13 / 26
13
値段の価値ほどない物件(2)
しおりを挟む
「レオ・コーポレーションの物件だろ・・、ウチの近所でも建っているからね。それで、なに・・二階建て六世帯用のアパートね、十数年前に建てたやつかい?」橋木は続けた。
「うちで、その間取りと同じアパートを建てたら、東郷さん、六百万円は安くできちゃうよ。実際見てごらんよそのアパートを現地で。絶対その値段の建物とは思えないから」
「え、えっ?と言う事は、アパートのオーナーさんはこの話の入り口の段階で高値掴みだったのですか?払った金よりも価値がない物件で賃貸経営がスタートしたと・・・・」
「まぁそこまで言うと、詐欺か何かに聞こえちゃうからまずいのだが・・・・。しかし、同業者から見ると、もっとしっかりした部材を使った建物を、ウチ達(ら)あたりじゃあもっと価格を抑えて建てることは出来たって事ですよ。さらに、きちんと施工された物ならば、今回のような『サビ』だの『塗装の色褪せ』だの『大雨の後の庭のぬかるみ』なんて、普通はありませんよ」
橋木は、こういうのは常識ですよみたいな表情でそう話した。
彰司は呟いた「(なるほど)」と。
「で、東郷さん、改修工事もそのレオ・コーポレーションに頼んだの?」
「そうなんです。オーナーさんが言うには『このアパートを設計・建築した会社が、一番、この建物のことを細部まで分かっているだろうから』との理由でね」
「ふむ・・・、そっかぁ」と腕を組んで橋木は天井を見上げた・・・うちに一声かけてもらえばよかったのになあとその表情は物語っていた。
「と言いますと・・・」
「他に一~二社の合い見積もりを取るのですよ。おそらくウチなんか二百四十万円前後でやれたと思うよ。仮に他社さんがウチより少々安い見積もりを出してきたなら、さらに値引きしてあげてでも受注しただろう・・・この不景気なご時世だから」
「そうだったんですか」
そう言う東郷に橋木は続けた。
「この手のアパート経営はね東郷さん、いかに安く・頑丈に作るかがカギですよ。加えてそのアパートって、外壁は薄い鉄板を塗装加工して貼り付けている構造じゃないかな・・・なんか今後も修理代がかかりそう・・・」と。
◇
「なんだか田山さんって、スタート時点と中間地点で不要な・・・と言うよりは結構なお金を使っちゃったみたいですね。あららぁ」
そういって、手元のグラスをカランカランと手の中で回した。
彰司の観察では、佳奈子は甘系よりも辛口の飲み物が好きなようだった。決して量は飲まないのだが、選ぶカクテルの種類がジン系統と男性的であった。
・・その後も引き続き、彰司は田山の案件を軟着陸させるために動いた。
「高尾課長、今日の夜、田山敦子の『連帯保証人』に会いに行ってきます」
いよいよと感じ取った彰司は、例の夜から二日後、上司にそう言った。
「分かった。必要な書類関係の写しも含め、段取りはすべて整っているだろうな」
「はい大丈夫です」
「うちで、その間取りと同じアパートを建てたら、東郷さん、六百万円は安くできちゃうよ。実際見てごらんよそのアパートを現地で。絶対その値段の建物とは思えないから」
「え、えっ?と言う事は、アパートのオーナーさんはこの話の入り口の段階で高値掴みだったのですか?払った金よりも価値がない物件で賃貸経営がスタートしたと・・・・」
「まぁそこまで言うと、詐欺か何かに聞こえちゃうからまずいのだが・・・・。しかし、同業者から見ると、もっとしっかりした部材を使った建物を、ウチ達(ら)あたりじゃあもっと価格を抑えて建てることは出来たって事ですよ。さらに、きちんと施工された物ならば、今回のような『サビ』だの『塗装の色褪せ』だの『大雨の後の庭のぬかるみ』なんて、普通はありませんよ」
橋木は、こういうのは常識ですよみたいな表情でそう話した。
彰司は呟いた「(なるほど)」と。
「で、東郷さん、改修工事もそのレオ・コーポレーションに頼んだの?」
「そうなんです。オーナーさんが言うには『このアパートを設計・建築した会社が、一番、この建物のことを細部まで分かっているだろうから』との理由でね」
「ふむ・・・、そっかぁ」と腕を組んで橋木は天井を見上げた・・・うちに一声かけてもらえばよかったのになあとその表情は物語っていた。
「と言いますと・・・」
「他に一~二社の合い見積もりを取るのですよ。おそらくウチなんか二百四十万円前後でやれたと思うよ。仮に他社さんがウチより少々安い見積もりを出してきたなら、さらに値引きしてあげてでも受注しただろう・・・この不景気なご時世だから」
「そうだったんですか」
そう言う東郷に橋木は続けた。
「この手のアパート経営はね東郷さん、いかに安く・頑丈に作るかがカギですよ。加えてそのアパートって、外壁は薄い鉄板を塗装加工して貼り付けている構造じゃないかな・・・なんか今後も修理代がかかりそう・・・」と。
◇
「なんだか田山さんって、スタート時点と中間地点で不要な・・・と言うよりは結構なお金を使っちゃったみたいですね。あららぁ」
そういって、手元のグラスをカランカランと手の中で回した。
彰司の観察では、佳奈子は甘系よりも辛口の飲み物が好きなようだった。決して量は飲まないのだが、選ぶカクテルの種類がジン系統と男性的であった。
・・その後も引き続き、彰司は田山の案件を軟着陸させるために動いた。
「高尾課長、今日の夜、田山敦子の『連帯保証人』に会いに行ってきます」
いよいよと感じ取った彰司は、例の夜から二日後、上司にそう言った。
「分かった。必要な書類関係の写しも含め、段取りはすべて整っているだろうな」
「はい大丈夫です」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる