正解は胸の中に

生徒

文字の大きさ
7 / 10

予感

しおりを挟む
僕は江桐と一緒に帰っていた。彼女はそんなに心配しなくてもいいとの事だったが単純に僕のお節介だから気にしなくてもいいのだけれど。

 「なあ、江桐。お前さ椎葉と何があったんだ?」
 「話が合わなくてちょっと喧嘩しただけ。そんなに大事じゃないから問題無いよ」
 「へぇ、そうか。ならいいんだけど」

 僕たちはそんな会話をして僕は彼女を家の前まで送り届けた。彼女は家の前で軽く僕に向かって一礼をしてから手を振って帰っていった。

 僕は彼女を家まで送り届けたあと、なんだか手持ち無沙汰だったので携帯を取り出した。それは菊池からのメールだった。

 『急にメールとかしちゃってすみません。連絡というのはですね。夏祭り、みんなで集まれるかなって思って少し相談に乗ってほしいんです。』
 『ああ、わかった。それで、相談ってのはみんなが夏祭りに来れるかどうかってことか?』
 『それもそうなんですけど、他にも相談したいことがあって聞いてくれますか?』

 僕は彼女にはそんな、相談したいこととか無くてひとりで解決できるものだと思っていた。多分これが彼女がひとりの女性であり普通の人ということを実感できたサインなのかと僕は感じた。

程なくして、彼女から電話がかかってきた。まあ、メールで解決しようなんて打つのが辛いしな。

 「すみません。いきなり電話なんかかけちゃって迷惑でしたか?」
 「いや、全然問題ないよ。それで相談って?」
 
彼女は重々しく言葉を発した。
 「あの、椎葉ちゃんと、江桐ちゃんの事なんだけど。あの二人なんか喧嘩しちゃったらしくてさ。最近ずっと空気重くてさ」
 「そうだな。でも、もう問題ないと思うぞ」
 「えっ? なんで? ちょっと前まで口を合わせるのも嫌なくらい睨み合ってた二人なのに」

 そんなにあいつら嫌ってたんだ。でも、まあ仲直りできたなら別にいいと思うけどな。多分だけど。

「でも、その事は問題ないぞ。あいつら今日また喧嘩して分かりあえたっぽいから」
 「えっ? それってどういう事? そのままの意味?」
 「まあ、簡単にいえば仲直り出来たってことで問題ないと思う」

 まあ、それは二人が保健室の前で言い合って分かり合っていたように思えたからだ。別にそれ以外の根拠はない。

僕がひとしきり話し終わると彼女は安堵したように、ふぅと電話越しでため息を漏らした。

 「ありがとう、これで相談は終わりなんだけど山田くんも、夏祭り来てくれるよね? 私の為っていうかみんなの為に」
 「ああ、行くよ。これで行かなかったら折角仲直りしたってのにまた状況が一緒になっちまうからな。それじゃ切るぞ。おやすみ」

 僕は彼女にこう伝えて僕は電話を切った。
 

 そして、僕は今日は終業式で夏祭りの一日前だ。僕は今、江桐と適当に喋っている。それは席替えで場所が変わった時偶然にも江桐の前になってしまったからだ。

 別に嫌じゃないんだけど、休み時間毎にずっと二人で喋っているため最近は、江桐と僕が付き合ってるという噂まで流れるようになった。別に噂だからそこまで気にしてはいないんだけど、江桐がめっちゃ意識してるらしい。最近出来た男友達から聞いた。

 はて、どうしたものか。一応、明日の夏祭りについてちょっとだけ探りでも入れておくか。

  「なあ、江桐。明日の夏祭りの事なんだけど──」

 僕が彼女に話しかけると彼女はガタンと机を揺らして僕の方を向いて凄い形相で僕の顔を睨みつけるように見てきた。

 「山田くん。今日は一緒に帰らない? 最近はあんまり私と遊んでくれないしさ。今日だけでいいから、お願い」

 そう言い終わると手を僕の前でパチンと音を立ててそして、座りながら軽く会釈をするようにしていた。

 「わ、わかった。別に時間が無いわけでもないしね」

そんな感じで僕の聞きたいことは完全に逸らされて彼女の話を中心になっていた。まあ、いいか。多分来るだろう、仲直りしたはずなんだからさ。
 

 放課後、僕は昇降口って言う場所? にいた。まあ、下駄箱だ。そこで僕は彼女の委員会の仕事を待っていた。でも、それにしても遅い。ホームルームが終ってからもう三十分を過ぎようとしていた。

 「す、すいません。遅れちゃって。思ってたよりも仕事が残っててさ、出来るだけ早く終わらせようとはしてたんだけど、ちょっと遅くなっちゃった。ごめん」

 彼女はハァハァと息を荒らげながら僕の前に来るや否やこんなふうに謝る言葉を掛けてきた。

 「まあ、別に気にしてないよ。委員会でしょ? 頑張ってくれたならそれだけでもう十分だよ」

 なんか、この言い方は誤解を招きそうだな。別にいいか、誤解を招いたらその時はその時でどうにかするしかないからね。

 「そっか、ならもう帰ろっか」

 それで、ただ一緒に帰っただけで別に言うほどのことをしていたわけでもなかった。強いていうなら明日の夏祭りには着物を着てくれるらしい。なんか、こういうこと聞くとちょっとだけ変な妄想をしちゃいそうだ。

 
そして、夏祭り当日。会場はまだ夏も始まったばかりだというのにすごい熱気で覆われていた。僕はその熱気に飲み込まれないようにしながら会場の中に入り、集合場所へと足を踏み入れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係

紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。 顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。 ※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)

職業『お飾りの妻』は自由に過ごしたい

LinK.
恋愛
勝手に決められた婚約者との初めての顔合わせ。 相手に契約だと言われ、もう後がないサマンサは愛のない形だけの契約結婚に同意した。 何事にも従順に従って生きてきたサマンサ。 相手の求める通りに動く彼女は、都合のいいお飾りの妻だった。 契約中は立派な妻を演じましょう。必要ない時は自由に過ごしても良いですよね?

【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する

ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。 夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。 社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。 ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。 「私たち、離婚しましょう」 アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。 どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。 彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。 アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。 こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

『影の夫人とガラスの花嫁』

柴田はつみ
恋愛
公爵カルロスの後妻として嫁いだシャルロットは、 結婚初日から気づいていた。 夫は優しい。 礼儀正しく、決して冷たくはない。 けれど──どこか遠い。 夜会で向けられる微笑みの奥には、 亡き前妻エリザベラの影が静かに揺れていた。 社交界は囁く。 「公爵さまは、今も前妻を想っているのだわ」 「後妻は所詮、影の夫人よ」 その言葉に胸が痛む。 けれどシャルロットは自分に言い聞かせた。 ──これは政略婚。 愛を求めてはいけない、と。 そんなある日、彼女はカルロスの書斎で “あり得ない手紙”を見つけてしまう。 『愛しいカルロスへ。  私は必ずあなたのもとへ戻るわ。          エリザベラ』 ……前妻は、本当に死んだのだろうか? 噂、沈黙、誤解、そして夫の隠す真実。 揺れ動く心のまま、シャルロットは “ガラスの花嫁”のように繊細にひび割れていく。 しかし、前妻の影が完全に姿を現したとき、 カルロスの静かな愛がようやく溢れ出す。 「影なんて、最初からいない。  見ていたのは……ずっと君だけだった」 消えた指輪、隠された手紙、閉ざされた書庫── すべての謎が解けたとき、 影に怯えていた花嫁は光を手に入れる。 切なく、美しく、そして必ず幸せになる後妻ロマンス。 愛に触れたとき、ガラスは光へと変わる

愛しの第一王子殿下

みつまめ つぼみ
恋愛
 公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。  そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。  クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。  そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。

処理中です...