彼女たちの恋愛対象:シーズンⅡ

いちば なげのぶ

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シーズンⅡ-13 歪(いびつ)な器:塔子

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 北部市中心街から車で三、四分のところに邸宅が並ぶ北部市最高の住宅街がある、信号待ちが無ければ二分以内に着く。

 その中で、ひときわ大きい屋敷。

 塀が張り巡らされ八百坪ほどある敷地に純日本家屋が建っている。

 中野一族本家の居住まいだ。

 本家がある住宅街の北側を通る国道を横断し、坂道を車で十分ほど走らすと北部カントリー倶楽部に着く、中心市街地にこれほど隣接したゴルフ場も珍しい。

 上り坂の途中で北部宗家の屋敷に続く門を左手に見ることになる。

 中野一族本家と北部宗家は直線距離にすると二キロぐらいしか離れていないのだ。

 中野塔子はこの家で生まれた。

 納得できないにしろ自分の容姿ぐらいは自分で把握している。

 塔子の顔は、平安時代の女の顔という表現が当たっている、自分でもその通りだと思っている。

 良く言えば美しい能面顔とも言えるはずだ。

 顔立ちで言えば、目が細く平たい顔の部類だ。

 綺麗とか可愛いとかからは外れている。

 背が高く平たい能面顔の塔子が、笑みを浮かべるでもなく、言葉を多く発するわけでもなく、ただ立っていると何を考えているのか分からないように周りには映るらしいのも知っている。

 塔子は自分が綺麗でもなく、また、女の子らしい風貌の持ち主でもないことを子供の頃から自覚したことで、外向きの顔と内向きの顔を使い分けて生きてきた。

 内側にある残忍性を表に出せば誰も近寄ってこないからだ。

 外向きでは、度を越すほどの厳しい躾を信条とする母親が納得する礼儀作法に則った塔子がいる。

 考えた末に塔子が外向き用に作り上げた性格がある。

 それは、塔子の父親の性格に似せることだった。

 父親の中野壮一に会った人は威厳を持っていると評するだろうがそれは間違っている。

 本当の父親の性格は、一言で言うと小心者だ。

 自分では何も決められないくせに見栄を張りたがる。

 妻にはまったく頭が上がらない。

 大きな出来事には見て見ぬふりをする、自分を守ることしか考えていない小心者、それが父親だ。

 この父親に似せて作り上げた外向きの塔子は、自分で決めることをせずに周りからの意見で動いてきた。

 そんな次期当主である塔子の周りには中野一族が手助けするために多く集まっている。

 その中で、なるべく自分の評価を低く見せてきた。

 その結果、母親の落胆ぶりはもはや尋常なものではないレベルに達している。

 塔子は合気道と護身術を学んでいる。

 合気道は中野一族のなかで広く浸透しており、特に中野家を陰に日向に支える斎藤、本田、川島、姉帯《あねたい》の四家の子女は必ず学ぶ仕来たりが続いている。

 護身術は塔子だけが北部県警からその道の専門家を招いて教わっていた。

 母親の指示によるものである。

 学年でやっと百位以内に顔を出す程度の塔子の成績を見た母親は、性格だけでなく能力も父親に似たのだと罵った。

 合気道でも個人戦、団体戦共に代表メンバーに選ばれたことがない塔子に母親は母親とは思えないほど激怒した。

 中野家を継ぐ唯一の一人娘の劣化の数々を見て出した母親の決断は「あなたには期待しない。自分の身は自分で守りなさい」という支離滅裂の指示で県警から護身術の専門家が来ている、小学校の時から習っているのに何を今さらって思ったが言いたいように言わせておく。

 塔子の母親は、劣化した娘が自分の夫をコピーしていると気付かないだけでなく、父親似の塔子の性格を忌み嫌うようになっていた。

 先入観しか持たない母親はほんとうの塔子には気付かない。

 塔子は年齢が近い周りの誰よりも早熟だった、大人がする行為のことはとっくに知っていたし自分で慰めることも何度となくしている、知識も豊富だ、貪欲で性欲は人一倍強い、きっと母親に似たんだと思う。

