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外部コーチ
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5話 外部コーチ
そんなこんなでさいごと接する時間が増え、ナイターのサークルに行く機会が増え、僕のバド欲は大会以来どんどん満たされていった。
大会前まではバドやりたくてやりたくて1人で素振りだけしかできなくて悶々とした日を過ごしていたけど。これもさいごとの出会いのおかげかな。
山中は確かに強い。先生もすごい。
でも今の僕には強くなりたいという以外は特に目標がなく、サークルお世話になるようになってバド好きな仲間とバドするその時が一番楽しいって思えるようになったから、山中のお誘いをお断りすることにした。
「お前ほんとにいいのか?」
顧問の先生にも、さいごにも何度も同じセリフを言われた。バド人生のエリートコース。僕はそれを自ら蹴ってしまった形になった。
そして後日、うちの部活に、外部コーチが来ると言う噂が流れた。先生に聞いてみると、その噂は本当だった。ただ心なしか先生の顔がこわばっているように見えた。
外部コーチが来る日。
部員全員が集められた。うちの部活は割と適当な部活だったので、幽霊部員が何人もいた。
その部員も全員が集められ、体育館はいつもと違う雰囲気になっていた。こんなに部員いたんだなーって。
1年生男子5人
2年生男子7人
計12人
うちらの部活は女子も多いけど、別れて練習してるので女子のみんなとはあんまり面識はなかった。
「集合ー!!」
初めてまともに部活動している感じだった。
そして顧問の先生が外部コーチを連れて体育館に入って来る...。
え?
山中の...青羽監督!!!!
なんでここに!!!!
「青葉です。今日からこちらの部活の見学をさせていただきます。よろしく。」
なんでも監督は山中の監督を辞めて引退してここの部活に来たらしい。もしかして...。僕の自意識が炸裂した。
でも願っても無いチャンスだと思った!!
この監督に教えてもらって日本で活躍している選手も多いと聞いている。監督の前で頑張ってみようと思った。
ところが...。
監督が来て1週間が経った。
でも青羽監督は、誰にもなにも教える事はなく、ただ座って僕らの練習を眺めていた。
その事を顧問の先生にも問いただしてみたけど、先生も不思議がってなにも納得のいく回答を得る事はできなかった。
「それほら。山中の練習見にいった時もそうだったけど、それぞれの弱点とか今分析中なんじゃね?」
さいごはそう言っていた。僕もそう言う考えもよぎったりしたけど、2週間、3週間経っても、青羽監督が僕らのために指導してくれる事は何もなかった。
しびれを切らした僕は練習後、ついにみんなのタブー、恐れ多くて聞けなかった事をきいてみた。
僕は監督を帰宅時の車の前で待ち伏せした。
「監督!」
「佐藤くん。何かありましたか?」
「監督!質問があります。どうしてここの外部コーチになってくれたんですか?」
単刀直入に聞いて見た。
「わたしは学校の先生を辞めて引退しました。どちらにしろ定年も近かったですしね?」
「どうして辞めたんですか?」
「佐藤くんはどうしてだと思いますか?」
「それは...すみません。間違っていたらすみません。僕の指導をしに来てくれたんですか?」
「違いますよ。」
「ではどうして...山中の監督辞めてまでここに?」
山中の青羽監督は、一旦空を見つめ、僕に満面の笑みを見せた。今まで淡々と語りうっすらと穏やかな表情をキープしていた。体格もふくよかで丸メガネ。見るからに穏やかなその教師が先生から一般の人になった顔を見た。
「それはね。あなたのファンになったからですよ。」
「ファンですか?冗談はやめてくださいよ。」
「本当ですよ?ファン2号でしょうかね」
「な、なんですか?しかもなんで2号なんですか?」
「それは最近友達になった子がいるじゃないですか」
「あ...」
「彼もきっとあなたのファンですよ。あなたの人柄とバドミントンの熱意に」
「そ、そんな事言わないでくださいよ!すごく恥ずかしいです!」
「わたしが山中に誘ったのもそう言う事ですよ。」
「そうなんですか...」
「あなたはわたしよりいい部長、いい選手、いい監督になるでしょう。だからわたしは君の人生に少しでもそばで触れてみたいと思いました。」
どうしていいかわからなかった。
恥ずかしすぎて毛根まで真っ赤になって涙目になって恥ずかしくなって、そのまま挨拶せずに走って逃げ帰ってしまった。
1ヶ月もすると青羽先生がうちの部活に来ていると言う噂が広範囲に広がった。
青羽先生の名前を知らない人はここら辺のバドやっている人にはいないくらいの人らしい。
練習中に見学くる人、窓から覗く人もちらほら。
それでも先生は僕らの練習をただ眺める日が続いた。本当に...僕のファン...?
