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VI.新たな世界の幕開け【心機一転、一新紀元】

L'intention vaut le fait.

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「俺だって、お前を正妻に出来たら、している」

「……もう気にしてないってば」



 むぅ、と見え透いて拗ねる彼は
私の太腿の上に頭を預けてベッドに寝転び子供のように繰り返す。


もう気にしていない、というのは嘘になる。



でも、こんな彼の姿を見られるのはきっと、私だけ。



 歳上の癖に、とクスクス笑ってしまうと
私の心内は彼に伝わってしまったようで。

キッと全く怖くない目で睨んできた。


あぁ、可愛い。



「俺は、他に女なんか要らねぇ。
お前だけいれば、それでいい」

「だから、もう分かったって」



 呆れたように笑って、
腰に手を回してくる彼の金色をふんわりと撫でる。

私の下腹部に顔を埋めたレオが、
珍しく甘えてくれていることに笑みが隠しきれない。



「ねぇ、レオ」

「なんだよ」



 「もし私が、本当に出ていったら、どうしてた?」そう問えば、
「どんな手を使ってでも連れ戻す」そう返したレオに苦笑する。


縛りはしないって、言ったじゃない。



「嘘つきなのね、貴方」

「本音で話せと言ったのはお前だろう」

「あぁ、そうだったわね」



 そうか、あれは王子として言った言葉だった。

今度は私が折れてやると、
「キスしろ」と私の腹から顔を上げた彼に命令をされた。



「……仰せのままに、王子様」






【意図は事実に匹敵する】
L'intention vaut le fait.

(この権力の使い方は、嫌いじゃない)
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