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第58夜 火傷
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小学4年の時、少し変わったやつが転校して来たんです。
彼は2学期のはじめに転校して来たんですけど、みんなが半袖を着ている中、長袖のトレーナーを着ていたんです。
かといって、寒がりというわけでもなさそうで、自己紹介の間も度々汗を拭いながら、火照った赤い顔で黒板の前に立っていました。
当時は学校にエアコンもなくて、9月のまだ蒸し暑い教室で、それはとても異様な光景でした。
彼はいつも汗をかいていて、みんなそれを不潔に感じたのか、彼と仲良くしようとする者はいませんでした。
しかし、彼はそれを気にも留めていないようで、平気な顔をしてトレーナーで毎日登校していました。
体育はトレーナーの上から体操服を着てモコモコの状態で受けていましたが、先生は特に注意もせず、あたかもそれが普通であるかのように接していました。
ある日、とても暑い日の午後の体育の授業中、彼が倒れました。
滝のように汗をかいて、真っ赤な顔をしており、明らかに熱中症になっていると分かりました。
保健委員だった僕は、彼を保健室まで連れて行きました。
保健室の先生は、彼を引き取ると、
「ありがとう、もういいから授業に戻りなさい」
と言って、僕を保健室から追い払いました。
僕が外に出ると、保健室の中から
「いい?上脱がすわよ?」
という先生の声が聞こえてきました。
ちょっとした好奇心で、僕は保健室の窓からこっそりと中を覗きました。
彼のトレーナーの中が気になって仕方がなかったのです。
トレーナーを脱いだ彼の腕には、手の形をした赤い火傷のような痕が、まるで鷲掴んでいるかのようにくっきりと付いていました。
その日の夜、僕はとても怖い夢を見ました。
自宅が火事になっていて、僕は火の海の中を逃げ惑っているのです。
炎を避けながら、やっとの思いで玄関までたどり着いた時、左腕を誰かに掴まれました。
驚いて振り向くと、火だるまになった人間が僕の腕を掴んでいました。
そして、そこから僕に火が燃え移り、僕は身体を焼かれ転がり回って苦しみました。
そこで目が覚めたのです。
次の日、登校しようとすると、校門の前に彼が立っていました。
「おはよう」
彼は無表情で僕に挨拶してきました。
僕は彼の目を見て、昨日覗いていたことがバレていると確信しました。
「忘れたほうがいいよ」
彼は僕の心を読んだかのように言いました。
僕は彼の言葉を無視して、走って教室に向かいました。
それから僕は彼と一度も会話をすることはなく、彼は次の学年に上がる前に別れも告げず転校していってしまいました。
噂で聞いた話では、火事で両親が亡くなり、それから親戚の家をたらい回しにされながら転校を繰り返しているとのことでした。
僕は今でも、たまにあの夢を見ます。
火だるまでのたうち回るところで目が覚めるのですが、夢が終わる直前に、目の前に彼が立つんです。
小学4年の姿のまま、がらんどうの目をして、こちらを見ているんです。
彼は2学期のはじめに転校して来たんですけど、みんなが半袖を着ている中、長袖のトレーナーを着ていたんです。
かといって、寒がりというわけでもなさそうで、自己紹介の間も度々汗を拭いながら、火照った赤い顔で黒板の前に立っていました。
当時は学校にエアコンもなくて、9月のまだ蒸し暑い教室で、それはとても異様な光景でした。
彼はいつも汗をかいていて、みんなそれを不潔に感じたのか、彼と仲良くしようとする者はいませんでした。
しかし、彼はそれを気にも留めていないようで、平気な顔をしてトレーナーで毎日登校していました。
体育はトレーナーの上から体操服を着てモコモコの状態で受けていましたが、先生は特に注意もせず、あたかもそれが普通であるかのように接していました。
ある日、とても暑い日の午後の体育の授業中、彼が倒れました。
滝のように汗をかいて、真っ赤な顔をしており、明らかに熱中症になっていると分かりました。
保健委員だった僕は、彼を保健室まで連れて行きました。
保健室の先生は、彼を引き取ると、
「ありがとう、もういいから授業に戻りなさい」
と言って、僕を保健室から追い払いました。
僕が外に出ると、保健室の中から
「いい?上脱がすわよ?」
という先生の声が聞こえてきました。
ちょっとした好奇心で、僕は保健室の窓からこっそりと中を覗きました。
彼のトレーナーの中が気になって仕方がなかったのです。
トレーナーを脱いだ彼の腕には、手の形をした赤い火傷のような痕が、まるで鷲掴んでいるかのようにくっきりと付いていました。
その日の夜、僕はとても怖い夢を見ました。
自宅が火事になっていて、僕は火の海の中を逃げ惑っているのです。
炎を避けながら、やっとの思いで玄関までたどり着いた時、左腕を誰かに掴まれました。
驚いて振り向くと、火だるまになった人間が僕の腕を掴んでいました。
そして、そこから僕に火が燃え移り、僕は身体を焼かれ転がり回って苦しみました。
そこで目が覚めたのです。
次の日、登校しようとすると、校門の前に彼が立っていました。
「おはよう」
彼は無表情で僕に挨拶してきました。
僕は彼の目を見て、昨日覗いていたことがバレていると確信しました。
「忘れたほうがいいよ」
彼は僕の心を読んだかのように言いました。
僕は彼の言葉を無視して、走って教室に向かいました。
それから僕は彼と一度も会話をすることはなく、彼は次の学年に上がる前に別れも告げず転校していってしまいました。
噂で聞いた話では、火事で両親が亡くなり、それから親戚の家をたらい回しにされながら転校を繰り返しているとのことでした。
僕は今でも、たまにあの夢を見ます。
火だるまでのたうち回るところで目が覚めるのですが、夢が終わる直前に、目の前に彼が立つんです。
小学4年の姿のまま、がらんどうの目をして、こちらを見ているんです。
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