仮想現実・夢見る少女

3章.現実世界

16.変わり始めた世界「ほんの少しの勇気を出して・・」

男の人の私を後ろから手を回して抱きしめていた手に少し

『ピクッ』

と力が入る。
この男の人も緊張してるんだ・・・
こんなダサいメガネっ子でも意識してくれていると思うと・・

嬉しい・・な・・


男の人は少し顔を赤くして
「この先にグリーングラスって言うイタリアンレストランが有るんだ。5分位歩かなきゃけないけど良いかな？」
 私の顔を覗き込みながらそう聞いてきている。
 「ハイ。貴方とならば何処でも良いですよ～私達恋人同士でしょ？」
 「もう～君にはやられっぱなしだな」
 そう言いながら彼は私から顔を背けた。

今までの私だったら、とても今のような言葉なんて言えなかった・・・
私だって・・

『この人とどうしても付き合いたい』

だから、私の今の

『有りったけの勇気を全部振り絞って』
震える心を抑えながら・・

心の中では『誰でも良いから、皆ほんの少しの勇気を分けて！』・・・
そう悲鳴を上げている心に鞭を入れて・・


『ハイ。貴方とならば何処でも良いですよ～私達恋人同士でしょ？』
そうやっと男の人に言葉を返せた。
だって、この男の人と付き合いたいんだもん！！

少しでも私を意識してもらいたい！！
そうやってやっと掛けれた言葉にそんな彼の顔は真っ赤になっている！！
彼って結構純情・・・なのかな？
 当然そんな事を言った私だって真っ赤になっちゃってる。
 当然、横でわたしの肩を抱いて前を向いて歩いている彼の心臓はさっきよりもより激しく
 
『ドクン』『ドクン』『ドクン』・・・
 
と波打っている。
 この男の人、こんなに心臓激しく鼓動してるけど、壊れちゃわないかな？
 そう思ってしまう。
 そんな状況を冷静に見ている自分が信じられない・・・
 
真っ赤になった彼の顔を見ながら、私は頭を彼の体に預けた。
 一瞬
 
『ピクンッ』
 
彼の体が跳ねる。
 そんな彼の状況を感じながら・・・
 
『この人と付き合いたい』
 
そんな感情が急速に私の心の中から湧き上がってくる。
 私はもう、その感情を押さえる事が出来ない！！

つづく・・・