仮想現実・夢見る少女

神城 リーナ

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5章.初まりの日

160.初まりの日「騙したんだ!!」

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相変わらずアリーシャと詩織は私の頬の両脇に陣取り頬がくっつく寸前まで近寄っている状態。
2人からは甘~~い香りが漂ってきている。

それに・・・

2人の吐息が私の頬をくすぐって・・・

それが私の心を乱してしまう。

『何か変な気持ちになっちゃいそう』

アリーシャも詩織も解ってやってるのかしら?
それとも全然気づいてない?

気持ちを切り替えなきゃ!!
そう思い視線を前に向けた瞬間左右に林立するビル群をの風景が一気に広がった。
そしてその開けた視界の向こうには大きな斜張橋が姿を現していた。
私達の乗ったフェラーリはその傾斜橋の100メートル以上はあろうかと思われる鉄塔の下をくぐり抜けてゆく。

遠くから見た斜張橋のワイヤーは細く頼りなく感じていたけれど、今車の中から見えるそれは物凄く大きい・・・
そしてその向こうにはビル群の蛍光灯の光が無数に瞬いているのが見える。
此処から見えるあの夜景の無数に瞬く明かりの中で大勢の私の知らない人達が暮らしている。

『そう思うと何故か不思議に思えてしまう』

「どうしたのかな?」
そんな私の様子を見てか詩織が私に声をかけてくれる。
私は・・
「夜景が綺麗だなって思って見蕩れちゃってました」
と差し障りの無い返事を詩織に返す。

私は・・・

はるか向こうに見える街の瞬く光を見ていたら、いつの間にか・・

私は達也の事を考えてしまっていたのだ・・そう


『今頃達也何してるんだろう?』

そんな事を思い浮かべていた。
「綺麗な夜景ね。最近忙しくってこんな綺麗な夜景私も久しぶりに見たわ

でもはぐらかしてもダメよ!!咲はそんな事考えていたんじゃ無いわよね~
咲は本当は城中さんの事考えてたんでしょ?」

詩織は笑いながらそう言って私のほっぺを左手の人差し指で

『つんっ』

『つんっ』

と突っついて来る。

「詩織さんには叶わないですね」
私はそう言って即時に降参!!
隠してたって解っちゃうわよね。

『私だって正直誤魔化せるとは思っては居なかったんだもの』

きっと顔に出てたんだ・・・
私はそう思い込んでしまっていた。

でも突然詩織は

「くすくすっ」

と笑った後
「本当に城中さんの事考えてたんだ~私鎌をかけるただけだったのに~」
そう言ってまた笑い出している。
「え~~~騙したんだ!!」
私は不機嫌な表情で少しフェイク気味に詩織に言葉を返した。
そんな私を見て詩織は
「だって咲幸せそうな顔してたんだもの。ついやっちゃった~」
そう言って私を抱きしめた途端に

『ちゅっ』

と私のほっぺにキス・・

つづく・・・
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