僕らのバドライフ

ゆきたん

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家練

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4話 家練

次の土曜日の昼。
さいごがうちにやって来た。

「その練習見せて」

来るなり凄い剣幕で言われてびっくりしたけど、言う通りにした。

「なにこのピンポン球の山ww」
「弟といつもこれで遊んでて」
「お前の弟卓球部なのか?」
「そうじゃないんだけどね」

うちにはちょっとした庭というか家と隣の家の塀の隙間があって、僕はそこでいつも練習していた。
自分だけの部屋がないし、唯一1人で遊べるちょっとした隠れ家にもなっていた。

「え?どこ行くんだよ」
「ここ」
「せま!」
「これ履いて」

さいごにはスリッパをはかせ、僕はにいちゃんのおさがりの外用に履き潰した内ばきに履き替えて、言う通りに練習見せた。

「お前...これ...お前の強さの秘密がわかった気がする」

カバーした木製のテニスラケット、人1人分の縦長の狭い塀、内ばき。
僕はこれが日常で、むしろバドが好きなのに家でやれることと言ったらこれしかなかったからね。

「これおもすぎ!」

さいごは木製のテニスラケットで素振りしてみせるがとってもぎこちない。まるで不審者を見るかのような細い目を作って僕をみていた。

「それでなんでピンポン球転がってるの?」
「それはねー」

僕はさいごにいつも弟と一緒にやってる【遊び】を披露した。
それは二階の2人の部屋の窓から屋根にピンポン球を転がして、それを向こう側の塀の的に向かって打つと言うものだった。

「打ってみて」

僕はすかさず二階に上がり、窓からさいごに向かってピンポン球を転がして打たせた。

「これおもろいけどラケット重いし、ピンポン球落ちてくるまで見えないしかなりきついわーお前やってみて」

一階二階のポジション交代して打ってみた。

パコーン、バチン。パコーン、バチン。
20球くらい。

「お前...もしかして」
「なに?」
「同じ壁に当たってるけど...狙って打ってる?」
「うん」
「その隣やってみて」
「うん」

パコーン、バチン。パコーン、バチン。

「お前すご!!!」
「そうかな?」
「サインください」
「は?w」
「だからバドでフレームショット多いのか」
「そうなの?」
「ラケットも玉も重さ違うし!」
「そっか。でも楽しいから」
「お前ってほんと面白い」
「そうかな?」

その後、さいごは頻繁にうちに来てこの狭い塀の中で一緒に素振りするようになった。ゲームとかアニメとか中学生らしい事はあまりしなかった。
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