35 / 65
第35話 男の約束
しおりを挟む
「本当に、先輩に頼んでいいんすね?」
「ああ」
「男と男の約束っすよ」
「任せておけって」
「絶対に絶対っすよー……!」
生前の会社の後輩、管野 錬と、月を見ながら酒を飲み交わした翌日。俺はそう言って手を振りながら去っていく錬を見送る。
あれから結局、深夜というより明朝や明け方と呼ばれそうな時間帯まで雑談は続き、いつの間にやらそのまま屋上で眠っていたのか、目が覚めた時もここにいた。
去り際に言い残していった約束というのは、その酒の席、雑談の中で出てきたものなんだが、朝起きても覚えてた上に、さらに念押ししてくるってことは、本当に本気なんだろうな……。
「まさか錬が、美鈴ちゃんに対してその気だったとはねぇ……」
度々宅飲みをする仲の男が2人。己が命を失う前に自分のパソコンを破壊したい、という雑談から止まることなく、酒の席での男同士の会話らしく、その気になるパソコンの中身の方へと、話題が移っていったわけだが……。
錬の趣味は、ナースさんやら、バニーさんやら、CAさんやら、学校の先生やら、秘書さんやら、メイドさんやら、巫女さんやら……とにかくコスプレ物で埋め尽くされていたそうだ。
当然、その中にはミニスカの女性警察官さんも含まれていたので、美鈴ちゃんと出会った当時、目の前に現れたそのファンタジーな現実に大層衝撃を受けたらしい。
俺も彼女の服装については気になっていたのだが、話を聞くところによると、最初は普通に生前に仕事で着用していたパンツタイプの制服を着ていたそうだが、幽霊同士の喧嘩を仲裁している際にその制服が破れてしまったとのこと。
もちろん、最初は同じタイプの制服を求めたが、洋服を提供してくれる協力者も、パンツタイプだろうがスカートタイプだろうが流石に本物の警察官の制服を仕入れることは出来なかったらしく、簡単に手に入るコスプレ衣装を渡されたそうだ。
ちなみにその洋服を提供してくれる協力者っていうのは、古着屋の店主をやっている霊感を持った人間らしく、他にも、霊界の役所は人間社会の中に様々なつながりを持っているらしい。
「俺なんかはネココから生活必需品を貰っているが、そうじゃない人向けの正規の卸業者もいるんだな……」
美鈴ちゃんの場合、求めるものが求めるものなので、たとえネココが調達したとしてもコスプレ衣装になっただろうけど。
まぁとにかく、錬の恋の始まりが、そんな致し方なくコスプレ衣装に身を包んでいたらしい美鈴ちゃんを見て、性癖にヒットしたから、という、なんとも邪な感情からくるものだったわけだが、まぁ、男の恋愛なんてそんなものだろう。
未成年の不良どもから酒を奪うという犯罪を繰り返すのも、ミニスカポリスに追いかけられてみたい、という、お前は男子高校生か! と突っ込みたくなるような下らない理由だったようだし、あいつのアホさ加減には呆れるを通り越して感心するな。
ただ、彼女は、錬を追いかけている途中でも、他に困っている幽霊を見かければ声をかけて助けてあげるような、真面目で優しい警察官だったこともあって、そんな姿を見続けるうちに、あいつはミニスカポリスではなく、苦掘 美鈴のことを好きになっていったとのことだ。
いつも酔っ払いつつも冷静に行動していて、彼女と会ってもいつも通り、別段取り乱したりとかしていなかったから、全く気が付かなかったが、酒を飲んで常に顔を赤くしているのは、もしかして、彼女と会って顔が赤くなるのをごまかすカモフラージュだったり……いや、まさかな。
まぁとりあえず、俺からしてみたら、錬だって、いつもお茶らけていながらも、困っている人を見かければ、たとえ力不足で、最終的に何も助けになれなかったとしても、声をかけて手伝おうとするようなやつだ。
そう考えると、案外お似合いなのかもしれないな。
「さて、いっちょ恋のキューピット、やってみますか」
俺は酒の席で交わした、美鈴ちゃんと錬の恋をサポートするという約束を実行するための作戦を考え始めた。
「ああ」
「男と男の約束っすよ」
「任せておけって」
「絶対に絶対っすよー……!」
生前の会社の後輩、管野 錬と、月を見ながら酒を飲み交わした翌日。俺はそう言って手を振りながら去っていく錬を見送る。
あれから結局、深夜というより明朝や明け方と呼ばれそうな時間帯まで雑談は続き、いつの間にやらそのまま屋上で眠っていたのか、目が覚めた時もここにいた。
去り際に言い残していった約束というのは、その酒の席、雑談の中で出てきたものなんだが、朝起きても覚えてた上に、さらに念押ししてくるってことは、本当に本気なんだろうな……。
「まさか錬が、美鈴ちゃんに対してその気だったとはねぇ……」
度々宅飲みをする仲の男が2人。己が命を失う前に自分のパソコンを破壊したい、という雑談から止まることなく、酒の席での男同士の会話らしく、その気になるパソコンの中身の方へと、話題が移っていったわけだが……。
錬の趣味は、ナースさんやら、バニーさんやら、CAさんやら、学校の先生やら、秘書さんやら、メイドさんやら、巫女さんやら……とにかくコスプレ物で埋め尽くされていたそうだ。
