112 / 206
アズール遠征
110:本と栞 レイン&ゼクトル兄弟
しおりを挟む
夜も更けてきた陛下の執務室。
兄から受けた報せを報告に来たが…気が重い。
「ユーリか…」
「夜分に申し訳ありません。兄から連絡がありました」
「レインの正体がバレたか?」
「?!何故、それを…?」
「フランと共に、洞窟で一晩明かしたのだろう?夜中に薬が切れてそのまま…ナシェルは寝汚いところがあるからな、朝は弱いんだ。まあ、遅かれ早かれとは思っておった」
「想定されてたのですね…」
「そういう事だ…そして後、もう1人」
「え?!…まだ?」
「そちらも問題ないだろう」
「問題ないって…一体誰なんですか?」
「これだ」
「本…ですか?…」
「いや、本ではなくーー」
陛下が手にしたこの本は、俺も学園時代から何かと世話になっている。
それで…?陛下の好みは?
「【白薔薇と共に散った純潔】…?…陛下は、直向きなのが好みなのですね」
「?!こっ、これは、余の本ではないぞっ?誰だろう、フーガか?全く…けしからんな…」
「私は【灼熱の楔に溶かされた純潔】が好みでしたね。それでは私はこれで…」
ーーシュッ…
「……灼熱…ユーリは放蕩系か…けしからんな…」
純潔叢書…隊舎の休憩室にも置いてあるが、陛下は一途系か…フランの次にナシェル殿の正体を見破る者は…何系が好みだろうか…
ーーー
「レイン様、包帯を変えますね」
「ありがとうございます。エルデ殿」
「熱も下がってよかったです。ですが、ベッドの上で一日過ごすのは退屈でしょう?」
「…そう、ですね…」
「なので、小説、お持ちしました」
やはり…救急箱と共にカートに乗せられた、色鮮やかな表紙が目に入った時から、嫌な予感がしていた。
凛とした美人だが、思考は重度の乙女。
恋愛小説をこよなく愛するエルデは、あの話し合いの日以降、ありとあらゆる小説を俺に読ませ、感想を聞いてくる。
俺としては、オレンジの話でもしたいところなのだが、嬉しそうな顔を見ると、何も言えなくなる。
「お、お気遣いなさらず…そうだ、お借りしていた小説は読み終えました。ありがとうございました」
「このお話も素敵でしょう?家族の愛に恵まれなかった公子が、婚約者の献身的な愛で心を開く…公子が初めて婚約者に愛を告げる場面は…もう…涙が溢れて…」
俺は頭がむず痒くなった…『俺の元に舞い降りた愛の奇跡』などと口が裂けても言えない。
エルデはネイトにあんな言葉を求めているのだろうか…
「え、ええ…とても感動しました…」
「今度の小説は、敵同士の家の息子と娘が恋人になって苦難を乗り越えるお話です。オレンジ畑が舞台のお話なので、ナシェル様もきっと気に入りますよ」
「はい……?!えっ?」
「私がお貸しした本に挟んでいるその栞、オレリア様から贈られた物ですよね?」
「……嘘だろ…栞で…?」
「お色味も違うし、お声も違う。ですが、その栞はオレリア様がナシェル様に贈られた物…ナシェル様に、ずっとお聞きしたかったんです…オレリア様と婚約している間も、そして今も…その栞を使い続けているのは…何故ですか?」
「……初めて貰った手作りの贈り物だったんだ…形は歪だが、俺の好きなオレンジの花で作られて…思いが伝わってきて、これまで貰ったどんな物より嬉しかった…だが、エルデが気付いたという事は、オレリアにも、他の者にも気付かれるか…」
「その心配はないかと…オレリア様は皆さんに栞を作って贈られてますから。レイン様にもそのうち贈られると思います」
「何故だろう…急に価値のない物に思えてきた」
「フフッ…でも、その栞はオレリア様が初めて作られた栞ですから特別ですよ。私は2番目で、殿下は何番目かな…?殿下には内緒にして下さいね」
あの頃のエルデは、オレリアの後ろで泣くのを堪えて立っていた。主を傷付けた俺を恨んでいる筈なのに…ナシェルだと分かった今も、レインの時と同じ様に接してくるのは何故だ…
いや、そんな事より…
「…エルデは俺が生きている理由を聞かないんだな…」
