチンコ店を出ると、12月の冷たい風が火照った身体を刺すように僕を包んだ。メガネはたちまち白く曇り、一息ごとに冷気に鼻がつねられて思わず顔をしかめる。
「あのリーチで外すとかマジかよ…」
ひとりごちながら、商店街に向かって歩き出す。
僕、吉川 幸博(よしかわ ゆきひろ)は、忙殺された年末の仕事を無事に乗り切って、短い冬休みへと入っていた。所帯持ちの職場の同僚は実家に帰ったり、そうでない独身組の連中はスキー旅行などと息巻いていて、僕も誘われはしたもののとてもそんな気にはなれなくて丁重にお断りした。
「彼氏ほしいなぁ」
アラサーという歳になって、職場では中堅社員になり日々をマンネリ気味に過ごしている。両親や上司からは結婚はまだかと迫られて、そんな鬱憤を晴らすようにパチンコに行ったもののあっという間に諭吉は逮捕されてごらんの有様だ。
男にしか恋愛感情を抱けない事に気がついてから、そんな事を誰に相談できるわけでもなく両親には仕事が忙しいからと誤魔化しを重ねて、いい出会いが無いかとSNSやそういうアプリを試したものの、なんだか独特の文化に馴染めずにすぐに見ることは無くなった。もし彼氏が居たら、今頃はクリスマスや年末年始のデートの事で頭が一杯なんだろうなと思うと一層自分の惨めさに拍車がかかった。
携帯が震えてメールの受信を知らせる。母親からのいつ帰って来るんだという催促だった。ため息をつきながらメールを打つ。
「明日から北海道行ってくる」
半ばでまかせで宣言した北海道行きだったが、幸いにも空席があったので急いで飛行機を予約してあれよあれよという間に北海道旅行が決定してしまった。SNSでA山動物園のオオカミの写真を見て、いつか行きたいなと思っていたので丁度良い機会だった。本当ならいつか恋人と温泉旅行も兼ねて行こうというありもしないプランがあったのだが。それでも普段出不精な僕は久々の冒険に胸を躍らせながら、三日分の着替えを鞄に詰め込んで明日の旅立ちに備えた。
「…寒っ!」
昼下がりのA山動物園のオオカミ舎の前で身震いする。僕の住んでいる関西も相当に寒かったのでそれなりには覚悟していたつもりだったが、朝から飛行機に乗り列車を乗り継いでバスに乗り、目まぐるしく移動を終えてようやく冬の北海道の寒さを実感した。
それでも、活動的に動き回ったりかたや眠りこけていたりするオオカミ達を見ていると、ここに来て本当に良かったと実感する。ポケットの中で冷やされた携帯をかじかんだ手で取り出して何枚か写真を取り、それからまた柵の前の手すりにもたれかかっててオオカミを眺める。
「はぁ~…」
雪とオオカミの組み合わせはどうしてこんなに美しいのか。目に映る尊さにため息しか出ない。冬休みという事もあって園内は家族連れで賑わい、オオカミ舎の前も例外なく人でごった返していた。
「お母さんおおかみいた!わおーん!」
子供が楽しそうにオオカミの鳴き真似をするのを見て思わず笑みが漏れる。自分も小さい頃に連れて行ってもらった動物園でああして下手くそな遠吠えの真似事をして見せて、気まぐれに返してくれた遠吠えにどこかオオカミと心が通じ合ったような感動を覚えたものだ。
思い出に浸りながら、ちらと横を見るとオジさんと目があって思わず会釈する。地元の人なのか、分厚いジャケットにリュックを背負った僕とは違って、手ぶらでずいぶんな軽装をしていた。寒く無いんだろうか。
向こうも会釈を返してくれたが、なんとなく気恥ずかしくなってまたオオカミに視線を戻して、冷たい雪をまるでふわふわとした温かい布団のようにして眠るオオカミを眺める。先ほど騒いでいた子供は次のお目当てを見るべく坂を走って降りていく。何時間でもオオカミを見ていたい気持ちはあるのだが、折角ここまで来たからという気持ちと、朝から何も食べていない空腹も手伝って売店に向かう道すがら他の動物を見る事にした。そういえばここアザラシの展示が有名なんだっけ…
人混みをかき分けていくつかの展示を遠巻きに見た後、食堂にたどり着いた。ここまで来てありふれたモノを食べるのも、と思って何か珍しいものが無いかとメニューを見ながら悩んでいると。
「これ、おすすめだよ」
先ほどのオジさんが、横からメニューを指差した。僕よりは一回りは背が高いだろうか、ラフな服装も手伝ってかすらっとしたそのオジさんは、笑顔で僕の顔を覗き込んで来る。
「あ、じゃ、じゃあこれとコーヒーで」
「私も同じもので」
「はい、530円ずつね」
差し出されたトレイを受け取って戸惑っていると、こっち空いてるよと促されて二人がけの椅子に座る。
