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4)旦那様と『義母』と琴葉
しおりを挟む甘い吐息を伴う深いキス。
何度も口づけられるキスマークが体中に散らばる。
触られ舐められた乳輪は唾液で濡れて艶を放つ。
深く繋がった結合部分は白い液体で濡れて汗と共にシーツへと絡まる。
婚姻届けを出された日から増えた営みは時として複雑な思いも感じさせた。
元々はメイドの仕事が先だったのに、痛みをとうに忘れた営みが伴うと、身体を使って仕事と寝所を得ているようにも思える――そう考えると気が滅入る。
(そんなつもりでここにいるわけじゃないのに、なぜ今さら私と結婚なんて・・・。)
帽子をかぶり、麻衣や他のメイド達とともに真っ白いシーツを干していく琴葉は次から次とたくさんの洗濯物に手を付けていた。
「奥様のその頑張りには脱帽です。ビデオカメラの撮影と引き換えにしてまでメイドをやりたがるなんてなんというか・・・あれですね、変なお方ですね。」
「麻衣、いい加減に奥様と呼ぶこととその丁寧な言い方はやめてほしいんだけれど?」
「私の給料が下がると解っていてそんなことをおっしゃるなんて酷い奥様ですこと?」
「・・・私は平穏無事に過ごしたいだけなの。普通に暮らせるなら、メイドでもなんでもやるわ。」
まるで、今まで普通に暮らせなかったというような言い方をするなと麻衣は感じたが、ふと思い直した。
「ああ、そうでしたね。奥様は4年間メイド仕事をなさっていたんだっけ。」
そう考えれば琴葉がそう言うのもおかしくないかと思い直した麻衣は呟きながらも洗濯に戻ったが、琴葉はわずかに動揺していたのか、震える手でタオルを握りしめていた。
琴葉がやっと許された洗濯干しを堪能している頃、執務室では黒川と巽が真っ青な顔をして悩んでいた。
「どういたしましょう、旦那様。」
「どうしましょうかって・・・今日母が来ることはもう決定事項だ。普通は事前に知らせてくれるものじゃないのか。手紙がよりによって本人が来るギリギリになって届くとかありえないだろう。」
「お手紙には何と書かれておいでだったのですか?」
「・・・要約すると、以前に話したもろもろについて詳しく聞かせてもらうから覚悟しておけと。」
「なんとまぁ、相変わらずパワフルな大奥様で・・・。確か、メールで本当のことを説明なされたのでしたね。」
大奥様というのは当然、巽の母であり、琴葉にとっては義母にあたる。城野宮|椿(つばき)といい、巽の父親とは別に会社を経営しているのであちこち忙しく飛び回っている。今は確かニューヨークにいると聞いたのだがこのたび日本に戻ってくることになったようだ。
「ああ。琴華のことや琴葉のこともな。・・・当然、怒り心頭だったぞ?」
「大奥様は琴葉様のことをよく気が回ると可愛がっておいででしたからねぇ・・・とりあえずは部屋の手配をしておきましょう。」
「頼む。」
眉間をつまみ、巽はこれからやってくるであろう嵐に頭を悩ませた。
そして、巽が恐れていた嵐がようやく到着したのは、夕方時。
玄関にリムジンが止まる音が聞こえ、黒川の指示により、メイドや執事たちが一斉に玄関ホールに整列し、客が出てくるのを待った。その中にこっそりと琴葉も混じっていた。
しばらくしてから、玄関が開き、サングラスをつけた見目麗しい着物姿の女性が出てきた。黒川の合図でその女性に向かって一斉に挨拶がなされたことでこの女性が大奥様とよばれる椿本人であることがわかる。
「おかえりなさいませ、大奥様。」
「ただいま・・・黒川、バカ息子はどこにいるのかしら?」
「居間にてお待ちでございます。」
「そう・・・・ああ、琴葉ちゃんはいるのかしら?」
「はい、奥様ならばこちらにおいででございます。奥様、大奥様がお呼びでございますよ。」
黒川の呼びかけに応じて琴葉はメイド姿でゆっくりと椿の前に立った。琴葉を見た椿はサングラスを外し、複雑そうに話しかけた。
そもそも、巽は、琴葉を最初は『琴華』として両親に会わせていた。そして、双子の妹である琴葉がメイドとして城野宮で働くことも聞いていたので、メイドとしての琴葉には何度も会っている。それだけに、真実を知った今、椿としてはいたたまれない思いでいっぱいだった。
「おかえりなさいませ、大奥様。」
「琴葉ちゃん・・・『琴華さん』ではなくなった今でもメイド仕事をしているのね。本当に嫌ではないの?息子のメールだと、息子が頼んでもメイド仕事を止めてくれないということだったけれど本当なのかしら?」
「はい、もうメイド仕事にも慣れてしまいましたので、できれば続けたいと思っております。」
「まさか、三ヶ月ぐらい前まで正式に入籍していなかったなんて・・・あの恥知らずのバカ息子が。」