「私が知ってはならない事は聞きません。本当は、栞の事も知らない振りを通すつもりでした…私は、オレリア様を傷付ける貴方を許せないと思いながら、その栞を大切に使い続ける貴方を、憎むまでにもなれなかった……ナシェル様が生きていると知って嬉しかったと、どうしても伝えたかったんです。それに、栞の事も気になってましたし…これは私の我儘です。なので、この事は誰にも、殿下にも言いません」
「……フランは…知ってるよ…」
「それでも、言いません。アズールの名に誓います」
家の名に誓うとは、約束を違えた場合、一族の命を持って償うという事。
エルデは我儘と言いながら、命掛けの告白をしてきた。
その意味を理解出来ない程の子供であったなら、素直に喜べたかもしれない。
「…エルデにも背負わせる事になってしまったんだな…」
目の前で、何でもない様に微笑んでいるが、これからの生涯、オレリアにも、ネイトにも嘘をつき続けなければならない。
それでも、俺が生きている事を嬉しいと言ってもらえた事が嬉しい。
色んな感情が複雑に絡み合って、泣きたい様な、笑いたい様な…今の俺はどんな顔をしているのだろうか…
「負い目を感じるのであれば、また小説のお話にお付き合い下さい。それと…この本は、うちの父が書いたオレンジ栽培の本です」
「オレンジの本?!」
「…食い付きいいですね…」
「すっ…すまない…」
「フフッ…父が喜びます。全然売れなくて、倉庫で埃を被っているので。その本は差し上げます。よかったら父に感想を伝えて上げて下さい」
「ああ、是非…ところで、畑は?」
「肩をお貸ししたら、少しは歩けますか?」
「補助なしでも歩ける」
「でしたら、こちらへ」
案内されたのは、テラス。そこから見えるのは、白い花が満開のオレンジ畑。その向こうにはアズールの街と海が広がっていた。
「オレンジ畑が見えるのは、この部屋だけなんです。父が、起き上がれる様になったら、畑の様子を見れるだろうって」
オレンジの花の甘い香りが、俺を包む。
優しさが痛い…愛してくれる人達を、優しくしてくれる人達を、俺は…裏切ったんだな…
「ここは、姉が静養していた部屋なんです。長い眠りから覚めた姉は、この部屋で誰とも会わずに過ごしていたそうです。その姉を、窓から入ってきたオレンジの花の香りが外に誘い出してくれた…レイン様も、直ぐに外へ出られる様になります」
「……っ…ありがとう…エルデ…」
「……背中は辛くないですか?そこのベンチにクッションを持って来ますから、座りましょうか。今日はオレンジのお話をしましょう?」
初めて、エルデと共にオレンジの話をした…残念な事にあまり詳しくはなかった…
ーーー
「で?エルデ殿にもバレていたと…」
「………」
「本ではなく栞だったのか…ユーリの馬鹿が…」
「…ん?ユーリ?」
どんな輩かと身構えていたのに…何が純潔叢書だ、選りにも選って一番遠いところにいる人物じゃないか…
「……いえ、何でもありません。エルデ殿は心配いりませんから、これまで通りでお願いします」
「分かった…ところでウィル」
「何でしょう?」
「お前も栞を貰っているのか?」
「ええ、こちらに」
「……上手になってる…」
「13歳のオレリア様と17歳のオレリア様では技量に違いがあって当然でしょう」
「確かにな」
「それは?…オレンジの本ですか…ん?著者はアズール伯爵ですか?」
「ああ、エルデがくれたんだ。読み終えたら伯爵に感想を聞かせてやってくれってね」
オレンジの本を手に微笑む息子と、純潔叢書という爛れた本を、夜更けの執務室で隠れて読む父…ナシェル殿がこのまま、真っ直ぐ育つ事を願って止まない。
兄から受けた報せを報告に来たが…気が重い。
「ユーリか…」
「夜分に申し訳ありません。兄から連絡がありました」
「レインの正体がバレたか?」
「?!何故、それを…?」
「フランと共に、洞窟で一晩明かしたのだろう?夜中に薬が切れてそのまま…ナシェルは寝汚いところがあるからな、朝は弱いんだ。まあ、遅かれ早かれとは思っておった」
「想定されてたのですね…」
「そういう事だ…そして後、もう1人」
「え?!…まだ?」
「そちらも問題ないだろう」
「問題ないって…一体誰なんですか?」
「これだ」
「本…ですか?…」
「いや、本ではなくーー」
陛下が手にしたこの本は、俺も学園時代から何かと世話になっている。
それで…?陛下の好みは?