「これね、ホットドッグのパンの部分がお米になってて…この辺のローカルフードっていうのかな?」
「へぇ、そうなんですか、珍しいですね」
思わず携帯のカメラでパシャリ。
「うわ、あつっ!」
「それ、熱いから気をつけてね」
熱いお米にエビフライが包まれていて不思議な味だ。名古屋の天むすとはまた違った感じで悪くはない。
「美味しいですね」
満足そうに頷くと、オジさんも一口食べて顔を綻ばせた。
「どこから来たの?」
大仰な身なりに旅行で来たと踏んだのだろうか。
「関西の方からです」
「へぇ、一人で北海道旅行かい?」
「はい、オオカミが見たくなって、ぶらっと…」
そう言うと、次に来るのは変わってるね、だろう。
「そうかぁ、嬉しいな。私もオオカミが好きなんだ」
共感して貰えた事に嬉しくなって、オオカミの魅力がどうだとか小さい頃に狼王ロボを読んでボロボロ泣いた思い出だとか、人目もはばからずについ饒舌になってしまう。それを嫌な顔一つせずに相槌を打って聞いてくれる。ふと我にかえると途端に恥ずかしくなってきた。
「あ、す、すみません」
「ふふ、楽しかったよ、そんなにオオカミ好きなんだ」
可笑しそうに笑う姿に、心が引き込まれたような気がした。
「ところで、この後はどこか予定あるの?」
「あー、いえ、勢いだけで飛び出して来たので宿も決まってなくて…」
そう言うとひとしきり笑った後、少し不満げな顔をした僕にごめんごめんと謝ってこう続けた。
「よかったらこの辺り案内するよ」
「いいんですか?でも…」
言いよどんでいると、手を差し出される。
「オオカミ」
「え?」
「私の名前。大神優(おおかみ ゆたか)、よろしくね」
「よ、吉川幸博です…」
手を握り返してそう答えた。
大神さんの車に乗せてもらい、観光名所を案内してもらった。雪の森に浮かぶこの世のものとは思えない美しさの青い池、地平線をどこまでも続く雪原。テレビやポスターで見た風景を目の当たりにして心が洗われるようだ。あのポプラの木は有名なんだよ、という大神さんに感動を伝えると、まあこれぐらいしか無いんだけどね、と少し自慢げに笑ってくれた。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、日も暮れかけてそろそろお別れの時間だ。名残惜しい気持ちを押し込めて切り出した。
「あの、そろそろ…」
大神さんはハンドルを握って前を向いたまま、ぼそりと呟くように言う。
「ウチ来るかい?」
「さすがにそこまでは…悪いですよ」
僕が犬だったら尻尾をぶんぶん振っているだろうが、今日会ったばかりで家にお邪魔するのはあまりに厚かましいと思って固辞する。
「いきなり誘われても迷惑だよねぇ」
「いえ!そ、そんな事はなくて、その」
「一人暮らしで寂しいオジさんの話相手が誰かいないかなぁ、オオカミ話が聞きたいなぁ」
ちらちらとこちらを窺いながらわざとらしく独り言のように話しかけられる。
「お邪魔でなければ是非!」
やけくそになってそう返すと、大神さんはしてやったりという顔でにやりと笑った。
「良かった、振られちゃうかと思ったよ。もちろん泊まっていくよね?ウチの近くはコンビニとか無いから買いたいものがあったら言ってね。あ、飲み物とか食べ物はウチにあるからね」
そう畳み掛けられて面食らった僕は、ロボットのように大丈夫ですと答えるのが精一杯だった。
車で30分くらい走った頃、大神さんの家に到着した。山奥にぽつんと建った一軒家で、良く言えば趣のある山小屋のような家だ。それでも一人暮らしと言っていた割にはきちんと手入れされているのか、荒れ果てているような感じは無かった。
「さあさあ、あがって」
上機嫌な大神さんに続いて家にお邪魔する。他人の家というのは家ごとに様々な匂いがあり、住人の生活を物語っている。どこかで嗅いだ、懐かしい匂いがして尋ねてみた。
「犬とか飼ってるんですか?」
「ん?いや、私一人だよ」
少しだけ大神さんの目が鋭くなった気がした。
部屋に入るとさすがは北国というべきか暖炉があった。本物の暖炉なんて初めて見た。物珍しさにきょろきょろと辺りを見ていると、晩御飯を作っている間テレビでも見ておいてとソファーに座らせられるる。料理の手伝いを申し出ては見たものの、まあいいからとかわされてニュースを眺める事になった。普段とは違う天気予報の地図に、自分が遠くの地まで来たことを実感する。
「おまたせ、簡単なものしかないけど」
テレビを消して、ダイニングテーブルの椅子へと腰掛ける。テーブルの上では鮭の入ったシチューが湯気を立てていて、思わずごくりと唾を飲み込むと腹がぐぅとなった。大神さんは慣れた手つきでグラスにビールを注いて僕に渡す。