青羽先生が引退したのも新聞にも載ってたし、どうやらこの学区近辺に住まいも設けたらしい。
なんなのさいごも先生も僕を買いかぶりすぎだよ。僕はバドミントンがとっても好きなだけ。多分他の誰よりもだけど。
そんなこんなでさいごと接する時間が増え、ナイターのサークルに行く機会が増え、僕のバド欲は大会以来どんどん満たされていった。
大会前まではバドやりたくてやりたくて1人で素振りだけしかできなくて悶々とした日を過ごしていたけど。これもさいごとの出会いのおかげかな。
山中は確かに強い。先生もすごい。
でも今の僕には強くなりたいという以外は特に目標がなく、サークルお世話になるようになってバド好きな仲間とバドするその時が一番楽しいって思えるようになったから、山中のお誘いをお断りすることにした。
「お前ほんとにいいのか?」
顧問の先生にも、さいごにも何度も同じセリフを言われた。バド人生のエリートコース。僕はそれを自ら蹴ってしまった形になった。
そして後日、うちの部活に、外部コーチが来ると言う噂が流れた。先生に聞いてみると、その噂は本当だった。ただ心なしか先生の顔がこわばっているように見えた。
外部コーチが来る日。
部員全員が集められた。うちの部活は割と適当な部活だったので、幽霊部員が何人もいた。
その部員も全員が集められ、体育館はいつもと違う雰囲気になっていた。こんなに部員いたんだなーって。
1年生男子5人
2年生男子7人
計12人
うちらの部活は女子も多いけど、別れて練習してるので女子のみんなとはあんまり面識はなかった。
「集合ー!!」
初めてまともに部活動している感じだった。
そして顧問の先生が外部コーチを連れて体育館に入って来る...。
え?
山中の...青羽監督!!!!
なんでここに!!!!
「青葉です。今日からこちらの部活の見学をさせていただきます。よろしく。」
なんでも監督は山中の監督を辞めて引退してここの部活に来たらしい。もしかして...。僕の自意識が炸裂した。
でも願っても無いチャンスだと思った!!
この監督に教えてもらって日本で活躍している選手も多いと聞いている。監督の前で頑張ってみようと思った。
ところが...。
監督が来て1週間が経った。
でも青羽監督は、誰にもなにも教える事はなく、ただ座って僕らの練習を眺めていた。
その事を顧問の先生にも問いただしてみたけど、先生も不思議がってなにも納得のいく回答を得る事はできなかった。
「それほら。山中の練習見にいった時もそうだったけど、それぞれの弱点とか今分析中なんじゃね?」
さいごはそう言っていた。僕もそう言う考えもよぎったりしたけど、2週間、3週間経っても、青羽監督が僕らのために指導してくれる事は何もなかった。
しびれを切らした僕は練習後、ついにみんなのタブー、恐れ多くて聞けなかった事をきいてみた。
僕は監督を帰宅時の車の前で待ち伏せした。
「監督!」
「佐藤くん。何かありましたか?」
「監督!質問があります。どうしてここの外部コーチになってくれたんですか?」
単刀直入に聞いて見た。
「わたしは学校の先生を辞めて引退しました。どちらにしろ定年も近かったですしね?」
「どうして辞めたんですか?」
「佐藤くんはどうしてだと思いますか?」
「それは...すみません。間違っていたらすみません。僕の指導をしに来てくれたんですか?」
「違いますよ。」
「ではどうして...山中の監督辞めてまでここに?」
山中の青羽監督は、一旦空を見つめ、僕に満面の笑みを見せた。今まで淡々と語りうっすらと穏やかな表情をキープしていた。体格もふくよかで丸メガネ。見るからに穏やかなその教師が先生から一般の人になった顔を見た。
「それはね。あなたのファンになったからですよ。」
「ファンですか?冗談はやめてくださいよ。」
「本当ですよ?ファン2号でしょうかね」
「な、なんですか?しかもなんで2号なんですか?」
「それは最近友達になった子がいるじゃないですか」
「あ...」
「彼もきっとあなたのファンですよ。あなたの人柄とバドミントンの熱意に」
「そ、そんな事言わないでくださいよ!すごく恥ずかしいです!」
「わたしが山中に誘ったのもそう言う事ですよ。」
「そうなんですか...」
「あなたはわたしよりいい部長、いい選手、いい監督になるでしょう。だからわたしは君の人生に少しでもそばで触れてみたいと思いました。」
どうしていいかわからなかった。
恥ずかしすぎて毛根まで真っ赤になって涙目になって恥ずかしくなって、そのまま挨拶せずに走って逃げ帰ってしまった。
1ヶ月もすると青羽先生がうちの部活に来ていると言う噂が広範囲に広がった。
青羽先生の名前を知らない人はここら辺のバドやっている人にはいないくらいの人らしい。
練習中に見学くる人、窓から覗く人もちらほら。
それでも先生は僕らの練習をただ眺める日が続いた。本当に...僕のファン...?
青羽先生が引退したのも新聞にも載ってたし、どうやらこの学区近辺に住まいも設けたらしい。
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