「【白薔薇と共に散った純潔】…?…陛下は、直向きなのが好みなのですね」
「?!こっ、これは、余の本ではないぞっ?誰だろう、フーガか?全く…けしからんな…」
「私は【灼熱の楔に溶かされた純潔】が好みでしたね。それでは私はこれで…」
ーーシュッ…
「……灼熱…ユーリは放蕩系か…けしからんな…」
純潔叢書…隊舎の休憩室にも置いてあるが、陛下は一途系か…フランの次にナシェル殿の正体を見破る者は…何系が好みだろうか…
ーーー
「レイン様、包帯を変えますね」
「ありがとうございます。エルデ殿」
「熱も下がってよかったです。ですが、ベッドの上で一日過ごすのは退屈でしょう?」
「…そう、ですね…」
「なので、小説、お持ちしました」
やはり…救急箱と共にカートに乗せられた、色鮮やかな表紙が目に入った時から、嫌な予感がしていた。
凛とした美人だが、思考は重度の乙女。
恋愛小説をこよなく愛するエルデは、あの話し合いの日以降、ありとあらゆる小説を俺に読ませ、感想を聞いてくる。
俺としては、オレンジの話でもしたいところなのだが、嬉しそうな顔を見ると、何も言えなくなる。
「お、お気遣いなさらず…そうだ、お借りしていた小説は読み終えました。ありがとうございました」
「このお話も素敵でしょう?家族の愛に恵まれなかった公子が、婚約者の献身的な愛で心を開く…公子が初めて婚約者に愛を告げる場面は…もう…涙が溢れて…」
俺は頭がむず痒くなった…『俺の元に舞い降りた愛の奇跡』などと口が裂けても言えない。
エルデはネイトにあんな言葉を求めているのだろうか…
「え、ええ…とても感動しました…」
「今度の小説は、敵同士の家の息子と娘が恋人になって苦難を乗り越えるお話です。オレンジ畑が舞台のお話なので、ナシェル様もきっと気に入りますよ」
「はい……?!えっ?」
「私がお貸しした本に挟んでいるその栞、オレリア様から贈られた物ですよね?」
「……嘘だろ…栞で…?」
「お色味も違うし、お声も違う。ですが、その栞はオレリア様がナシェル様に贈られた物…ナシェル様に、ずっとお聞きしたかったんです…オレリア様と婚約している間も、そして今も…その栞を使い続けているのは…何故ですか?」
「……初めて貰った手作りの贈り物だったんだ…形は歪だが、俺の好きなオレンジの花で作られて…思いが伝わってきて、これまで貰ったどんな物より嬉しかった…だが、エルデが気付いたという事は、オレリアにも、他の者にも気付かれるか…」
「その心配はないかと…オレリア様は皆さんに栞を作って贈られてますから。レイン様にもそのうち贈られると思います」
「何故だろう…急に価値のない物に思えてきた」
「フフッ…でも、その栞はオレリア様が初めて作られた栞ですから特別ですよ。私は2番目で、殿下は何番目かな…?殿下には内緒にして下さいね」
あの頃のエルデは、オレリアの後ろで泣くのを堪えて立っていた。主を傷付けた俺を恨んでいる筈なのに…ナシェルだと分かった今も、レインの時と同じ様に接してくるのは何故だ…
いや、そんな事より…
「…エルデは俺が生きている理由を聞かないんだな…」
「私が知ってはならない事は聞きません。本当は、栞の事も知らない振りを通すつもりでした…私は、オレリア様を傷付ける貴方を許せないと思いながら、その栞を大切に使い続ける貴方を、憎むまでにもなれなかった……ナシェル様が生きていると知って嬉しかったと、どうしても伝えたかったんです。それに、栞の事も気になってましたし…これは私の我儘です。なので、この事は誰にも、殿下にも言いません」