「はい、乾杯」
「か、乾杯」
美味しい料理とお酒と、旅先での楽しい出会いに浮かれた僕はいつも以上に飲んで羽目を外してしまう。
「っはぁ…やっぱねぇ、オオカミが一番カッコいいんですよ!」
大神さんは、昼間食堂でそうだったようにニコニコとしながら相槌を打つ。
「うんうん、どんなところがカッコいいの?」
「まずねぇ、目が綺麗で…遠吠えは神秘的だし、毛並みも良くてぇ」
「ワンちゃんみたいな愛くるしさもあって」
そう言うと、大神さんはむっと不満そうな顔をするが、おかまいなしに続ける。
「でも、でもねぇ、世界でいっちゃんカッコいいんすよぉ!」
理屈もへったくれも無いその言い草に、大神さんは笑ってくれる。
「大神さんも、好きなんでしょお?オオカミだけにってね!」
酔っ払いのウザったらしい絡みにも、嫌な顔をせずに返してくれる。
「うん、そうだね。なんだか運命じみたものを感じていてね」
「あぁー、もう、大神さん可愛いなぁ」
そう言った後、アルコールで蕩けた頭でも今の言葉はまずかったと判断して後悔した。今日会ったばかりの相手に、しかも年上の人に、男相手に言って良い言葉じゃ無かった。背中を冷や汗がつたう中口を開く。
「あ、あの、すみま…」
「そう、嬉しいな」
予想外の言葉に面食らう。
「でも、飲み過ぎみたいだからそろそろ寝ようか?」
「はぁい」
間の抜けた返事を返す。
「おやすみ…」
どうやって寝かせられたのかもわからないまま、ベッドの上で浮遊感に包まれている。遠くで薪が爆ぜる音が聞こえ、妙にスースーとした全身の感覚に違和感を持つ。腹を掻こうと手を伸ばすと、何かに強い力で押さえつけられた。
「は、え?」
身体を起こそうとベッドが軋んで嫌な音を立てる。状況が飲み込めずに目を開けると、薄明かりに照らされた天井が見えた。もう一度、身体を起こそうと力を入れてみると手首に何かが食い込んで鋭い痛みが走る。
「え?なに、なんで」
ベッドに縛られている。しかも全裸で。状況を理解いくにつれて、飲んだビールが冷や汗になって流れ出ていく。僕は大神さんと食事をして、ビールを飲んで楽しく話をして…そうだ、大神さん!
「あ、あの、大神さ……っ!?」
視界の端で何か大きな影がのそりと動いて息を飲む。暗くてよく見えず、動かない首を精一杯起こして目を凝らして見る。大神さんだろうか、それにしては何か異質な、人間では無い異様な存在に思えた。ただいずれにしろ、ベッドに縛られて動けないこの状況をなんとか打破しないといけない。
「おおかみ…さん」
その影がひどく緩慢な動作で振り向くと、どう見ても人間のそれではないシルエットが映された。いかにも動物的なその丸い目と目が合うと鳥肌が立つ。大きくて、二足で歩いて…まさか熊!?どこかのニュースで読んだ、哀れな登山者が熊に喰い殺された事件が頭をよぎる。
「ぐるる…」
低く唸り声を上げながらそれは足元へと近づいて来る。助けを求めて叫ぼうとしても浅く荒い息を吐くことしか出来ず、じっとりと背中を濡らす汗でシーツが張り付く。硬い獣毛が太腿を撫で上げる感触に小さく悲鳴を上げる。
「ひっ…!た、たす…」
聞き入れられないと解っていても命乞いをする。もちろんそんな事を言っても何の意味も為さず、それは僕の足元に覆いかぶさるようにしてのし掛かる。人間のものとは違う体温を感じながら息を吸うと、動物の生臭い匂い。昼間に動物園で嗅いだあの匂いがする。
たまらず目を見開いてその影を凝視すると、暗闇の中にうっすらと照らされた大きな耳とせり出したマズル、そして金色の瞳。僕はこの動物を知っている。
「お…お…かみ…?」
ただ僕の知っているそれと異なるのは、首から下がまるで人間の体躯のようでそれでいてふさふさとした毛に覆われている。人狼、狼男、ワーウルフ。作り物の筈の存在が、確かな存在感を持ってそこにいた。
「ぐる…」
僕の呼びかけに答えるようにそのオオカミ、人狼は短く唸った。ある時は人喰いの化け物として、またある時は人外のヒーローとしても描かれるそれを眺める。だがその双眸には理性の光は見えず、野生が渦巻き支配していた。硬直している僕をよそに、人狼はやおら口を開く。ぎらりと光るナイフのように並んだ牙が見えて、哀れな子羊がどういう運命を辿るかを残酷に示していた。人狼は大きく口を開けて僕の腹を目掛けてゆっくりと頭を下ろしていく。次に来る生き地獄に備えて目を固く瞑った。
べろり。
下腹部をくすぐったさが駆ける。
ぺろ、べろ…
