仮想現実・夢見る少女

神城 リーナ

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3章.現実世界

14.変わり始めた世界「出会いは突然に」

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私は

『可愛い~』
 
と叫ぶと同時にそのお店の中に駆け込んでしまっていた。
そしてそのマネキンの首に巻かれた 白とピンクのふわふわの長~いマフラーの端を手に取って自分の頬にそっと当てる。

『暖かい』

凄く幸せな気分。
 
そのマフラーは大玉の毛糸を使って編んだ手編みっぽいマフラー。

直ぐ様私はレジに居た店員さんに
「彼処のマネキンさんに巻いているピンクと白の毛糸で編んだマフラー見てみたいんですけど良いですか?」
と然りげ無く聞いてみる。
『付けてみたいから取って!!』
なんて事は内気な私にはとても言えない。
ぶっちゃけそう言う意味合いなんだけど・・それを言うと身も蓋もないじゃない?

店員さんは笑顔で
「良いですよ。あのマフラー可愛いでしょ?あのマフラーはあの一本キリなんですよ!!」
そう言いながら、そのマネキンの首に巻いた凄く長いマフラーを解いて私の手に渡してくれる。

 私は直ぐに自分の首に巻いてみた。


『凄くあったか~~い』

店員さんは姿見の縦長の鏡を壁際から出してくれてその姿見の鏡に映った私の姿を見せてくれた。

 凄く似合ってる!!
 『ラッキー!!今日は良い事有りそう!!』
 
でも・・
 
一人じゃ長すぎる・・
 
『後は彼氏探すぞ~~!!』
 
そう思わずにはいれれなかった。
私は速攻
「このマフラー下さい。おいくらですか?」
と言いながら私は、巻いていたマフラーを外して店員さんに渡した。
店員さんは恐縮したように
「実はこのマフラー昨年の残り物なので売るつもりなくて、マネキンの服に合いそうだったのでマネキンにつけてたんです。昨年の残り物なので500円で良いわ」

と私に話してくれる。
「え・・500円で良いんですか?」
「言いわよ。貴方このマフラーよく似合ってたもの見つけてくれたお礼よ」

 レジの店員さんはそう言いながら丁寧に折りたたんで袋に入れようとしている。
 
私は思わず
 「今日寒いんでそのまま着けて帰りたいんですけど大丈夫でしょうか?」
 そう聞いてしまっていた。
 一緒にマフラーを巻いてくれる彼氏は居ないけれど、彼氏と一緒にマフラーをしている気持ちだけでも感じていたい!!
 こんな私でも恋に恋する乙女なのだ!!
 ひと時の淡い夢を見ていたいの。
 
店員さんは、袋に入れようとしていたマフラーを取り出して、値札を切ってから私にそのマフラーを私に渡してくれながら
 
「今日は急に寒くなりましたものね。このマフラー今さっき裏から出したばかりだったんですよ。このマフラー貴方に出会いたかったのかもしれませんね」
 
とにこやかに笑顔でかえしてくれる。
 
お店の外に出ると流石に外の風は冷たい。
 でも私の首にはピンクと白のデザインのふわふわのマフラーを巻いている為に暖かい。
 でも流石に短いスカートから伸びた2本の足は寒さの直撃を避けれない。
 長いソックスを履いているとはいえ、この寒さはキツイな~
 
でも!!
 このマフラーしてると、寒くても何故だかこの街の中を歩いてみたくなってしまう。
 私はワクワクした気分にひたりながら歩道を歩いて人の行き交う街の中へと歩いてゆく。
 普通だったら、こんな人混みの中に居るだけで気分が悪くなってしまうのに、何故だか気分が良い。
 マフラー一本でこんなに変われるんだったら、もっと早く買っておくべきだったな・・
 そう思わずにはいられない。
 
歩道を抜け大きな交差点に出てきた。
 スクランブル交差点みたい。
 
交差点の信号が一斉に赤になり、歩行者用信号機が一斉に青になった。
 信号待ちしていた人達は一斉に交差点の中心に向かって歩き出す。
 
私も遅れないように其の後に続いて交差点の中に入ってゆく。
 すれ違ってゆく人の波。
 この人達とももう二度と合わないかもしれない・・
 そんな人達との一瞬のすれ違い。
 
そう思うと何故か不思議な気分になってくる。
 
そんな事を考えながら歩いていると突然
 

『ググッ』
 
と体を引っ張られて首を締め付けられる感覚!
 私はその反動で思わず路面に倒れそうになる。
 
瞬間、誰かが私の体を抱きとめて私が転倒するのを防いでくれた。
 その拍子に、私はかけていたメガネが外れて路上に落ちてしまった。
 
一瞬で私の見える周りの景色はボヤけた景色に変貌する。
 
「うわっ」
 
私の耳の傍で驚きの声が一瞬あがる。
 横を見るとひとの顔が私のすぐ傍にあった。
 でもボヤけてよく見えない。
 
「ご・・ご・・ごめんよ~君のマフラーが僕の背広のボタンにひ・・ひっ・・引っかかって巻き付いちゃったみたいなんだ。そ・・それ・・それで君を転倒させかけちゃったんだ」
 
若い男の人の声!
 でも何故か・・オドオドして・・言葉がたどたどしい・・何故?
 もしかしてこの男の人緊張してる?
 それに、私その男の人に殆ど抱き締められちゃってる!!
 その男の人の吐息が私の耳元に感じる。
 
どうも、その男の人は私を抱えたままで私が落としたメガネを拾おうとした為に、私をギュッと抱き締めちゃってたみたい。
 『ドクン』
 『ドクン』
 『ドクン』
 『ドクン』
 『ドクン』
 男の人の心臓の音?
 密着した体越しでも鼓動が解っちゃう!!
 
私・・男の人に抱きしめられてる・・・
 
う・・うわ~~ど・・どう・・しよおおおおおおおおおおおおお~~
 それも見ず知らずの男の人!!
 男の人でもこんなに心臓の鼓動するんだ・・・
 
そう思った瞬間、私まで一緒に・・・
 『ドクン』『ドクン』『ドクン』『ドクン』『ドクン』『ドクン』・・・
 『ドクン』『ドクン』『ドクン』『ドクン』『ドクン』『ドクン』・・・
 
男の人の心臓の鼓動と私の心臓の鼓動が共振してる・・
 信じられない・・・
 
私を立たせてくれた後で、私の落としたメガネを私に渡してくれた。
 私はそのメガネを受け取ってその男の人を見てビックリ!!
 
超~~~ハンサム!!
 理想の人って言う程じゃないけれどイケメン確定!!
 
でも出会いは最悪!!
 私が買って巻いていたマフラーが、その人の背広のボタンに絡みついて取れなくなっていたの。このままじゃ信号機が赤に変わっちゃう!!
 
そう思った瞬間
 「困ったね、これじゃなかなか取れそうになさそうだよね。君のマフラー半分俺の首にも巻かせてくれないかな?」
 その男の人はそう言って私の首から半分マフラーを巻き取って私を片手でそっと抱き寄せてくれる。
 
そして
 「こうすれば不自然じゃないだろ?一つのマフラーをお互いにに巻いている恋人同士に見えないかな?
このマフラーと俺の背広のボタン絡まっちゃって直ぐに取れそうにないから、近くのカフェでも入ってゆっくり解こうよ?それで良いかな?」
 その男の人はそう提案してくれた。
 
私は思わず
 
「ハイ。お任せします」
 
そう答答えるのが私には精一杯だった。
 
だってまだ、私の心臓は激しく鼓動したままで何がどうなっているのか考える余裕さえ無かったんだもの。
 
つづく・・・
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