「……フランは…知ってるよ…」
「それでも、言いません。アズールの名に誓います」
家の名に誓うとは、約束を違えた場合、一族の命を持って償うという事。
エルデは我儘と言いながら、命掛けの告白をしてきた。
その意味を理解出来ない程の子供であったなら、素直に喜べたかもしれない。
「…エルデにも背負わせる事になってしまったんだな…」
目の前で、何でもない様に微笑んでいるが、これからの生涯、オレリアにも、ネイトにも嘘をつき続けなければならない。
それでも、俺が生きている事を嬉しいと言ってもらえた事が嬉しい。
色んな感情が複雑に絡み合って、泣きたい様な、笑いたい様な…今の俺はどんな顔をしているのだろうか…
「負い目を感じるのであれば、また小説のお話にお付き合い下さい。それと…この本は、うちの父が書いたオレンジ栽培の本です」
「オレンジの本?!」
「…食い付きいいですね…」
「すっ…すまない…」
「フフッ…父が喜びます。全然売れなくて、倉庫で埃を被っているので。その本は差し上げます。よかったら父に感想を伝えて上げて下さい」
「ああ、是非…ところで、畑は?」
「肩をお貸ししたら、少しは歩けますか?」
「補助なしでも歩ける」
「でしたら、こちらへ」
案内されたのは、テラス。そこから見えるのは、白い花が満開のオレンジ畑。その向こうにはアズールの街と海が広がっていた。
「オレンジ畑が見えるのは、この部屋だけなんです。父が、起き上がれる様になったら、畑の様子を見れるだろうって」
オレンジの花の甘い香りが、俺を包む。
優しさが痛い…愛してくれる人達を、優しくしてくれる人達を、俺は…裏切ったんだな…
「ここは、姉が静養していた部屋なんです。長い眠りから覚めた姉は、この部屋で誰とも会わずに過ごしていたそうです。その姉を、窓から入ってきたオレンジの花の香りが外に誘い出してくれた…レイン様も、直ぐに外へ出られる様になります」
「……っ…ありがとう…エルデ…」
「……背中は辛くないですか?そこのベンチにクッションを持って来ますから、座りましょうか。今日はオレンジのお話をしましょう?」
初めて、エルデと共にオレンジの話をした…残念な事にあまり詳しくはなかった…
ーーー
「で?エルデ殿にもバレていたと…」
「………」
「本ではなく栞だったのか…ユーリの馬鹿が…」
「…ん?ユーリ?」
どんな輩かと身構えていたのに…何が純潔叢書だ、選りにも選って一番遠いところにいる人物じゃないか…
「……いえ、何でもありません。エルデ殿は心配いりませんから、これまで通りでお願いします」
「分かった…ところでウィル」
「何でしょう?」
「お前も栞を貰っているのか?」
「ええ、こちらに」
「……上手になってる…」
「13歳のオレリア様と17歳のオレリア様では技量に違いがあって当然でしょう」
「確かにな」
「それは?…オレンジの本ですか…ん?著者はアズール伯爵ですか?」
「ああ、エルデがくれたんだ。読み終えたら伯爵に感想を聞かせてやってくれってね」
オレンジの本を手に微笑む息子と、純潔叢書という爛れた本を、夜更けの執務室で隠れて読む父…ナシェル殿がこのまま、真っ直ぐ育つ事を願って止まない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる