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剣術大会
196:剣術大会5日前〜同席 エイデン
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数少ない俺への縁談は、宗家のソアデン伯爵家…厳密に言うと、俺の後見であるラヴェル又従兄さんの元へ申し込まれる事になっている。
断る断らないに関わらず、これまでは打診があった時は直ぐに伝えてくれていたのに…何で今回に限って…
おかげで散々な目に遭った…
「はぁぁ~…」
朝から溜め息が止まらない…
一昨日の騒動を思い出し、溜め息を吐きながら食堂へと向かうと、ジャンとソーマを筆頭に、おかわりの争奪戦を繰り広げている友人達が目に入り、本日何度目か分からない溜め息が零れた。
「ヤバいっ!エイデン殿が来たぞ!」
「エイデン!早く食わないとなくなるぞっ!」
俺の登場に焦り、腹さえ膨れればいいとばかりに皿の中身を掻き込む騎士生達には、マナーという言葉は通用しない。
実力が全ての騎士科には身分も年齢も関係ないが、戦闘は経験値がものをいう。
全学年入り乱れてのおかわり争奪戦は、戦略、速度、戦闘力を3年に渡って鍛え上げて来た、俺達3年生がどうあっても有利。
拳で胸をドンドンと叩き、水と一緒に食事を飲み込む後輩達を横目に、空の皿を持って立ち上がる。
「げっ!もう食べたのですか?!」
「何で?!おかわりしないのですかっ?!」
「ソアデン宗家に行くんだよ…ジャン、ソーマ、後は頼む」
俺を何だと思ってるんだ…
驚く後輩達と、腹を壊したのかと至極失礼な心配をする料理人のおっちゃんに苦笑いで返しながら、友人にソアデンの屋敷へ行くと告げて寮を出た。
昨日から長期休暇に入ったが、俺達騎士生や、遠くの領地から来ている中等、高等の生徒達は剣術大会を終えるまで寮で過ごしており、感覚的には長期休暇の気がしない。
それでも、常なら授業である時間の庭園で学生達が寛いでいる姿に、休暇に入ったのだと僅かに実感を沸かせながら、目的地へと向かったのだが…
「初めまして。エルデ・ファン・アズールと申します」
オレリア様に雰囲気の似た、凛とした佇まいの美人の挨拶に、応接室の空気が引き締まる。
……何故?俺が…?
ラヴェル又従兄さんに、ウィール家からの打診の真偽を確かめに来ただけな筈が、ネイト又従兄さんの婚約者の顔合わせの場に同席させられ、頭の中に疑問符が飛び交う。
「父、母、脳筋、義姉…とその弟で、又従兄弟のエイデンだ」
ネイト又従兄さんのお座なりな家族紹介に怒る事なく、女神の如く微笑で、宜しくお願いしますと挨拶をするエルデ嬢に、又伯父は目を潤ませた。
「こんな別嬪さんが、ソアデンの嫁に…でかしたぞ、愚息よ…」
「ソアデンの嫁じゃない、俺のエルデだ」
「こんなに可愛い子が、私の義娘になるなんてっ!貴方の母である事を、初めて誇りに思えたわっ!」
「母上の義娘じゃない、俺のエルデだ」
又伯父達は、随分と酷い言いようだが、ネイト又従兄さんの放蕩時代を考えたら頷ける。
…ネイト又従兄さんの、俺のエルデは…意味が分からないが…
「むさ苦しいソアデンの荒野に、百合の花が一輪……私の部屋に飾っていいかしら?」
「…義姉上、俺のエルデです」
「俺の義妹でもあるがな」
「だから!俺の、エルデだっ!!」
「独占欲の強い男って…嫌ぁねぇ…」
頬に手を当て溜め息を吐きながら毒を吐いたのは、ラヴェル又従兄さんの妻であり、俺の姉でもあるヒルデ。
10年前の流行り病から奇跡的に生還したのだが、病が原因で子を産めない身体になってしまった。
脳筋で度量の大きいラヴェル又従兄さんは、ネイト又従兄さんがいるから問題ないと、姉と離縁する事もなく、仲の良い夫婦関係を続けている。
「すみません…喧しいですよね…」
家族でもないのに、何で俺が謝らなくちゃいけないんだ…いや、輪の中心でネイト又従兄さんと火花を散らしているのは姉だから、謝るべきだな。
「いえ…皆さんに歓迎して頂けて、安心しました…エイデン様の事は、オレリア様から、お話を窺っております。我が主がお世話になっております」
「……オレリア嬢?我が、主…?」
「私はオレリア様の専属侍女なんです。事情があって、今は王太子付きの専属侍女を勤めているのですが…」
オレリア様と似た空気感は、主従関係にあるからだったのか…
「ネイトが、離れたくないって我儘言ったのよね?」
「オレリア嬢が、ナシェル殿の婚約者だった2年前から、付け回していたからな」
「付け回してた?!」
「?!おいっ!余計な事を言うなっ!」
「必死過ぎて、気持ち悪いでしょう?本人に声をかけられないからって、アズールオレンジを買い占めて…隊舎の部屋にも欠かさず置いてあったらしいじゃない……どんな妄想を広げながら、オレンジを食べてたのかしらね……ネイト?」
「妄想じゃない、想像だっ!って言うか、お前達2人が何で居るんだ!呼んでないぞ!」
想像はしてたのか…って言うか、俺も呼ばれてないけどな…
エルデ嬢の耳を塞ぎながら叫ぶネイト又従兄さんの姿に、こんな必死なネイト又従兄さんは記憶にないなと、笑いたいのを必死に堪えて紅茶を手に取る。
全ては力で何とかなると、頭ではなく身体ばかり鍛えて脳まで筋肉の騎士の中で、容姿や騎士の実力だけでなく、頭脳も優秀な伯爵家の次男。
そんな優良物件のネイト又従兄さんには、貴族令嬢だけでなく、婿に貰い受けたいという打診が後を絶たなかった。
それはもう、俺への打診と比べるまでも…
「ネイト従兄さんとエルデ嬢の為に設けられた席で申し訳ないのですが…ラヴェル又従兄さんに、お聞きしたい事があるんです」
「そう言えば、何でエイデンが居るの?」
「今更過ぎるでしょ…姉上…」
「何だよエイデン、俺とエルデを祝いに来たんじゃないのか?」
「すみません…偶然です。知っていたら、花束の一つでも用意したんですが…」
「お気になさらないで下さい。お会い出来て嬉しいです。オレリア様の手紙に綴られる、学園での様子がとても楽しそうで…フフッ…」
「どの様な内容か気になるところではありますが…私達も、交友の幅が広がって充実した学園を送らせて頂いてます」
合同演習がきっかけで、令嬢達と交流を持つ様になり、放課後のお茶会では女性に対する振る舞い方を、スナイデルの森では如何なる事にも動じない冷静さを、そして何より、日々の無茶振り対する対応力と忍耐力を教えられた。
…主に、ヨランダ嬢とエレノア嬢に。
「フフッ…充実した学園生活の想像はつきます。オレリア様達のお相手は大変でしょう?」
「いえ…」
「令嬢らしからぬ思考と行動力に、殿下方も驚かれていらっしゃいますが、周りの人達の為に動く…とても、お優しい方達なんです…勿論、ご自身も楽しまれてますけどね?」
慈愛に満ちた微笑みに、オレリア嬢への愛情を感じる。
エルデ嬢の話した通り、剣術大会のダリアも、サロンを開くと意気込んでいたスナイデルの森でも、今回の三科合作の剣舞も、楽しみながらも周りの利となる様、動いてる。
『私の癒し…クロエに危機が迫っているわ!』
『羽虫ばかりで退屈してたのよね…あれは、どうかしらね…?』
一昨日のヨランダ嬢は…クロエ嬢の為と言っておこう。
「それで?剣術大会も近いのに、訓練を休んでまで脳筋に何を聞きに来たんだ?」
ネイト又従兄さん…楽しんでますよね…?
