それでもあなたは銀行に就職しますか 第3巻~彰司と佳奈子の勉強会~「連帯保証人」

リチャード・ウイス

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新聞取材(2)

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毎朝新聞の原田からの内線電話を受けながら、東郷彰司は斜め後ろのボードを見た。
第一応接室には既に予約が入っている事を確認し、彰司は、
「そうしたら第二応接で話しましょうか。私も手元をかたずけてすぐに行きますので」
と答えた。

 彰司は原田からの最初の電話が終わるや、あらかじめ赤塚支店の預金および庶務・経理を担当している副支店長の鮫島に電話をしていた。そこで原田の訪問の主旨を伝え、実際のところを聞いてみた。
 
「脇川洋二さんね、ああ・・・あの方はもう三回目ですよ、三回目!その件でウチの支店の窓口に『これはなぜだ・・・教えろ・・・。んん、分からん。この前説明されたが・・・でも帰って考えてみたら、また分からん。ぐちゃぐちゃ・・・』と言って来たのは。で、今度は新聞社に電話をしましたか、あのお爺さん」

 鮫島は、最初のクレームで脇川氏が来店してきた時は、『すわ 事件か!?』と思い、応接室に通して、お茶も出し、脇川氏の通帳を見せてもらい、問題となる一か月前の十三万円の定期預金の出金について、電算システム上の記録やその時の払い出し伝票の印影はもちろんのこと、名前の筆跡まで、その場で三名の行員が目を替えて調べてみたが、何の問題もなかった。
 
鮫島が言うには、赤塚支店に定期預金が七十万円あることはあるが、なぜか五万円や七万円や十三万円と、少額に複数に分けて総合口座通帳に定期をしているらしい。それを、出したり預け入れたりを繰り返す中で、何のための十三万円の出金をしたのか忘れてしまっているようだった。
最初に来た時も、調べに調べたあげく鮫島たちが『これこれ、このように、ご自分で定期の払出し伝票にご署名され、お届けの印鑑も押して、五番窓口で十四時十二分に現金を受け取られていますよ』と説明していた。
そう説明されて、銀行から自宅に納得しながら帰ったが、また、何かの節に
『ん、なんでだ?』
と思い起こし、回を重ねること三回も同じ件で支店を訪ねてきていたらしい。
「全く困ったヒトですよ。広報部には迷惑をかけますが、原田とかいう記者を宜しくさばいてくださいね」そして鮫島は「東郷さん、今度、西中洲あたりで一杯行きましょうか」と付け加えたのだった。

 彰司と毎朝新聞の原田とのやり取りは、二十分程度で終わった。終わったというより、彰司が最初から頭の中で絵をかき、その通りに二十分で終わらせたというのが本当のところだった。
 
 原田が帰った後、「記者の取材依頼への対応は自分の仕事」ではあるものの、なにかもやもや感が残ったために、自分の机に戻るや「えいっ」と、福岡では同じく大手の福富銀行の広報部で、同じように報道機関を相手に仕事をしている西尾 昭に電話を入れた。

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