味見のつもりなのだろうか、恐怖で萎えきったちんぽに舌が這う。肉食動物は獲物を食べる時、腹や性器などの柔らかい部分から先に食べると聞いた事がある。
「んっ…」
執拗にちんぽを舐められる感触に思わず声を漏らしてしまう。頭の中は喰われる恐怖でいっぱいなのに、与えられる物理的な刺激と種を残したい生存本能からか、ちんぽが熱を持って芯が通っていく。
ちゅっちゅ…れろ…むちゅ
膨らみ始めた亀頭を乳でも吸うように吸い上げられ、裏筋に口付けをされる。人狼のふんふんという鼻息がくすぐったくて思わず腰を引いてしまう。
「はぁっ、んっ」
これから無惨に喰い殺されるにしてはおよそ似つかわしくない快楽に酔いしれていく。
ざり、にちゃっ…ぢゅっ
「あっ、あっ!」
刺激を与えられる度に溢れ出たであろう先走りを、生暖かい犬舌で尿道口からこそぎ取られ暴力的な刺激に悲鳴を上げる。先走りと唾液に濡れたちんぽが夜の空気に触れて冷たい。ちんぽが痛いくらいに腫れ上がって脈動するのを感じる。
クンクン…スーッ、ハッハッ…グルル
人狼は麻薬探知犬がするように必死になってちんぽを嗅ぎ回っているようだ。死の恐怖が快楽で塗りつぶされ始めて、これはきっと夢なんだと自分を納得させる。時折股間で暴れまわる人狼のヒゲが与えるチクチクとした弱い刺激にもどかしくなって、精一杯腰を突き出してみせる。
「うぉっ」
ぬるりと冷たい人狼の鼻にちんぽが擦れてたまらず嬌声をあげる。もう一度腰を突き出す。ぬちゃっと粘り気のある音がして人狼の鼻を擦る。また腰を突き出すと今度は唇に触れたのか暖かい粘膜の感触と裏筋から感じる硬い牙の感触。
ぬちょっ、ずり、ぐりゅっ
馬鹿になったように滅茶苦茶に腰を動かして人狼の鼻先に亀頭を叩きつける。切ない快楽に溺れていると人狼の後ろからバサバサと激しく尻尾を振るような音が聞こえて来る。夢と現実が混濁して段々と思考がぼやけていく中で人狼に向かって言葉を放つ。
「く、口で…」
…じゅぶぶっ
一拍置いてから亀頭が火傷しそうな程の熱に包まれる。すぼまった口内の肉壁を亀頭がかき分けて飲み込まれてゆき、やがてちんぽの根元まで溶けそうな熱さで包まれる。ちんぽがびくりと跳ねる度に湿った粘膜と擦れてそれだけで射精してしまいそうになる。
「ああぁ…口の中あつ…い」
その反応に気を良くしたのか、人狼はちんぽにむしゃぶりつく。溢れ出た先走りと唾液の混じった液体をこくこくと飲み干す音が聞こえる。
じゅぼっ、ぶっ…じゅっぽぐぽっ
ちんぽが口の中でしごき上げられる。汗と唾液と獣臭が混ざり合って、普段であれば顔をしかめてしまうようなむわりとした匂いが部屋に立ち込める。快楽を貪りだらしなく口を開けたまま天井を眺めると、古代文明で生贄として差し出され、石段の上で命を潰えた奴隷のような気持ちになった。
「はぁっ、あっ、あっ」
陰嚢が縮みあがり、射精感がこみ上げる。
ぶじゅっ、じゅぼっにゅちっじゅっぷ
射精が近いのを察知したのか、ちんぽを責め立てる動きがさらに早くなり、頭の中が射精したいというただ一つに支配されていく。ベッドに縛り付けられて満足に身動きも取れないまま、人狼に一方的に精液を搾取される異様な光景に陶酔していると、鋭い痛みが亀頭に走る。
「いっ!?」
恐らくは犬歯が亀頭のエラを引っ掻いたのだろうか、その痛みは快楽に転換されて脳に伝わり身体を跳ねさせて、びゅっと精液を噴き出させた。それを皮切りにしてとめどなく精液が尿道を駆け上がる。
「はぁっ、あっ、いくいくっ!」
びゅーっびゅっ、びゅぶっびゅ…どぷっ
人狼の口内に精液を撒き散らす。ちんぽがしゃくり上げる度におっとかうっといった情けない声が漏れて、射精をする間も人狼の舌が亀頭を撫で回して頭が真っ白になる。精液を吐き出し終えてもちんぽは痙攣を続けて、あたかもまだ射精が続いているような錯覚を覚える。ちんぽは徐々に硬度を失っていくが名残惜しむように腰を小さく動かして、快楽とくすぐったさを貪った。
…っ…ごくっ、ごくごくっ…っはぁ…
口の中にこれでもかという位に射精された精液を喉を鳴らして飲み下すと、人狼は大きく息を吐いた。段々と冷静になってくる頭で、とんでもない事になってしまったという考えが出て来るが、疲労と眠気に押されて輪郭を失いぼやけていく。
すん、とどこか満足そうに人狼は鼻を鳴らすと顔を上げると、抱きつくように覆いかぶさってくる。全身を筆で撫でられたような感触に身をよじると、ぬちゃりとした感触と共に熱い人狼のちんぽが臍を撫でる。人狼は僕を見据えた後、耳元に顔を近づけて生臭い息を吐きながらこう言った。
「ここから生きて帰さないからな…」