当然、その中にはミニスカの女性警察官さんも含まれていたので、美鈴ちゃんと出会った当時、目の前に現れたそのファンタジーな現実に大層衝撃を受けたらしい。
俺も彼女の服装については気になっていたのだが、話を聞くところによると、最初は普通に生前に仕事で着用していたパンツタイプの制服を着ていたそうだが、幽霊同士の喧嘩を仲裁している際にその制服が破れてしまったとのこと。
もちろん、最初は同じタイプの制服を求めたが、洋服を提供してくれる協力者も、パンツタイプだろうがスカートタイプだろうが流石に本物の警察官の制服を仕入れることは出来なかったらしく、簡単に手に入るコスプレ衣装を渡されたそうだ。
ちなみにその洋服を提供してくれる協力者っていうのは、古着屋の店主をやっている霊感を持った人間らしく、他にも、霊界の役所は人間社会の中に様々なつながりを持っているらしい。
「俺なんかはネココから生活必需品を貰っているが、そうじゃない人向けの正規の卸業者もいるんだな……」
美鈴ちゃんの場合、求めるものが求めるものなので、たとえネココが調達したとしてもコスプレ衣装になっただろうけど。
まぁとにかく、錬の恋の始まりが、そんな致し方なくコスプレ衣装に身を包んでいたらしい美鈴ちゃんを見て、性癖にヒットしたから、という、なんとも邪な感情からくるものだったわけだが、まぁ、男の恋愛なんてそんなものだろう。
未成年の不良どもから酒を奪うという犯罪を繰り返すのも、ミニスカポリスに追いかけられてみたい、という、お前は男子高校生か! と突っ込みたくなるような下らない理由だったようだし、あいつのアホさ加減には呆れるを通り越して感心するな。
ただ、彼女は、錬を追いかけている途中でも、他に困っている幽霊を見かければ声をかけて助けてあげるような、真面目で優しい警察官だったこともあって、そんな姿を見続けるうちに、あいつはミニスカポリスではなく、苦掘 美鈴のことを好きになっていったとのことだ。
いつも酔っ払いつつも冷静に行動していて、彼女と会ってもいつも通り、別段取り乱したりとかしていなかったから、全く気が付かなかったが、酒を飲んで常に顔を赤くしているのは、もしかして、彼女と会って顔が赤くなるのをごまかすカモフラージュだったり……いや、まさかな。
まぁとりあえず、俺からしてみたら、錬だって、いつもお茶らけていながらも、困っている人を見かければ、たとえ力不足で、最終的に何も助けになれなかったとしても、声をかけて手伝おうとするようなやつだ。
そう考えると、案外お似合いなのかもしれないな。
「さて、いっちょ恋のキューピット、やってみますか」
俺は酒の席で交わした、美鈴ちゃんと錬の恋をサポートするという約束を実行するための作戦を考え始めた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
死霊術士が暴れたり建国したりするお話
はくさい
ファンタジー
多くの日本人が色々な能力を与えられて異世界に送りこまれ、死霊術士の能力を与えられた主人公が、魔物と戦ったり、冒険者と戦ったり、貴族と戦ったり、聖女と戦ったり、ドラゴンと戦ったり、勇者と戦ったり、魔王と戦ったり、建国したりしながらファンタジー異世界を生き抜いていくお話です。
ライバルは錬金術師です。
ヒロイン登場は遅めです。
少しでも面白いと思ってくださった方は、いいねいただけると嬉しいです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユニークアイテムな女子(絶対的替えの効かない、唯一無二の彼女)「ゆにかの」
masuta
キャラ文芸
恋と友情、そして命を懸けた決断。青春は止まらない。
世界を股にかける財閥の御曹司・嘉位は、U-15日本代表として世界一を経験した天才投手。
しかし、ある理由で野球を捨て、超エリート進学校・和井田学園へ進学する。
入学式の日、偶然ぶつかった少女・香織。
彼女は、嘉位にとって“絶対的替えの効かない、唯一無二の存在”だった。
香織は、八重の親友。
そして八重は、時に未来を暗示する不思議な夢を見る少女。
その夢が、やがて物語を大きく動かしていく。
ゴールデンウィーク、八重の見た夢は、未曾有の大災害を告げていた。
偶然か、必然か……命を守るために立ち上がる。
「誰も欠けさせない」という信念を胸に走り続ける。
やがて災害を未然に防ぎ、再びグラウンドへと導く。
その中で、恋もまた静かに進んでいく。
「ずっと、君が好きだった」告白の言葉が、災害と勝負を越えた心を震わせる。
それぞれの想いが交錯し、群像劇は加速する。
一人ひとりが主人公。人生に脇役はいない。
現代ファンタジーとリアルが交錯する青春群像劇。
本作は小説家になろう、オリジナル作品のフルリメイク版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる