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プロローグ
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「私は、詩子のことが好きよ。」
真実を裏に潜めながら、彼女は嘘を美しい言葉で飾る。
装飾品を取ってしまえば、後に残るものは押しとどめられた黒い感情。
華やかな言葉の裏に隠された薄汚い感情を、私達は本音と呼ぶ。
誰かから倣った“好き”という中身のない感情に、言葉という装飾品で美しく鮮やかに飾り付ける。
私達は小学校から高校までの現在にかけて、絶対に装飾品は取らないし、本当の感情を露わにすることもない。
何故なら、私達は華やかに着飾った言葉に慣れ、その方が楽だと理解したからである。
「ねえ、詩子。」
二人きりの放課後の教室で、彼女は綺麗なソプラノの声で私の名前を呼んだ。
「なに、ハナ。」
「詩子は誤解しているの。詩子の悪口を言ったのは真理香と一花だから、私は関係ない。でも、いつも悪口を聞かされて、本当にうんざりしていたの。もう嫌だなって思ったの。だから詩子が聞いたのは…」
「大丈夫だよ、わかってる。」
「本当に?」
「うん。私もハナのことが好き。」
私も彼女も、並べる言葉はいつも美しい。
「私達親友よね、詩子。」
綺麗な言葉を羅列する彼女と、合わせて言葉を飾る私。
私達は、お互いの装飾品が大好きだった。
真実を裏に潜めながら、彼女は嘘を美しい言葉で飾る。
装飾品を取ってしまえば、後に残るものは押しとどめられた黒い感情。
華やかな言葉の裏に隠された薄汚い感情を、私達は本音と呼ぶ。
誰かから倣った“好き”という中身のない感情に、言葉という装飾品で美しく鮮やかに飾り付ける。
私達は小学校から高校までの現在にかけて、絶対に装飾品は取らないし、本当の感情を露わにすることもない。
何故なら、私達は華やかに着飾った言葉に慣れ、その方が楽だと理解したからである。
「ねえ、詩子。」
二人きりの放課後の教室で、彼女は綺麗なソプラノの声で私の名前を呼んだ。
「なに、ハナ。」
「詩子は誤解しているの。詩子の悪口を言ったのは真理香と一花だから、私は関係ない。でも、いつも悪口を聞かされて、本当にうんざりしていたの。もう嫌だなって思ったの。だから詩子が聞いたのは…」
「大丈夫だよ、わかってる。」
「本当に?」
「うん。私もハナのことが好き。」
私も彼女も、並べる言葉はいつも美しい。
「私達親友よね、詩子。」
綺麗な言葉を羅列する彼女と、合わせて言葉を飾る私。
私達は、お互いの装飾品が大好きだった。
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