 ほんとうの塔子が歪なのを母親は知らないだろう、礼儀作法に厳しいくせにこんな娘を生むなんて、あんたに似たんだよといつか言ってやりたい、その時にどんな顔をするのか見ものだ。


****


 北部女学院中等部に入学した塔子はその年に、自分のどす黒くて歪な性格と向き合うことになった。

 その日、合気道の鍛錬が終わり護身術の先生が来るまでいつものように塔子だけが道場に残っていた。

 道場は塔子の自宅敷地内にある。

 中野を直接支える家の一つ、本田家の娘が着替え終わってから「お話があります」と道場に戻ってきた。

 その娘、本田真琴《ほんだまこと》は塔子より九歳年上で、今までもなにかと塔子を気遣ってくれているのは知っていた。

 乗馬姿が良く映え背筋がぴんと伸びたボーイッシュで知的なお姉さんという印象が強い。

 背丈が百六十センチ前後で、その頃は塔子より少し低いかおなじくらいだった。

 いまでは塔子が十センチ近く高い。

 九歳も年上だが、どんなときでも敬語で接してくるし塔子の一挙手一投足を見ていたかのように先回りして振舞う、便利な存在だった。

 塔子は、その本田真琴から告白された。

 幼い頃から塔子様をお守りするよう両親から言いつかってきましたが自分の気持ちをこのまま仕舞い続けることがもうできない、と本田真琴が告白してきたのだ。

 塔子は男子からも女子からも、ただの一度も告白されたことはそれまでなかった。

 自分からしたこともない。

 恋愛対象を性別で否定する気もないが、自分をそういう目でみていた本田真琴を軽蔑した。

 いままでの振舞のすべてがそういうことが前提だったのかと思い、本田真琴という女は塔子の中で汚らしいものに変わった。

 その場では、わかった、としか言わなかった塔子はその日のうちに父親の姉の千葉桜子《ちばさくらこ》に告げ口した。

 伯母は中野一族の実質の支配者だ。 

 塔子が小学校高学年の頃に伯母は、あなたが支配者だってことにずっと前から気付いていたのよ、残忍さも含めてね、と耳打ちしてきた。

 その日を境に伯母からの呼び出しが多くなったが、父親はもちろん母親からもそのことで何かを言われた記憶はない、母親も絶対権力者が誰なのかに薄々気が付いていたのだと思う。

 塔子から本田真琴の話を聞いた伯母の動きは速かった。

 翌週の土曜日、塔子は伯母から北部市内で最高級のホテルに時間指定で呼び出された。

 伯母がどの部屋にいるかも呼び出された時に教えられている。

 時間ちょうどにロビーにいて、伯母から空メールが入るのを待つ。

 当時、携帯電話が爆発的に普及を始めた頃だが中学生で持っているのを塔子は見たことが無い。

 母親が塔子を管理するために半ば強制的に持たされていたのだ。

 空メールが入ったら指定された部屋に行くことになっている。

 伯母からは「来れば分かる。鍵は開いているので音を立てずにそっと入りなさい」とだけ言われていた。

 空メールが入ったのを確認して塔子は部屋に向かった。

 塔子は部屋の前まで来ると音を立てないようにドアノブを回した。

 そっと部屋に入ると、伯母の千葉桜子が椅子に腰かけているのが見えた。

 そこには、伯母の膝の上で塔子から見て向こう側にうつぶせになっている女性がいた。

 薄いブルー系統のロングスカートに白のブラウス姿の女性だった。

 伯母は塔子が入ってきたのを確認して、人差し指を縦にして口元に持っていき気が付かれないようにしなさいと合図を送って来た。

 塔子は伯母の指示に従い、部屋の入口からわずかに続くエントランスに立ったままだったが、壁際にそっと躰を移動させ、そこから動かないように細心の注意を払うことに集中した。

