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Ⅴ.形を変えても愛は変わらず【海誓山盟、青天霹靂】
Rira bien qui rira le dernier.
しおりを挟む「~っ、何が死んだ者よ、何がカラダ捧げろよ!!」
「今日は、一段と荒れているね、アリア」
皇宮の床をブラシで擦りながら、苦笑する執事長を睨んだ。
あれから、働かざる者食うべからずだと
皇宮に仕えるメイドとして働くことを強いられたはいいが。
カラダを捧げるの意味を完全に履き違えていた私には
寧ろこの上ない辱めを受けている気持ちになった。
何故ならば。
「……いい加減この服、どうにかならないんですか」
この服。
そう言ったのは、他でも無い。
丈の短いメイド服のスカートを
引き伸ばしながらケチをつけてやれば、
執事長はどこか煌びやかな黒い燕尾服を翻して笑う。
「それは、拵えさせたレオ様に言って頂けますかな」
「あんの、変態……!!」
「……口を慎みなさい、アリア」
仮にも、相手は王子です。
当たり前のことを当たり前の顔で
咎めてくる執事長を満足いくまで睨む。
だったら、せめてこの服なんとかしなさいよ。
他のメイドと言えば膝下の
お淑やかなロングスカートだというのに
何故私だけスカートの丈に気を配りながら
仕事をせねばならないのだ。
謎にガーターベルトがついているあたり、
あの男のひん曲がる性癖が窺える。本当に最低。
「まぁその辺にして、皇室へお戻りなさい。
貴女にしか出来ない仕事があります」
「え?」
「……王子の、御帰還です」
……今会ったら、殴る自信しかないけど。
そう思いながらも呆れたように微笑む執事長の横を
足早にすり抜けていく私はどこまでも阿呆だ。
早く会いたいと、顔を見たいと思ってしまう私は、
どうしようもない、愚か者。
「アリア」
「……お帰りなさい、“ご主人様”」
皇室に戻り、後ろから掛けられた声に振り向いて
殊更にご主人様と呼んだ。
相も変わらずスカートを引き伸ばしながら恨み辛みを伝えつつも
ニヤけようとする唇を噛み締めて。
あぁ、ただいま。
嬉しそうに微笑んだ彼は、
私の腰を引き寄せ、優しく唇を落とした。
【最後に笑うものが、最もよく笑う】
Rira bien qui rira le dernier.
(いつかそのニヤケ面、殴ってやるんだから……!)
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