仮想現実・夢見る少女

神城 リーナ

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4章.エンジェルリップ

21.エンジェルリップ「初めてのメイク」

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私と達也さんはその足で駅まで戻り電車に乗って達也さんの仕事場がある駅まで移動。
 人混みでも達也さんとなら気分も悪くならない。
 気分が悪くなる暇がない?っていうかドキドキでそんな余裕が無いって感じ。
 
「次の駅で降りるよ」
 達也さんが声を掛けてくれる。
 電車が止まり、私は達也さんに急に手を握られて、一気に駅の構内に出る。
 男の人って凄い!!
 一気に駅の構内を駆け抜けて、あっという間に私達は駅の外に出ていた。
 
私はと言うと、達也さんの手を必死で握って兎に角達也さんから離れないようにくっつき虫状態。情けないな~・・・
 達也さんとこんな何気ない電車の乗り降りでも凄く楽しい。
 もっと一緒に居たい・・
 
『達也さんと結婚したい!!』
 
内気な女の子は辞めるって決めたんだ!!
 『目指せ高校生妻!!』おおお~~!!
 私は心の中で思わず叫んでしまっていた。
 
「あははは」
 達也さん笑ってる!!
 私何かまずい事言っちゃったっけ?

私・・独り言のつもりが・・


声に出して言っちゃってた?

『私独り言言ってました?』
なんてとてもじゃないけど、聞けない!!
特にあんな事言っちゃってたんだもの!!

それともまずい事しちゃってる?
クヨクヨ悩んでいても前には進めない・・・
私達はもう付き合い始めたのよ!!
だから・・・

 私は達也さんの横に並んで歩き出す。
 勿論手は繋いだまま・・・
 
達也さんは突然一つのビルの前で立ち止まった。
 「此処が俺の会社なんだ!!さ~行こうか!」
 そう言って達也さんはビルに向かって歩き出した。
 ビルの自動ドアをくぐるとどちらかともなく繋いだ手を離した。
 真逆会社の人に達也さんと恋人繋ぎした手のまま見られるのはマズイものね。
 
私はただのCM出演候補者の一人だもの。
 達也さんに迷惑かけちゃ悪いわよね。
 
そう思い私は達也さんから一歩後ろに下がり後ろを着いてゆく事にした。
 受付の前で入館者の受付をして紐のついたICカードを一枚頂いた。
 
カードには
 『外来者用 251』
 
と表示している。
 達也さんが
 「此処の建物は部屋に入る時はICカードが無いと入れないんだ」
 って教えてくれる。
 「変な所に私を置いて行かないでくださいね」
 私は不安になって達也さんに縋り付いてしまってた。
 「一緒にいれば大丈夫だよ。咲がハンサムな男に着いていかなければね」
 「着いて行きませんよ~~だ!!私は達也さんが良いんです~」
 って叫んでしまっていた。
 私がそう言った瞬間、達也さんは思わず周りを見回している。
 「あ・・ごめんなさい。此処達也さんの会社の中でしたね」
 「俺こそゴメン。つい変な事言っちゃった俺も悪いんだ」
 「誰も居なかったから今の発言大丈夫ですね」
 「でも俺、此処でそんな事言われると幼女搾取って言われそうだから2人だけの時に言って欲しいな」
 「え~私、幼女なんですか~~ちょっとメゲるな~。場所を選べって事ですね。はいお兄様了解です」
 
「あははは」
 「くすっ」
 
私達は誰も居ない通路を通ってエレベーターに乗り込み4階を目指す。
 うう~二人だけになると、流石に緊張しちゃうな・・・
 
キス・・とか迫られちゃったら・・・
 
私・・
 
多分・・・・
 
そんな事を考えている間にエレベータは4階に着いてしまっていた。
 私・・少しは期待してた・・んだけどな・・
 
達也さんの後ろについてエレベータを降りる。
 すると真っ暗な通路に私達がいる所から10メートル程照明が自動的に付いた。
 私達が歩くたびにそれは同時に動いてゆく。
 達也さんが急に部屋の前で止まった。
 
