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弟をかけてガチ勝負
しおりを挟む8話 弟かけてガチ試合
最近は何かあるとさいごが僕に声をかけ、僕がさいごについて歩いてるような主導権はわりとあっちにあった。弟をもらうって内容はちょっとよくわからなかったけど、僕が勝てば問答無用でさいごに言うこと聞いてもらえるって言うのがとても魅力的に感じた。
17時少し前に前に体育館に到着すると、さいごは首にタオル巻いて汗だくだった。既に入念にアップしていた模様。気合が入っている。そんな気迫に押されつつ、話しかけようとした。
「さいご。もう来てたんだ」
さいごは無言でコートを指差した。
うわーマジで怒ってる。
「ラブオールプレイ」
さいごのこの日の第一声はこれだった。
気迫が違う。でも、一度余裕とまではいかないけど大会で勝っている相手。僕もそのプライドがあるし絶対に負けるわけにはいかなかった。
「やっぱお前強いわ」
1セット目21-15で僕の勝利
そのまま勝ちたいところだった。大会で勝利してて、今回も第1セット取った慢心が、プレイの片隅で大きく膨らんで増殖してしまったらしい。
加えてさいごはプレイスタイルを変えて来た。山中の練習見学で対戦した相手とプレイしているようなかんじだった。
2セット目
僕15-15才
さいごのフェイントの猛攻に、僕は点数を数えるのがやっとだった。フェイントで意表突かれてさいごの倍以上動かされるのでどんどん体力が奪われていった。
必要以上にヘアピンとクロスネット多用して、すかさずロブ上げてくる。僕の一番苦手な前後上下のプレイ。
2セット目
僕19-19才
実際大会の決勝より疲れていた。さいごの気迫が僕の体力をどんどん削っていく。今日はバドやっていないし、1試合するうちのまだ2セット目。こんなに疲れるのはおかしい。
2セット目
僕19-20才
ついにリードを許す。
「悪いな佐藤。おちびはもらった!」
デュースに持ち込みたいところだったが、フレームショットにより第2セットを落としてしまった。
これでセットカウント1-1
体力をかなり削られてる上に、手の内を読まれてる。追われている立場。不利な条件が出揃った。
そしてなぜか上の客席にギャラリーが何人か見物していた。あまりの緊迫した試合で集まって来たのだろうか。
ファイナル
僕0-5才
まずい。完全にさいごペース。
ここで負けると1週間さいごの言いなりの上に、弟がとられてしまう。とられてしまうと言うのはおかしいけど、そこはもう兄としての威厳の問題。さいごと弟をかけて負けましたなんて、弟に知られでもしたら兄の威厳がない!死ぬ気で頑張ろう!
「お前やっとやる気出して来たな」
まるで心を読んでいるかのように話しかけてくるさいご。今まで真剣だけな表情だったのに、急に微笑みかけて来た。
ファイナル
僕7-9才
じわじわと攻め込んで、そして相手から一番遠いところではなくて、樋口さんに教わった、相手が一番行きにくいところを狙って打ってみた。そしたらさいごが急に焦り出して、不思議そうな顔でこっちを見つめる回数が増えた。
お互いすでに満身創痍。
弟をかけてのガチ勝負!
ファイナル
僕15-16才
まだリードを許したままだけど明らかに追い込んで、攻め込みができている。
ファイナル
僕20-20才 デュース!!
お互いプレッシャーがかかる。
2点差をつけた方の勝ち!
僕には体力がある。さいごには経験がある。3セット目のこの状況で有利なのかどっちか。
ここは心理戦。僕はバックハンドでショートサーブ打っていたんだけど、意表をついてロングにしてみよう。まだこの試合ではロングは、一度も打っていなかった。
ところが...!
ファイナル
僕20-21才
まさかのサーブミス。
力を込めようとして、まさかのフレームにあたり自コートにシャトルが落ちた...
終わった...兄の威厳なし。1週間いいなり生活。このままだとさいごに頭が上がらない一生...そうなるのを覚悟していた。
「よしゃー!!あと1点!!」
さいごが吠える。落ち込む僕。これ以上策がない。経験が勝ってしまうのか。
「にいちゃんー!!!!がんばれー!!!!」
???
後ろの上の方の二階観客席から声がした。弟がすごい形相で僕の応援していた。弟の友達も何人か居るみたいでがんばれーって言ってくれていた。
さいごはしまったー!って顔をしながら、ロングサーブを打って来た。僕は真ん中にドロップを落として様子を見た。さいごも真ん中にヘアピンで様子見。僕はバックへロブを上げて動かす。才悟はフォア間に合わないようで、バックハンドでクリア上げて来た。僕はその中途半端なクリアを見逃さなかった。さいごがコートの真ん中へ戻って来たところを見計らって逆にまたバックにスマッシュを打った。
「にいちゃんー!!!かっこいいー!!!」
ファイナル
僕21-21才
弟の声援は今の僕には最高の起爆剤だった。
後の2点は記憶がないほど体が動いて感覚がなかった。
ファイナル
僕23-21才
ゲーム結果
僕2ゲーム-1ゲーム才
「やっぱお前...すごいや...」
「昨日はごめん。なんで泣くのさ」
「嬉しくて」
「負けたのに?」
「兄弟って...いいよな」
さいごは一人っ子らしい。
それからというもの。僕は弟を連れて頻繁にさいごの家に遊びにいった。
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