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下田市 郁美のこと
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奥まった先に、内陣の本尊が黒々と見えた。
かび臭い。
畳敷きに肉厚の紫の座布団があって、俺はそれを見つめた。
背後には郁美がいる。
しかし、振り返って彼女を見ることができなかった。
見る勇気が出ない。こわいのか?
「・・・・・・・。」
一呼吸。
振り返る。
この瞬間、俺はプロに戻っていた。
郁美はこちらに背中を向けたまま、あまりにも綺麗な姿勢でピンと座っている。
その伸びた姿勢のしなやかさに、女という生き物は、こんなにも美しいものかと思わずにはいられなかった。
「あ、開いちゃったね」
「はい。」
即答。
落ち着いた声。
凛とした佇まい。
ほんとに、さっきまでの幼さの濃い女か?
それに引き換え、俺の緊張はどうだろう。
二の腕の筋肉がこわばっている。ふくらはぎだってそうだ。首のあたり、頬も硬直。
なにより、
開いちゃったね
なんだよ、この浮ついた冴えないセリフはっ、、、。
いつも肝心なときに女に勝てない。
それは、きっと、肝心どころでの肝の据わり方が圧倒的に違うのだ。
何がプロだ。半人前。
勝手に負けている。
思考を停止しろ。
動けばいいだけだ。
余計な考えは身を硬直するだけ。
身を翻し、郁美に向けた。
犯してください
彼女はそう言ったじゃないか。
堂々と犯せばいい。そうだろう?
思いを切る。まさに思い切って、右手を伸ばした。
郁美の左肩。
がしっと掴む。
手を押し込む。
郁美を押し倒そうとした。
その瞬間。
「きゃぁあああぁぁああぁあああぁああぁぁぁ!!!!」
「いっ!??」
「や め てっ !」
かび臭い。
畳敷きに肉厚の紫の座布団があって、俺はそれを見つめた。
背後には郁美がいる。
しかし、振り返って彼女を見ることができなかった。
見る勇気が出ない。こわいのか?
「・・・・・・・。」
一呼吸。
振り返る。
この瞬間、俺はプロに戻っていた。
郁美はこちらに背中を向けたまま、あまりにも綺麗な姿勢でピンと座っている。
その伸びた姿勢のしなやかさに、女という生き物は、こんなにも美しいものかと思わずにはいられなかった。
「あ、開いちゃったね」
「はい。」
即答。
落ち着いた声。
凛とした佇まい。
ほんとに、さっきまでの幼さの濃い女か?
それに引き換え、俺の緊張はどうだろう。
二の腕の筋肉がこわばっている。ふくらはぎだってそうだ。首のあたり、頬も硬直。
なにより、
開いちゃったね
なんだよ、この浮ついた冴えないセリフはっ、、、。
いつも肝心なときに女に勝てない。
それは、きっと、肝心どころでの肝の据わり方が圧倒的に違うのだ。
何がプロだ。半人前。
勝手に負けている。
思考を停止しろ。
動けばいいだけだ。
余計な考えは身を硬直するだけ。
身を翻し、郁美に向けた。
犯してください
彼女はそう言ったじゃないか。
堂々と犯せばいい。そうだろう?
思いを切る。まさに思い切って、右手を伸ばした。
郁美の左肩。
がしっと掴む。
手を押し込む。
郁美を押し倒そうとした。
その瞬間。
「きゃぁあああぁぁああぁあああぁああぁぁぁ!!!!」
「いっ!??」
「や め てっ !」
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