負け犬令嬢日本探遊記

那珂田かな

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一章

ユーリ

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ユーリ・フォークフィールド。

異世界での本当の名は鷹原悠里という。
『伝説の魔女マリー』こと鷹原真里は母方の祖母にあたる。
母親はシングルマザーで忙しかったため、彼は幼少期を祖母、真里に育てられた。
その祖母につれられ、幼少の頃から、別の世界に連れていかれたのだった。
そこは住んでいる日本とは全く違った。
言葉も身分制度も人種も。
一番違ったのは、魔法が使える人間がいる、ということだった。
祖母も、こちらの世界でだけは魔法を使い、人々を助けていた。
だから自分も使えに違いない!と期待したが、祖母から言われた。

『あんたは使えん。そういう封印がされとる』

悠里は悔しかった、
そして、どうしても魔法が使えるようになりたかった。
祖母のように、人助けをしたかった。
だから、その封印を解く方法がないか、何度も真里に聞いた。
しかし、真里は口を固くと出していた。
でも、悠里も諦めなかった。何年も何年も祖母に問い続けた。
最後には真里も根負けし、そしてこう言った。

『封印は、封印を施した人物にしか解けん』

だから悠里は日本の高校を卒業後、ユーリ・フォークフィールドとして、年齢を誤魔化し、魔法が効かないという特殊能力を武器に、王太子に近付き護衛となった。
封印を施した人物、王太子の祖父、フェルディナント元国王に近づくために。

ぐうう。
ユーリの腹が鳴った。時計を見るともうすぐ12時だ。
アンリエットの修行の邪魔だということで、ユーリは台所に行くよう命じられた。
「何か食うもんねえかなあ」
菓子類を探すが、台所の上にミカンがあるくらいだった。
ユーリは冷蔵庫を物色した。
中には、卵、マヨネーズやケチャップ、タッパーに入った漬物、のりの佃煮、納豆、ヨーグルトが入っていた。
「あいかわらず、たいしたもんねえなあ。おっ!」
冷蔵庫の奥にうどんがあった。それも三袋も。
ユーリはリビングに向かって叫んだ。
「なあ、ばあちゃん!このうどん食べてもいいかあ?」
リビングから祖母、真理の大きな声が聞こえた。
「もうすぐお昼やから、うちらの分も一緒に作るんやで!」
「えーっ!俺が昼ご飯作るの?!」
「それぐらい、やらんかい!うどんぐらい作れるやろ!!」
真理のけたたましい声が台所に響いた。
これを近くで聞いているアンリエットはビックリしてるだろうな。ユーリは苦笑した。
「わかったよ!ったく人使い荒いなあ」
ユーリは、雪平鍋にたっぷりの水を入れ火にかける。
そして、冷蔵庫の中を物色し、卵、ねぎ、しょうがチューブを取り出した。
「あとは、うどんスープの素と、あっそうだ、あれも入れるか」
ユーリは楽しそうに昼ごはんの準備を始めた。
うどんなんて、初めて食べるであろうアンリエットの顔を想像しながら。

「よし、おいしいの作るぞ!」
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