断る断らないに関わらず、これまでは打診があった時は直ぐに伝えてくれていたのに…何で今回に限って…
おかげで散々な目に遭った…
「はぁぁ~…」
朝から溜め息が止まらない…
一昨日の騒動を思い出し、溜め息を吐きながら食堂へと向かうと、ジャンとソーマを筆頭に、おかわりの争奪戦を繰り広げている友人達が目に入り、本日何度目か分からない溜め息が零れた。
「ヤバいっ!エイデン殿が来たぞ!」
「エイデン!早く食わないとなくなるぞっ!」
俺の登場に焦り、腹さえ膨れればいいとばかりに皿の中身を掻き込む騎士生達には、マナーという言葉は通用しない。
実力が全ての騎士科には身分も年齢も関係ないが、戦闘は経験値がものをいう。
全学年入り乱れてのおかわり争奪戦は、戦略、速度、戦闘力を3年に渡って鍛え上げて来た、俺達3年生がどうあっても有利。
拳で胸をドンドンと叩き、水と一緒に食事を飲み込む後輩達を横目に、空の皿を持って立ち上がる。
「げっ!もう食べたのですか?!」
「何で?!おかわりしないのですかっ?!」
「ソアデン宗家に行くんだよ…ジャン、ソーマ、後は頼む」
俺を何だと思ってるんだ…
驚く後輩達と、腹を壊したのかと至極失礼な心配をする料理人のおっちゃんに苦笑いで返しながら、友人にソアデンの屋敷へ行くと告げて寮を出た。
昨日から長期休暇に入ったが、俺達騎士生や、遠くの領地から来ている中等、高等の生徒達は剣術大会を終えるまで寮で過ごしており、感覚的には長期休暇の気がしない。
それでも、常なら授業である時間の庭園で学生達が寛いでいる姿に、休暇に入ったのだと僅かに実感を沸かせながら、目的地へと向かったのだが…
「初めまして。エルデ・ファン・アズールと申します」
オレリア様に雰囲気の似た、凛とした佇まいの美人の挨拶に、応接室の空気が引き締まる。
……何故?俺が…?
ラヴェル又従兄さんに、ウィール家からの打診の真偽を確かめに来ただけな筈が、ネイト又従兄さんの婚約者の顔合わせの場に同席させられ、頭の中に疑問符が飛び交う。
「父、母、脳筋、義姉…とその弟で、又従兄弟のエイデンだ」
ネイト又従兄さんのお座なりな家族紹介に怒る事なく、女神の如く微笑で、宜しくお願いしますと挨拶をするエルデ嬢に、又伯父は目を潤ませた。
「こんな別嬪さんが、ソアデンの嫁に…でかしたぞ、愚息よ…」
「ソアデンの嫁じゃない、俺のエルデだ」
「こんなに可愛い子が、私の義娘になるなんてっ!貴方の母である事を、初めて誇りに思えたわっ!」
「母上の義娘じゃない、俺のエルデだ」
又伯父達は、随分と酷い言いようだが、ネイト又従兄さんの放蕩時代を考えたら頷ける。
…ネイト又従兄さんの、俺のエルデは…意味が分からないが…
「むさ苦しいソアデンの荒野に、百合の花が一輪……私の部屋に飾っていいかしら?」
「…義姉上、俺のエルデです」
「俺の義妹でもあるがな」
「だから!俺の、エルデだっ!!」
「独占欲の強い男って…嫌ぁねぇ…」
頬に手を当て溜め息を吐きながら毒を吐いたのは、ラヴェル又従兄さんの妻であり、俺の姉でもあるヒルデ。
10年前の流行り病から奇跡的に生還したのだが、病が原因で子を産めない身体になってしまった。
脳筋で度量の大きいラヴェル又従兄さんは、ネイト又従兄さんがいるから問題ないと、姉と離縁する事もなく、仲の良い夫婦関係を続けている。
「すみません…喧しいですよね…」