遠くで聞こえたその言葉を理解する前に意識を手放した。
「あのリーチで外すとかマジかよ…」
ひとりごちながら、商店街に向かって歩き出す。
僕、吉川 幸博(よしかわ ゆきひろ)は、忙殺された年末の仕事を無事に乗り切って、短い冬休みへと入っていた。所帯持ちの職場の同僚は実家に帰ったり、そうでない独身組の連中はスキー旅行などと息巻いていて、僕も誘われはしたもののとてもそんな気にはなれなくて丁重にお断りした。
「彼氏ほしいなぁ」
アラサーという歳になって、職場では中堅社員になり日々をマンネリ気味に過ごしている。両親や上司からは結婚はまだかと迫られて、そんな鬱憤を晴らすようにパチンコに行ったもののあっという間に諭吉は逮捕されてごらんの有様だ。
男にしか恋愛感情を抱けない事に気がついてから、そんな事を誰に相談できるわけでもなく両親には仕事が忙しいからと誤魔化しを重ねて、いい出会いが無いかとSNSやそういうアプリを試したものの、なんだか独特の文化に馴染めずにすぐに見ることは無くなった。もし彼氏が居たら、今頃はクリスマスや年末年始のデートの事で頭が一杯なんだろうなと思うと一層自分の惨めさに拍車がかかった。
携帯が震えてメールの受信を知らせる。母親からのいつ帰って来るんだという催促だった。ため息をつきながらメールを打つ。
「明日から北海道行ってくる」
半ばでまかせで宣言した北海道行きだったが、幸いにも空席があったので急いで飛行機を予約してあれよあれよという間に北海道旅行が決定してしまった。SNSでA山動物園のオオカミの写真を見て、いつか行きたいなと思っていたので丁度良い機会だった。本当ならいつか恋人と温泉旅行も兼ねて行こうというありもしないプランがあったのだが。それでも普段出不精な僕は久々の冒険に胸を躍らせながら、三日分の着替えを鞄に詰め込んで明日の旅立ちに備えた。
「…寒っ!」
昼下がりのA山動物園のオオカミ舎の前で身震いする。僕の住んでいる関西も相当に寒かったのでそれなりには覚悟していたつもりだったが、朝から飛行機に乗り列車を乗り継いでバスに乗り、目まぐるしく移動を終えてようやく冬の北海道の寒さを実感した。
それでも、活動的に動き回ったりかたや眠りこけていたりするオオカミ達を見ていると、ここに来て本当に良かったと実感する。ポケットの中で冷やされた携帯をかじかんだ手で取り出して何枚か写真を取り、それからまた柵の前の手すりにもたれかかっててオオカミを眺める。
「はぁ~…」
雪とオオカミの組み合わせはどうしてこんなに美しいのか。目に映る尊さにため息しか出ない。冬休みという事もあって園内は家族連れで賑わい、オオカミ舎の前も例外なく人でごった返していた。
「お母さんおおかみいた!わおーん!」
子供が楽しそうにオオカミの鳴き真似をするのを見て思わず笑みが漏れる。自分も小さい頃に連れて行ってもらった動物園でああして下手くそな遠吠えの真似事をして見せて、気まぐれに返してくれた遠吠えにどこかオオカミと心が通じ合ったような感動を覚えたものだ。
思い出に浸りながら、ちらと横を見るとオジさんと目があって思わず会釈する。地元の人なのか、分厚いジャケットにリュックを背負った僕とは違って、手ぶらでずいぶんな軽装をしていた。寒く無いんだろうか。
向こうも会釈を返してくれたが、なんとなく気恥ずかしくなってまたオオカミに視線を戻して、冷たい雪をまるでふわふわとした温かい布団のようにして眠るオオカミを眺める。先ほど騒いでいた子供は次のお目当てを見るべく坂を走って降りていく。何時間でもオオカミを見ていたい気持ちはあるのだが、折角ここまで来たからという気持ちと、朝から何も食べていない空腹も手伝って売店に向かう道すがら他の動物を見る事にした。そういえばここアザラシの展示が有名なんだっけ…
人混みをかき分けていくつかの展示を遠巻きに見た後、食堂にたどり着いた。ここまで来てありふれたモノを食べるのも、と思って何か珍しいものが無いかとメニューを見ながら悩んでいると。
「これ、おすすめだよ」
先ほどのオジさんが、横からメニューを指差した。僕よりは一回りは背が高いだろうか、ラフな服装も手伝ってかすらっとしたそのオジさんは、笑顔で僕の顔を覗き込んで来る。
「あ、じゃ、じゃあこれとコーヒーで」
「私も同じもので」
「はい、530円ずつね」
差し出されたトレイを受け取って戸惑っていると、こっち空いてるよと促されて二人がけの椅子に座る。
「これね、ホットドッグのパンの部分がお米になってて…この辺のローカルフードっていうのかな?」
「へぇ、そうなんですか、珍しいですね」
思わず携帯のカメラでパシャリ。
「うわ、あつっ!」
「それ、熱いから気をつけてね」
熱いお米にエビフライが包まれていて不思議な味だ。名古屋の天むすとはまた違った感じで悪くはない。
「美味しいですね」
満足そうに頷くと、オジさんも一口食べて顔を綻ばせた。
「どこから来たの?」
大仰な身なりに旅行で来たと踏んだのだろうか。
「関西の方からです」
「へぇ、一人で北海道旅行かい?」
「はい、オオカミが見たくなって、ぶらっと…」
そう言うと、次に来るのは変わってるね、だろう。
「そうかぁ、嬉しいな。私もオオカミが好きなんだ」
共感して貰えた事に嬉しくなって、オオカミの魅力がどうだとか小さい頃に狼王ロボを読んでボロボロ泣いた思い出だとか、人目もはばからずについ饒舌になってしまう。それを嫌な顔一つせずに相槌を打って聞いてくれる。ふと我にかえると途端に恥ずかしくなってきた。
「あ、す、すみません」
「ふふ、楽しかったよ、そんなにオオカミ好きなんだ」
可笑しそうに笑う姿に、心が引き込まれたような気がした。
「ところで、この後はどこか予定あるの?」
「あー、いえ、勢いだけで飛び出して来たので宿も決まってなくて…」
そう言うとひとしきり笑った後、少し不満げな顔をした僕にごめんごめんと謝ってこう続けた。
「よかったらこの辺り案内するよ」
「いいんですか?でも…」
言いよどんでいると、手を差し出される。
「オオカミ」
「え?」
「私の名前。大神優(おおかみ ゆたか)、よろしくね」
「よ、吉川幸博です…」
手を握り返してそう答えた。
大神さんの車に乗せてもらい、観光名所を案内してもらった。雪の森に浮かぶこの世のものとは思えない美しさの青い池、地平線をどこまでも続く雪原。テレビやポスターで見た風景を目の当たりにして心が洗われるようだ。あのポプラの木は有名なんだよ、という大神さんに感動を伝えると、まあこれぐらいしか無いんだけどね、と少し自慢げに笑ってくれた。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、日も暮れかけてそろそろお別れの時間だ。名残惜しい気持ちを押し込めて切り出した。
「あの、そろそろ…」
大神さんはハンドルを握って前を向いたまま、ぼそりと呟くように言う。
「ウチ来るかい?」
「さすがにそこまでは…悪いですよ」
僕が犬だったら尻尾をぶんぶん振っているだろうが、今日会ったばかりで家にお邪魔するのはあまりに厚かましいと思って固辞する。
「いきなり誘われても迷惑だよねぇ」
「いえ!そ、そんな事はなくて、その」
「一人暮らしで寂しいオジさんの話相手が誰かいないかなぁ、オオカミ話が聞きたいなぁ」
ちらちらとこちらを窺いながらわざとらしく独り言のように話しかけられる。
「お邪魔でなければ是非!」
やけくそになってそう返すと、大神さんはしてやったりという顔でにやりと笑った。
「良かった、振られちゃうかと思ったよ。もちろん泊まっていくよね?ウチの近くはコンビニとか無いから買いたいものがあったら言ってね。あ、飲み物とか食べ物はウチにあるからね」
そう畳み掛けられて面食らった僕は、ロボットのように大丈夫ですと答えるのが精一杯だった。
車で30分くらい走った頃、大神さんの家に到着した。山奥にぽつんと建った一軒家で、良く言えば趣のある山小屋のような家だ。それでも一人暮らしと言っていた割にはきちんと手入れされているのか、荒れ果てているような感じは無かった。
「さあさあ、あがって」
上機嫌な大神さんに続いて家にお邪魔する。他人の家というのは家ごとに様々な匂いがあり、住人の生活を物語っている。どこかで嗅いだ、懐かしい匂いがして尋ねてみた。
「犬とか飼ってるんですか?」
「ん?いや、私一人だよ」
少しだけ大神さんの目が鋭くなった気がした。
部屋に入るとさすがは北国というべきか暖炉があった。本物の暖炉なんて初めて見た。物珍しさにきょろきょろと辺りを見ていると、晩御飯を作っている間テレビでも見ておいてとソファーに座らせられるる。料理の手伝いを申し出ては見たものの、まあいいからとかわされてニュースを眺める事になった。普段とは違う天気予報の地図に、自分が遠くの地まで来たことを実感する。
「おまたせ、簡単なものしかないけど」
テレビを消して、ダイニングテーブルの椅子へと腰掛ける。テーブルの上では鮭の入ったシチューが湯気を立てていて、思わずごくりと唾を飲み込むと腹がぐぅとなった。大神さんは慣れた手つきでグラスにビールを注いて僕に渡す。
「はい、乾杯」
「か、乾杯」
美味しい料理とお酒と、旅先での楽しい出会いに浮かれた僕はいつも以上に飲んで羽目を外してしまう。
「っはぁ…やっぱねぇ、オオカミが一番カッコいいんですよ!」
大神さんは、昼間食堂でそうだったようにニコニコとしながら相槌を打つ。
「うんうん、どんなところがカッコいいの?」
「まずねぇ、目が綺麗で…遠吠えは神秘的だし、毛並みも良くてぇ」
「ワンちゃんみたいな愛くるしさもあって」
そう言うと、大神さんはむっと不満そうな顔をするが、おかまいなしに続ける。
「でも、でもねぇ、世界でいっちゃんカッコいいんすよぉ!」
理屈もへったくれも無いその言い草に、大神さんは笑ってくれる。
「大神さんも、好きなんでしょお?オオカミだけにってね!」
酔っ払いのウザったらしい絡みにも、嫌な顔をせずに返してくれる。
「うん、そうだね。なんだか運命じみたものを感じていてね」
「あぁー、もう、大神さん可愛いなぁ」
そう言った後、アルコールで蕩けた頭でも今の言葉はまずかったと判断して後悔した。今日会ったばかりの相手に、しかも年上の人に、男相手に言って良い言葉じゃ無かった。背中を冷や汗がつたう中口を開く。
「あ、あの、すみま…」
「そう、嬉しいな」
予想外の言葉に面食らう。
「でも、飲み過ぎみたいだからそろそろ寝ようか?」
「はぁい」
間の抜けた返事を返す。
「おやすみ…」
どうやって寝かせられたのかもわからないまま、ベッドの上で浮遊感に包まれている。遠くで薪が爆ぜる音が聞こえ、妙にスースーとした全身の感覚に違和感を持つ。腹を掻こうと手を伸ばすと、何かに強い力で押さえつけられた。
「は、え?」
身体を起こそうとベッドが軋んで嫌な音を立てる。状況が飲み込めずに目を開けると、薄明かりに照らされた天井が見えた。もう一度、身体を起こそうと力を入れてみると手首に何かが食い込んで鋭い痛みが走る。
「え?なに、なんで」
ベッドに縛られている。しかも全裸で。状況を理解いくにつれて、飲んだビールが冷や汗になって流れ出ていく。僕は大神さんと食事をして、ビールを飲んで楽しく話をして…そうだ、大神さん!
「あ、あの、大神さ……っ!?」
視界の端で何か大きな影がのそりと動いて息を飲む。暗くてよく見えず、動かない首を精一杯起こして目を凝らして見る。大神さんだろうか、それにしては何か異質な、人間では無い異様な存在に思えた。ただいずれにしろ、ベッドに縛られて動けないこの状況をなんとか打破しないといけない。
「おおかみ…さん」
その影がひどく緩慢な動作で振り向くと、どう見ても人間のそれではないシルエットが映された。いかにも動物的なその丸い目と目が合うと鳥肌が立つ。大きくて、二足で歩いて…まさか熊!?どこかのニュースで読んだ、哀れな登山者が熊に喰い殺された事件が頭をよぎる。
「ぐるる…」
低く唸り声を上げながらそれは足元へと近づいて来る。助けを求めて叫ぼうとしても浅く荒い息を吐くことしか出来ず、じっとりと背中を濡らす汗でシーツが張り付く。硬い獣毛が太腿を撫で上げる感触に小さく悲鳴を上げる。
「ひっ…!た、たす…」
聞き入れられないと解っていても命乞いをする。もちろんそんな事を言っても何の意味も為さず、それは僕の足元に覆いかぶさるようにしてのし掛かる。人間のものとは違う体温を感じながら息を吸うと、動物の生臭い匂い。昼間に動物園で嗅いだあの匂いがする。
たまらず目を見開いてその影を凝視すると、暗闇の中にうっすらと照らされた大きな耳とせり出したマズル、そして金色の瞳。僕はこの動物を知っている。
「お…お…かみ…?」
ただ僕の知っているそれと異なるのは、首から下がまるで人間の体躯のようでそれでいてふさふさとした毛に覆われている。人狼、狼男、ワーウルフ。作り物の筈の存在が、確かな存在感を持ってそこにいた。
「ぐる…」
僕の呼びかけに答えるようにそのオオカミ、人狼は短く唸った。ある時は人喰いの化け物として、またある時は人外のヒーローとしても描かれるそれを眺める。だがその双眸には理性の光は見えず、野生が渦巻き支配していた。硬直している僕をよそに、人狼はやおら口を開く。ぎらりと光るナイフのように並んだ牙が見えて、哀れな子羊がどういう運命を辿るかを残酷に示していた。人狼は大きく口を開けて僕の腹を目掛けてゆっくりと頭を下ろしていく。次に来る生き地獄に備えて目を固く瞑った。
べろり。
下腹部をくすぐったさが駆ける。
ぺろ、べろ…
味見のつもりなのだろうか、恐怖で萎えきったちんぽに舌が這う。肉食動物は獲物を食べる時、腹や性器などの柔らかい部分から先に食べると聞いた事がある。