 二人の会話が聞こえ始めた。

「真琴さん。本田家の長女ともあろうお方が、ご当主の跡取りに告白するなんてことは前代未聞です。しかし、さきほどお聞きした塔子様への想いは本物だとこの桜子も感じ入りました」

「ありがとうございます」

「だとしても、けじめはけじめです」

「はい」

「これからする折檻に耐えなさい」

「・・・・・・」

「そうすれば塔子様との橋渡しをして差し上げます。いま一度、確認します。塔子様の奴隷になる覚悟はできているのね」

「はい。・・・それがわたしの望みです」

 伯母がこちらを向いて、小さく頷いた。

「下着を自分で下げなさい」

 うつぶせになっていたのは本田真琴だった。

 部屋に入った時からたぶんそうだろうとは思っていたが、伯母の千葉桜子様が塔子に見せようとしていることの方に目が釘付けになる。

 本田真琴の置かれている状況を塔子は飲み込めずにいたが今の二人の会話で理解できた。

 折檻をすると伯母は宣言している。

 凝視した。

 本田真琴の両腕が動き出しロングスカートの中に入っていった。

「下げたらどうするの? まさかスカートの上から折檻させる気なのっ。ぐずぐずしないでお尻をだすのよ」

 伯母の言葉が先ほどと違い、厳しい口調に変わっている。

「もうしわけありませんでした。・・・これでよろしいでしょうか」

 本田真琴はロングスカートを自分の腰の上までたくし上げて来た。

 伯母の手が振り落とされる、音が響く、容赦のない尻打ちが始まった。

 手のひらでの殴打が続いた。

 乾いた音だけでなく時には鈍く重たい音も聞こえる。

 二十回以上の後で、伯母は本田真琴が下げていたストッキングとショーツを片方だけ足首から抜き取り、両足を広げるよう命じた。

 伯母の殴打は太腿の内側へと向かっていく。

 もっとやってしまえっ、と塔子の心が望んでいる。

 本田真琴は泣きもせず、喚《わめ》きもせず、くぐもった声を発するだけで見事に耐えている。

 伯母自身、一言も発せずに徹底的に打ちのめしたあとで、うつぶせのままの本田真琴を床に下ろし、席を立った。

 立ち上がった伯母は塔子に向かって歩きながら人差し指を出口に向けたので塔子も従った。

 廊下に出ると、伯母から部屋のキーを手渡された。

 明日の正午まで好きに使いなさい、清算も終わっている、すべて終わったら家にいらっしゃい、待ってます、とだけ告げて伯母はその場から立ち去った。


****


 塔子が使える時間は、今日の夕方までと明日の朝から正午までと理解した。

 夕ご飯前に一度戻り、明日は日曜日だし伯母に呼ばれていると言えばどんなに朝早く家を出ても問題が起こらない。

 いまからだとだいたい三時間、明日もそのくらいは使える。

 部屋に戻った塔子は内鍵を架けた。

 今日の塔子はえんじ色のギャザースカートで膝が隠れる程度、上は群青色の綿百パーセントの大きめのTシャツ、ストッキングは履いていない。

