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3章.現実世界
17.「私の願いは貴方みたいな彼氏が欲しい!」
しおりを挟む5分位歩いた頃、右手の方に木で覆われたレストランが見えて来た。
黒茶色のレンガ作りの建物で辺りから一段高くなった位置に立てられている。大きなガラス窓の中は照明で明るく照らされたワンフロアーの広いお店。そしてテーブルが整然と並べられていてゆったりと食事が出来そう。
彼は一段高くなったそのお店への階段を私を気遣いながらお店への階段をゆっくりと昇ってゆく。
お店の自動ドアを潜り抜けて店内に入ると
「いらっしゃいませ。お二人様でしょうか?」
とメイド服を着た店員さんが声を掛けてくれる。
「二人です」
彼は躊躇なく答えた。
「では此方へ」
そう言って私達を先導して店内に私達を案内してゆき、窓際の外の見える丁度外の樹木が影を作り日差しを防いでくれている場所に案内してくれた。
其処は四人掛けのテーブルで少し余裕がある。
私達2人は、その席の左側に一緒に並んで座る。
一呼吸おいて
「ご注文はどう致しましょうか?」
とメイド服を着た店員さんが聞いてくる。
空かさず彼は
「暫く、このマフラーが絡まったのを取りたいので終わったら呼びますから、その後でも良いでしょうか?」
そうお願いしている。
彼って正直すぎ?
其処まで説明しなくっても良いじゃない?
ってふと思ってしまう私。
「クスッ」
メイド服を着た店員さんは横を向いて手で口を隠して解らないように笑った?後で
「はい招致いたしました。暫くしてから来てみますのでごゆくっり」
そう言って席を離れてゆく。
男の人の方はと言えば、背広のボタンとマフラーの毛糸が複雑に絡み合っているみたいで結構苦労しているみたい。
私はそんな彼の肩に頭をもたげて・・・・
ワザと彼の耳元に私の息がかかるようにする。
私って悪女?
だって男の人とこんなに近で合法的に近づける機会なんて無かったんですもの!!
それにこの男の人って、凄くハンサムなんだもの!!
だから・・・私を感じていて欲しい!!
少しでも私を意識して欲しい!!
『絶対に彼女になりたい!!』
だから・・・私は彼が私を意識してくれるように行動・・して・・しまう・・
予想通り・・彼の顔は真っ赤に染まってきてる!!
私を意識・・してくれてる!!
それに・・彼の心臓の鼓動の音も凄く高く・・・なってる!!
私には解ってしまう。そんな事を冷静に感じている自分が不思議。
5分位格闘の末にやっと解くことが出来た。
「解けた~~~!!」
彼はそう雄たけびを上げて思わずガッツポーズを取っていた。
「ありがとうございます。お蔭でたすかりました」
私も一応社交辞令でお礼を言っておく。
彼、折角悪戦奮闘してくれたんだものね。お礼くらい言っとかなきゃ!!
こちらの方に先ほどの店員さんが歩いて来るのが見える。
気にかけてくれていたみたい。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
店員さんの言葉に彼は
「ツナトマトソースののスパゲッティお願いします」
私は
「グリーンパスタお願いします」
そう答えると店員さんが
「承知いたしました。お飲み物、サラダバーはあちらのブースにございます。ご自由におとりくださいませ」
そう言った後私達に一礼して下がっていった。
彼は私に
「じゃ~一緒に飲み物と、サラダバー取りに行こうか!!
あ・・・それの前に自己紹介しとかなきゃね!!
マフラーと背広のボタンが絡まっちゃっておそくなってごめん。
僕の名前は
城中しろなか 達也たつや
現在広告会社に入って1年目 23歳
CM作成なんかの仕事をしています。
ちなみに現在恋人募集中です。
君の名前も教えてくれるかな?」
突然彼に言葉をふられた私はビックリ
「わ・・私の名前は
宮野 咲
白沢高校一年生です。
私の願いは貴方みたいな彼氏が欲しいです」
い・・言っちゃった~~ど・・どう・・しよおおおおおおおおおおおおぉ。
超~~恥ずかしいよおおおおぉ~~
私は真っ赤になりながらも、しっかりと彼を見た。
彼は
「じゃ~俺達今日から恋人同士になっちゃおう!!
今日から俺の事はたつやって呼んでね。
君の事は『さき』って呼んで良いかな?
早速だけど、『さき』にお願いが一つ有るんだ!!
食事をしながら話そうか。
先に飲み物と、サラダバー取りに行こう」
そう言って達也さんは立って私に手を差し出して来た。
つづく・・・
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