家族でもないのに、何で俺が謝らなくちゃいけないんだ…いや、輪の中心でネイト又従兄さんと火花を散らしているのは姉だから、謝るべきだな。
「いえ…皆さんに歓迎して頂けて、安心しました…エイデン様の事は、オレリア様から、お話を窺っております。我が主がお世話になっております」
「……オレリア嬢?我が、主…?」
「私はオレリア様の専属侍女なんです。事情があって、今は王太子付きの専属侍女を勤めているのですが…」
オレリア様と似た空気感は、主従関係にあるからだったのか…
「ネイトが、離れたくないって我儘言ったのよね?」
「オレリア嬢が、ナシェル殿の婚約者だった2年前から、付け回していたからな」
「付け回してた?!」
「?!おいっ!余計な事を言うなっ!」
「必死過ぎて、気持ち悪いでしょう?本人に声をかけられないからって、アズールオレンジを買い占めて…隊舎の部屋にも欠かさず置いてあったらしいじゃない……どんな妄想を広げながら、オレンジを食べてたのかしらね……ネイト?」
「妄想じゃない、想像だっ!って言うか、お前達2人が何で居るんだ!呼んでないぞ!」
想像はしてたのか…って言うか、俺も呼ばれてないけどな…
エルデ嬢の耳を塞ぎながら叫ぶネイト又従兄さんの姿に、こんな必死なネイト又従兄さんは記憶にないなと、笑いたいのを必死に堪えて紅茶を手に取る。
全ては力で何とかなると、頭ではなく身体ばかり鍛えて脳まで筋肉の騎士の中で、容姿や騎士の実力だけでなく、頭脳も優秀な伯爵家の次男。
そんな優良物件のネイト又従兄さんには、貴族令嬢だけでなく、婿に貰い受けたいという打診が後を絶たなかった。
それはもう、俺への打診と比べるまでも…
「ネイト従兄さんとエルデ嬢の為に設けられた席で申し訳ないのですが…ラヴェル又従兄さんに、お聞きしたい事があるんです」
「そう言えば、何でエイデンが居るの?」
「今更過ぎるでしょ…姉上…」
「何だよエイデン、俺とエルデを祝いに来たんじゃないのか?」
「すみません…偶然です。知っていたら、花束の一つでも用意したんですが…」
「お気になさらないで下さい。お会い出来て嬉しいです。オレリア様の手紙に綴られる、学園での様子がとても楽しそうで…フフッ…」
「どの様な内容か気になるところではありますが…私達も、交友の幅が広がって充実した学園を送らせて頂いてます」
合同演習がきっかけで、令嬢達と交流を持つ様になり、放課後のお茶会では女性に対する振る舞い方を、スナイデルの森では如何なる事にも動じない冷静さを、そして何より、日々の無茶振り対する対応力と忍耐力を教えられた。
…主に、ヨランダ嬢とエレノア嬢に。
「フフッ…充実した学園生活の想像はつきます。オレリア様達のお相手は大変でしょう?」
「いえ…」
「令嬢らしからぬ思考と行動力に、殿下方も驚かれていらっしゃいますが、周りの人達の為に動く…とても、お優しい方達なんです…勿論、ご自身も楽しまれてますけどね?」
慈愛に満ちた微笑みに、オレリア嬢への愛情を感じる。
エルデ嬢の話した通り、剣術大会のダリアも、サロンを開くと意気込んでいたスナイデルの森でも、今回の三科合作の剣舞も、楽しみながらも周りの利となる様、動いてる。
『私の癒し…クロエに危機が迫っているわ!』
『羽虫ばかりで退屈してたのよね…あれは、どうかしらね…?』
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