 部屋に戻って塔子が最初にやったのはベットに腰掛けて靴を脱ぎ、短めのソックッスを脱いで素足になることだった。

 素足になった塔子はスリッパに履き替え、伏せたまま動かなくなっている本田真琴の脇に立った。

 中学一年生の塔子と九歳年上で中野一族の事業のお手伝いをしている本田真琴の関係が、このあとの塔子次第で決まる。

「いつまで寝てんのよ」

「もうしわけありません。・・・いますぐ」

 本田真琴の動作は緩慢だったが、背中まで捲り上がっていたロングスカートに手を添えて降ろしながら、なんと、正座をしてきた。

 それまで下ばかり向いていた本田真琴が顔を上げた。

 驚愕の眼差しが見える。

 それはそうだろう。

 千葉桜子様でなく塔子が立っていたのだから。

「桜子様とお前の話は全部聞かせてもらった」

「・・・そんな」

「桜子様は帰った。いまは、お前と二人っきり」

「・・・・・・」

 本田真琴の顔に変化が出るのにさほど時間は掛からなかった。

 案の定、思った通りの顔つきに変わってきた。

「なに期待してんの? わたしに愛されるとでもひょっとして思ったんじゃないの」

「ちがいます・・・そんなことは思って」 

 塔子は、本田真琴が言葉を続けようとした矢先に思いっきりビンタをくらわした。

「嘘つかないで。嘘つきがどうして私の奴隷になれるんだいっ」

「もうしわけありませんでした。・・・少しだけです。でもそれだけです」

 言うなり本田真琴は土下座をしてきた。

 塔子はスリッパを脱いで本田真琴の頭に素足の足裏を乗せた。

「聞きたいことがある。わたしの仮の姿をどうやって見破ったの、教えなさい」

「それは・・・」

 塔子は頭から足を下ろし、素足の親指を本田真琴の土下座している口元に軽く触れさせた。

「わたしの親指だけど味わってみたい?」

「お願いします」

「あげるわけないでしょ。さっさと顔を上げなさい」

 顔を上げた本田真琴は一度だけ塔子を見つめ、それから目線を下に戻し、そして話始めた。

「塔子様が小学校に上がってすぐのことでした。それまでと雰囲気が少し変わった感じがしたように私には見えました」

 本田真琴は一呼吸置いて、「そして」と静かに続けてきた。

「なぜそう思ったのか。理由が分からないままでしたがその日から塔子様の観察をするのが私の日課になっていきました。ほどなくして理由が分かりました。このお方は擬態をしているとの確信に至りました。擬態が進むほどに、時折見せる残忍性に惹かれていく自分を知った時に自分の中に芽生えた感情に驚きました。まもなくそれは恐怖に変わりました。いつかやって来る、塔子様が手が届かなくなる所へ行かれると思うだけで取り残される恐怖を感じ焦り始めました。そんな日々の繰り返しでこの五年を過ごし、してはいけないことと知りつつ先日の告白に至りました」