「んっ…」
執拗にちんぽを舐められる感触に思わず声を漏らしてしまう。頭の中は喰われる恐怖でいっぱいなのに、与えられる物理的な刺激と種を残したい生存本能からか、ちんぽが熱を持って芯が通っていく。
ちゅっちゅ…れろ…むちゅ
膨らみ始めた亀頭を乳でも吸うように吸い上げられ、裏筋に口付けをされる。人狼のふんふんという鼻息がくすぐったくて思わず腰を引いてしまう。
「はぁっ、んっ」
これから無惨に喰い殺されるにしてはおよそ似つかわしくない快楽に酔いしれていく。
ざり、にちゃっ…ぢゅっ
「あっ、あっ!」
刺激を与えられる度に溢れ出たであろう先走りを、生暖かい犬舌で尿道口からこそぎ取られ暴力的な刺激に悲鳴を上げる。先走りと唾液に濡れたちんぽが夜の空気に触れて冷たい。ちんぽが痛いくらいに腫れ上がって脈動するのを感じる。
クンクン…スーッ、ハッハッ…グルル
人狼は麻薬探知犬がするように必死になってちんぽを嗅ぎ回っているようだ。死の恐怖が快楽で塗りつぶされ始めて、これはきっと夢なんだと自分を納得させる。時折股間で暴れまわる人狼のヒゲが与えるチクチクとした弱い刺激にもどかしくなって、精一杯腰を突き出してみせる。
「うぉっ」
ぬるりと冷たい人狼の鼻にちんぽが擦れてたまらず嬌声をあげる。もう一度腰を突き出す。ぬちゃっと粘り気のある音がして人狼の鼻を擦る。また腰を突き出すと今度は唇に触れたのか暖かい粘膜の感触と裏筋から感じる硬い牙の感触。
ぬちょっ、ずり、ぐりゅっ
馬鹿になったように滅茶苦茶に腰を動かして人狼の鼻先に亀頭を叩きつける。切ない快楽に溺れていると人狼の後ろからバサバサと激しく尻尾を振るような音が聞こえて来る。夢と現実が混濁して段々と思考がぼやけていく中で人狼に向かって言葉を放つ。
「く、口で…」
…じゅぶぶっ
一拍置いてから亀頭が火傷しそうな程の熱に包まれる。すぼまった口内の肉壁を亀頭がかき分けて飲み込まれてゆき、やがてちんぽの根元まで溶けそうな熱さで包まれる。ちんぽがびくりと跳ねる度に湿った粘膜と擦れてそれだけで射精してしまいそうになる。
「ああぁ…口の中あつ…い」
その反応に気を良くしたのか、人狼はちんぽにむしゃぶりつく。溢れ出た先走りと唾液の混じった液体をこくこくと飲み干す音が聞こえる。
じゅぼっ、ぶっ…じゅっぽぐぽっ
ちんぽが口の中でしごき上げられる。汗と唾液と獣臭が混ざり合って、普段であれば顔をしかめてしまうようなむわりとした匂いが部屋に立ち込める。快楽を貪りだらしなく口を開けたまま天井を眺めると、古代文明で生贄として差し出され、石段の上で命を潰えた奴隷のような気持ちになった。
「はぁっ、あっ、あっ」
陰嚢が縮みあがり、射精感がこみ上げる。
ぶじゅっ、じゅぼっにゅちっじゅっぷ
射精が近いのを察知したのか、ちんぽを責め立てる動きがさらに早くなり、頭の中が射精したいというただ一つに支配されていく。ベッドに縛り付けられて満足に身動きも取れないまま、人狼に一方的に精液を搾取される異様な光景に陶酔していると、鋭い痛みが亀頭に走る。
「いっ!?」
恐らくは犬歯が亀頭のエラを引っ掻いたのだろうか、その痛みは快楽に転換されて脳に伝わり身体を跳ねさせて、びゅっと精液を噴き出させた。それを皮切りにしてとめどなく精液が尿道を駆け上がる。
「はぁっ、あっ、いくいくっ!」
びゅーっびゅっ、びゅぶっびゅ…どぷっ
人狼の口内に精液を撒き散らす。ちんぽがしゃくり上げる度におっとかうっといった情けない声が漏れて、射精をする間も人狼の舌が亀頭を撫で回して頭が真っ白になる。精液を吐き出し終えてもちんぽは痙攣を続けて、あたかもまだ射精が続いているような錯覚を覚える。ちんぽは徐々に硬度を失っていくが名残惜しむように腰を小さく動かして、快楽とくすぐったさを貪った。
…っ…ごくっ、ごくごくっ…っはぁ…
口の中にこれでもかという位に射精された精液を喉を鳴らして飲み下すと、人狼は大きく息を吐いた。段々と冷静になってくる頭で、とんでもない事になってしまったという考えが出て来るが、疲労と眠気に押されて輪郭を失いぼやけていく。
すん、とどこか満足そうに人狼は鼻を鳴らすと顔を上げると、抱きつくように覆いかぶさってくる。全身を筆で撫でられたような感触に身をよじると、ぬちゃりとした感触と共に熱い人狼のちんぽが臍を撫でる。人狼は僕を見据えた後、耳元に顔を近づけて生臭い息を吐きながらこう言った。
「ここから生きて帰さないからな…」
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