『第2撮影室』
 
と入口の表示が出ている。
 達也さんがIICカードを翳すと自動的に扉が開いてゆく。
 私は達也さんの後に付いてその部屋の中に入ってゆく。
 
すごい広い部屋。
 部屋の右側には一面ガラス張りの部屋が有るけれど此方に来れるドアは無い。
 
達也さんの姿を見て2人の女性が近づいてくる。
 「達也、遅かったじゃない!!この子が達也が見つけてきた子なんだ!!
 凄い掘り出し物じゃない!!一体何処で拾ってきたの?」
 
「そんな冗談は良いから直ぐにこの子を仕上げてくれないか?
 今日はクライアントの社長と、課長が来られるんだ。
 本番モードで出来ればこの子でCMを撮りたいんだ」
 
「了解~~う~~ん、腕が鳴るわ!!最高に綺麗に仕上げてみせるわ!!」
 
達也さんにそう返事をして、今度は私の方を見ながら
 「私はメイク担当の林原 郁恵は(やしばらいくえ)よろしくね!
 貴方もったいないわね~貴方は本当は凄く綺麗な子なのにその髪型とメガネ、ワザとそうしてるの?」
 「いえ・・・私、自分ではダサダサの女の子だって思ってますからそんな事言われたことなかったから正直戸惑ってます。
 私、自己紹介まだでしたね。
 私は宮野咲、白沢高校の一年生です」
 
「達也の目にはホント感心するわ!!普通だったら見逃しちゃうはずなのに、しっかりとみつけだしちゃうんだから」
 もう一人の女性が
 「私は永田 陽子(ながたようこ)スタイリストよ貴方の髪型と服は私が最高に仕上げて見せるわ。クライアントさんが来るまでにあまり時間がないわこっちに来て!!」
 
私は言われるままに、私は二人について撮影室に左側に有る化粧ルームへと入る。
 郁恵さんは私に
 「メガネ取っちゃうね。達也から聞いてるわね」
 「はい。撮影の時はメガネ無しで撮影するからって聞いてます。目の悪い人は瞳が綺麗に見えるんだっていわれちゃいました」
 「そうなんだ~私が最高に綺麗に仕上げても貴方には見えないなんて残念ね」
 「そうですね。メガネ取るとボヤけてはっきり見えないんです」
 そう、残念ながら私はメガネを取るとボヤけてはっきりとは見えない。
 でも元が元だからな~~綺麗になるったって限度があるよね。
 
まあ~~私は驚く程綺麗になるとは期待してないもの。
 郁恵さんがメイクをしながら陽子さんが髪型を整えてゆく。
 時間ないから二人共凄いスピードで私を仕上げている。
 
そして郁恵さんのメイクと陽子さんのヘアーメイクが終わると陽子さんが私にセーラー服を着せようとしていると郁恵さんが
 
「今の制服でも良いんじゃない?」
 
って言ってくる。
 陽子さんも
 
「そうね、結構こっちの制服の方が似合ってるかもしれないわね」
 って私の全体を見回しながら頷いている。
 結局二人の合意で、私は白沢高校の制服のまま私は撮影される事になっちゃった。
 
本当に良いのかな?
 
郁恵さんと陽子さんは長い布を私の前に垂らして全身を見えなくしてしまう。
 「咲ちゃんこのまま歩いてくれないかな!!達也の驚く顔見てみたくない?
 今の咲ちゃんの姿みたら奴、凄~~~くビックリしちゃうと思うんだ~~
 
私達がこの布で貴方の姿見えなくするから、私達についてきてね」
 
どうも郁恵さんと陽子さんは悪戯好きみたい。
 私は陽子さんと郁恵さんが布を持った後ろに隠れて達也さんのいる撮影場所まで歩いてゆく。
 
「達也~~咲ちゃんの準備出来たわよ~~」
 「お前達二人でそんな布持って何やってんだ?」
 「達也感動のご対面じゃない!!少しくらいビックリしてもらわなきゃ私達だって面白くないのよ」
 郁恵さんはっきり言っちゃったよ!!
 この人絶対に楽しんでる!!
 
つづく・・・
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