 塔子は、この女は自分や伯母と真逆だと知った。

 ただの真逆ではない。

 この女は、塔子のどす黒くて歪な器を知っていて中に入ろうと五年もの間、もがいてきたのだ。

「奴隷ってさぁ、もともと人間だよね。人間以下のお前がなんで奴隷になりたいって思ってるわけ? 信じられないんだけど」

「えっ・・・」

「家畜でしょ、いまのお前は。奴隷に格上げするかどうかは、いつか、考えてあげてもいいけど」

「ありがとうございます、塔子様」

 今度の土下座は嬉しくてたまらないはず。

 塔子が手放さない限り傍にいられると思ったはずだ。

「では。家畜がどんな声で鳴くか知っておかないとね。胸を出して」

 本田真琴の動作は速かった。

 膝立ちしたかと思ったらあっという間に脱いでしまった。

 脱ぎ終わると膝立ちのままで本田真琴は両手を後ろに回してきた。

 塔子を見つめながら次の指示を待っている感じに見える。

 いま、小ぶりの胸が塔子の目の前にある。

「あれだけ打たれて、これだけ蔑みを受けてるのに両方共にピン立ちしてるんだけど。どれっ、硬さはどうなってるのかな」

 凄いことになっていた。

「なにこれっ」

 塔子は両手の親指と人差し指を使って両方を徐々に捻り潰しにかかった。

「家畜の鳴き声はどんなかな。聞かせなさい」

「・・・・・・」

 この家畜、鳴かない。

 眉間にしわを寄せているが、鳴かない。

 時折、単語の「あ」が出る。

 塔子は、一度離してからまた両手の親指と人差し指で挟み、今度は容赦ない力で圧を加えていった。

 単語の「あ」が多くなり、「塔子様」という言葉が断続的に出始めたが鳴かない。

 聞きたいのは単語の「あ」じゃなく、「ぎゃー」とか「ひぇー」、「お許しください」の類なんだけどこの家畜は感覚が鈍いのかも知れない。

 まもなく。
 
「だめです」と言ったきり本田真琴の全身が収縮し痙攣が始まった。

 なにが起きたのか。

 最初、塔子は理解できないでいた。

 ひょっとしてと思ったときに、やっと理解できた。

「家畜の分際でっ」

「もうしわけありません。家畜女はイッてしまいました」

 塔子が受けた衝撃はこの女には分からないだろう。

 感覚が鈍いとばかり思っていたのに違った。

 ありえない生き物が目の前にいる。

 どす黒い感情が沸き上がってくる。

 鳴かないなら、いっそ、鳴けないようにしてやる。

 塔子は片方の手でギャザースカートをたくし上げ、もう片方の手で家畜女の髪を鷲掴みにして、立ったままで塔子の中心部に家畜女の口と鼻を押し付け息が出来ないようにした。

 その繰り返しを何度もおこない、床に押し倒し上からショーツ越しに中心部を押し付け鳴き声が出ないようにした。
 
 しばらくそうした後で、少しだけ腰を浮かせて息をさせまた押し付ける。

「家畜のくせに鳴けなくなったねぇ。鳴かないお前が悪いんだよ」

 本田真琴の全身がまた収縮し痙攣してきた。

 塔子は二度目の衝撃を受けていた。

 どう扱ってもこの女は収縮と痙攣をするのかも知れない。

「家畜を喜ばせるご主人がどこに居ると思ってるのっ」

 今日はこれ以上できない。

 ベットに腰掛けた塔子は家畜女を四つん這いにさせ背中に両足を置いた。

 少し考える時間が必要と判断した塔子は、明日の朝は八時にここに居るように命じて本田真琴に鍵を渡して終わりにした。


****


 翌朝、八時半に塔子はホテルに入った。

 部屋に着いてみると本田真琴は正座して待っていた。

 立たせるとジーンズ姿が綺麗だった。

 この女《ひと》ってこんなに綺麗だったんだと思わず見とれた。

 全部脱ぐよう命じ、その後でもう一度、正座姿に戻させた。

「家畜女の名前が決まったよ。嬉しいでしょ、ポチ」

「ありがとうございます」

「嫌じゃないの?ハナとかモモとかじゃなくてポチなんだけど」

「嬉しいです。世界中のどのポチより幸せです」

「お前さぁ。なんか勘違いしてるよね。そりゃ昨日は一人でイキまくってたし」

「塔子様、昨日は本当に申し訳ありませんでした」

「いまだって全裸になって、期待マックスでしょ」

「いえ、そんなことはありません」

「期待しても無駄だから」

 塔子は、午前中いっぱいを使って家畜女ポチの口元から出せる武器が麻痺するまで塔子の中心部に奉仕させることを決めていた。

 時折、家畜女の中心部を確かめたが凄かった。

 髪を鷲掴みにして作業を中断させて顔を引き上げる度に見る家畜女の表情に興奮した。

 引き上げる度に見せる家畜女の目は、どんな言葉より意思を塔子へ伝えてくる。

 服従する喜び、与えられた行為をすることへの感謝、もっと残忍なことをして欲しい欲望などが不思議と手に取るように塔子は理解することができた。

 初めてなのに不思議だった。

 家畜を奴隷に引き上げる発想はもうなくなっていた、家畜として飼いたい欲望がどす黒く塔子の器を満たしてくる。

 今日は、午後から伯母の千葉桜子様のお宅に伺うことになっているが、伯母は塔子と話せば塔子が本田真琴に関心を持ったことにすぐに気付くだろう。

 それでいい。
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