仮想現実・夢見る少女

神城 リーナ

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5章.初まりの日

142.初まりの日「最後のくちづけ」

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名医なんて言われて私は有頂天になってただけ・・・
本当に救いたい人の命一つ今の私には救う事が出来ない。

悔しい!

悔しいよ!

こんな時に何も出来ないなんて!

私は悔しい気持ちを床にぶつける様に、何度も何度も床を拳で叩いていた。
涙が後から後から流れてきて止まらない。

流れ出した涙は、床に大きな水たまりを作り、鮎香が床を悔しさで叩くたびに

『ピシャッ』



『ピシャッ』



『ピシャッ』

っと静まり返った手術室の中に響きわたる。


優が死ぬのは時間の問題!
数時間の内には命を落とす・・・・・



そう思うと、全てが虚しくなってしまった。

『これ以上優が苦しまないように、私が優を殺してしまおう

この私の手で!!

そして・・

優を殺した後、私も死ぬ!!

優が居ない世界なんて生きていく価値なんて無いもの!』


私はそう・・・

決心して

手術用メスを手に取った。


そして立ち上がり

手術台の上で眠るように横たわっている優に最後の『くちづけ』をする為に優の唇に私はくちびるを近づけてゆく。

そして・・

私は優のくちびるに私のくちびるを重ねた。

つづく・・・
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