7 / 206
どうやら俺は男色らしい
6:甥 ジーク
しおりを挟む
あの背中は、相当怒ってるな…
王宮へ戻るフランを近衛騎士団本部の入口で見送る。
フランは怒ると少し背中が丸まる。小さな頃から変わらないなと、思わず笑いが漏れる。
「お前、あれは可哀想だろ」
隣からイアンの呆れた声が聞こえてきた。
「お前も、昨日は腹を抱えて笑ってただろう」
「笑っただけで、誰も煽っちゃいない。お前と一緒にするな」
陛下の執務室から戻ったイアンとフランは正に明と暗。
笑いが収まらないイアンを尻目に、疲れと苛立ちを隠し切れないまま報告するフランの姿に気の毒になった。
脳筋と言われているが、コルベット男爵家出身のこの男は厳重に爪を隠している。
それを知るのは学園時代から共にしてきた腐れ縁の俺とラヴェルくらいだう。
「それにしても、昨日の話合いは拷問だったな。ずっと尻を抓って耐えるのが大変だった…おかげで痣になったよ…ククッ」
昨日の事を思い出したのか肩を震わせ始めた。
フランは陛下や公爵達に男色と思われていた事に驚いたらしいが、俺だって今朝の宰相閣下と義兄の訪問に驚いた。
あらぬ方向へ舵を振り切っている2人に笑顔で対応しながら、どう方向修正すればいいのかと思案していると、イアンの震える姿が視界に入った。
宰相閣下までとは聞いてない。
今朝のやり取りを思い出し、剣でも振って頭を切り替えようと訓練場に足を向けると、イアンが笑顔で話しかけてきた。
「この後の、デュバル公爵令嬢との面会も楽しみだな、もうそろそろ着く頃か?」
「おい、まさか…デュバル公爵令嬢もなのか?」
「さあな。心配ならフランの付き添い許可するぞ。後で報告頼むな」
手を振って近衛騎士団本部に戻る我らの団長は、国王も身内も笑いのネタ程度にしか思っていない。
イアンの背中に黒い羽根が見えた…気がした。
王宮へ戻るフランを近衛騎士団本部の入口で見送る。
フランは怒ると少し背中が丸まる。小さな頃から変わらないなと、思わず笑いが漏れる。
「お前、あれは可哀想だろ」
隣からイアンの呆れた声が聞こえてきた。
「お前も、昨日は腹を抱えて笑ってただろう」
「笑っただけで、誰も煽っちゃいない。お前と一緒にするな」
陛下の執務室から戻ったイアンとフランは正に明と暗。
笑いが収まらないイアンを尻目に、疲れと苛立ちを隠し切れないまま報告するフランの姿に気の毒になった。
脳筋と言われているが、コルベット男爵家出身のこの男は厳重に爪を隠している。
それを知るのは学園時代から共にしてきた腐れ縁の俺とラヴェルくらいだう。
「それにしても、昨日の話合いは拷問だったな。ずっと尻を抓って耐えるのが大変だった…おかげで痣になったよ…ククッ」
昨日の事を思い出したのか肩を震わせ始めた。
フランは陛下や公爵達に男色と思われていた事に驚いたらしいが、俺だって今朝の宰相閣下と義兄の訪問に驚いた。
あらぬ方向へ舵を振り切っている2人に笑顔で対応しながら、どう方向修正すればいいのかと思案していると、イアンの震える姿が視界に入った。
宰相閣下までとは聞いてない。
今朝のやり取りを思い出し、剣でも振って頭を切り替えようと訓練場に足を向けると、イアンが笑顔で話しかけてきた。
「この後の、デュバル公爵令嬢との面会も楽しみだな、もうそろそろ着く頃か?」
「おい、まさか…デュバル公爵令嬢もなのか?」
「さあな。心配ならフランの付き添い許可するぞ。後で報告頼むな」
手を振って近衛騎士団本部に戻る我らの団長は、国王も身内も笑いのネタ程度にしか思っていない。
イアンの背中に黒い羽根が見えた…気がした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる