世界の意思にさようなら

ラゲク

文字の大きさ
11 / 14
第一章 災害からの脱出

第11話 赤い入口

しおりを挟む
 「やばいやばいやばい!」

焦りと絶望感が全身を駆け巡る。

「ショウ! はやく!」

ハイノメが声を荒らげる、急いで引っ掛かったところをはがし、

奥に進もうとした瞬間、重たい激痛が走りそこで体が動かなくなってしまった。

 

 でもなんだろう……



意識はある、もうすぐ死ぬから徐々に意識が薄れていく感じでもない、はっきりとしている。

むしろ先程の焦りと絶望感がなくなって冴えている。



 死んだのか?



よくわからない変な感覚だ。首は動かせないが、はっきりと目の前の映像は見えている。少し奥にいるハイノメとミナさん……、自分の身体が化け物に食われていることもわかる。どうやら爪でほじくりだして食べているようだ。



 頭だけになりごろごろと奥の方へ転がる……

ドラゴンは全部食べ終えたと思ったんだろう、大きな翼を広げこの場を去った。



「さぁ、化け物は去ったわ。ここを出るわよ。」

「ああああああ、トガさんがぁぁぁ おぇぇ」

「しっかりして、ここにいても何も始まらない! それにショウなら大丈夫。」

「はい?」

「まあ、後で説明するわ!とりあえず出ましょう!」

「で、でもあそこ……」

ミナさんの目線の先はさっき僕が惨殺された入口だ。真っ赤に染まり、肉片が周りに飛び散っている。

「でもここもにもいられないじゃない! 私はマスクがあるから匂いは平気だけど……」

黄色く汚れ、酷いにおいを放っている天使だったはずの彼女を、ハイノメは励ました。

 

 

 瓦礫の隙間から2人が出てから少し経った後、ぼくの体は再生し始めた。

「え? ど、どうなっているんですか?」

「まあ、最初は驚くよね……」

ハイノメが慌てるミナさんを落ち着かせている中、ぼくの体は完全に復活した。

体感的に3分ぐらいだろうか。

「すごいわね……再生能力があがっている。」

「それより、この鷲掴みしている手、放してくれるか? あとできれば、こんどから両手で持ってほしい。僕の頭は、ボールじゃない。」

「了解したわ ちなみに頭だけのときは、痛みとか意識はあるの?」

「痛みはないけど意識はあるよ。」

「ふーーん」

ハイノメの気の抜けた反応を断ち切るようにミナさんが投げかける。

「なんなのですか、説明してください。もう何が何だか……」

「ええ、説明するわ 彼と私の事、今この世界で何が起きているか。ミナさんもここで何があったのか教えてくれるかしら? もちろん無理にとは言わないわ。」

ハイノメはミナさんの様子を伺いながら、この世界に起きている出来事について詳しく説明した。その後、僕たちはミナさんたちの身に何があったのか。知ることになる……



 

 お天道様の顔が見えてきて、闇が明けた。本来なら希望に溢れた時間帯のなかそれは、天から現れた……。翼の生えたドラゴンが次々と人をとって食べ始めたのだ。凶悪な手で捕まえられた人は丸のみにされた。 人が白魚の踊り食いを食べるように、ドラゴンの表情はただ食べるだけじゃなく、どこか楽しんでいる様だった。



「なるほど、だから血痕の後がなかったんだ。」

「全員が食われたわけではないでしょ」

ふたりの反応に気にせずにミナさんは説明を続けた。



 逃げ遅れた彼女はこの瓦礫の場所に隠れ、何とかやり過ごせたようだ。

「なるほどなるほど、でもよかったわね! 運よく瓦礫の隙間があって!」

「よくないですよ! なんでこんな目に合わなきゃいけないんですか! 私が何をしたっていうんですか」

「ご、ごめんなさい そういう言わけじゃ……」

まさかミナさんがここまでやられているとは、ハイノメも勿論、

悪気があって言ったわけではないことはわかる。



 今は何処か安全な場所で休むべきなんだろう……



「ハイノメどこか安全な場所はないのか?」

「そうね、やっぱりほかの区画に移動するのがいいと思うわ。そこから世界樹対策課に今回のことも連絡できるでしょうし。」

「わたしも……早くお風呂に入りたい……」

彼女は汚れと匂いが気になっているのだろう、

いや、汚れた心を洗い流したいのが一番の理由なのかもしれない……

「ぼくも早く行きたい。」

「そりゃそうよね。なんせ今下半身布切れいちまいですもん」

そういうと彼女は大笑いした。

仕方ないじゃないか、服までは再生しないんだから!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

Amor et odium

佐藤絹恵(サトウ.キヌエ)
ファンタジー
時代は中世ヨーロッパ中期 人々はキリスト教の神を信仰し 神を軸(じく)に生活を送っていた 聖書に書かれている事は 神の御言葉であり絶対 …しかし… 人々は知らない 神が既に人間に興味が無い事を そして…悪魔と呼ばれる我々が 人間を見守っている事を知らない 近頃 人間の神の信仰が薄れ 聖職者は腐敗し 好き勝手し始めていた 結果…民が餌食の的に… ・ ・ ・ 流石に 卑劣な人間の行いに看過出来ぬ 人間界に干渉させてもらうぞ

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...