「旦那様には旦那様なりの考えがあるのでございましょう。」
淡々という琴葉にそういう問題ではないのよと椿がため息をついた。
いたたまれない黒川としてはその場を取り繕うように巽のところへお連れしますとしか言えなかった。とりあえずはと椿は琴葉と別れて居間の方へ行った。巽はというと、般若と化した椿と出会ったことで青を通り越して真っ白になっていた。
「久しぶりですね・・・母さん。」
「本当に久しぶりだこと。それだけに、久々の帰還の目的が27歳の馬鹿息子を叱ることだなんて残念すぎるわ。」
「ごもっともです・・・。」
「メールじゃあ詳しいことがわからないと思ったから、仕事を全部放り出して帰って来たのよ。お父さんもびっくりしていたわ。さぁ、経緯を教えてちょうだい!」
そう言いながら椿がソファーへ座るのを確認した後、黒川にお茶の用意を命じた巽もまた、向かい側のソファーに座った。
「・・・つまり、あなたは琴葉ちゃんの歌に惹かれたくせに、歌声の主だと偽った『琴華さん』という双子の姉の方にプロボーズしたというの?そして、『彼女』を琴葉ちゃんと偽って私達に紹介したと・・・なんていう大馬鹿者!」
「まったくもっておっしゃるとおりです・・・。」
「あら、じゃあ、琴葉ちゃんと形だけとはいえ、結婚したのは何故?その話が本当なら、プロボーズした琴華さんとやらと結婚するべきではなくて?」
巽は「さすがに一を聞いて十を知るとはこのことか。本当に聡明な母だな」と思いながらも椿の指摘に返事をした。
「・・・向こうの母親が了承しなかったのですよ。可愛がっている琴華を嫁にやりたくないとね。」
「あちらのお母様が?」
「ええ。どうしてもというなら、双子の妹を担保にしてやるから、5年程我慢しろと。」
「まぁ・・・なんて正気が知れないわ。娘を担保になんて平気で言えるなんて、一体どういう母親なのかしら?まあ、それを真に受けるバカ息子も情けないけれど。」
「俺としても受けるつもりはありませんでしたよ。」
「一体どういうことなのかわからないわ。詳しく話してちょうだい。」
疑問ばかりが浮かぶ椿に、巽もいろいろ整理しながら話し出した。
椛屋家の居間にて、琴華と2人で向こうの母親を説得していた時・・・
『別にあなたたちが恋愛をするのを止めるつもりはないわ、でも、結婚はまだ駄目よ。どうしてもというのなら、そこにいる琴葉を身代わりにしなさいな。』
『えっ・・・どうしてよ、お母様!!』
『琴華さんがいいのであって、双子といえども、妹の方と結婚など望んでおりません。』
『心配ないわ。たんなる担保だから。入籍しなくても問題ないし、性欲処理の道具として使ってもらってけっこう。5年経ったら入れ替わって正式に琴華と入籍すればよいのよ・・・私の大切な琴華、あなたはまだ18歳なのだから、せめて23歳になるまでは我慢しなさいな。そうでなければ、結婚は認めてあげられないわね。』
『・・・・しかし、妹さんの方はそれでいいのか・・・』
『私は構わないです。椛屋真琴様がそうおっしゃるのであれば従います。』
『ほら、この子はこう言っているわ。城野宮様はどうなされるの?』
具体的な会話内容を聞いた椿は唖然としながらも頭を抱えていた。傍にいた黒川も初めて聞いたのか、唖然としている様子で立っていた。
「で、あなたは渋々とその提案を受け入れたと?なんという大馬鹿者!じゃあ、何なの、琴葉ちゃんは母親の手によって質に入れられたようなものなの?!」
「そういうことになりますね・・・だから、琴葉はここを出たいとは言っても、実家に帰りたいとは絶対に言いません。むしろ、実家に帰るぐらいなら、俺に仕えるほうがマシだと。」
巽は唇を噛み締めた。
(もっと早く、あの家の歪さに気づくべきだった。そうすれば、琴華の本性もすぐにわかったはずだった。あの母親にしてあの子あり。せめて、琴葉が自分の母親をフルネームで呼ぶその違和感にもっと早く気づいていれば・・・琴葉との溝もまだ広がらなかっただろうに。)
「・・・・本当に。」
「なんてこと、バカ息子よりもっとバカな人が・・・母親が性欲処理の相手を推奨し、あまつさえ、担保になれと言うだなんて・・なんという女なの・・・!!」
椿は憤慨しながら机をばんばんと叩き出した。それに黒川が慌てるが、椿の興奮はとまらない。
「私とて、あなたと小百合を産んだ親です。それでも、その母親のような考えはしませんよ。あの子を引き取ったのを100・・いえ、1000000歩譲ってよしとしても、何故4年間も琴葉ちゃんをメイドにしていたの!?」
そういわれると、ぐっと言葉に詰まる。
琴葉をメイドにした理由は、今の巽にとっては黒歴史ともいえる情けないきっかけからくるものだった。
「・・・琴華にあの子は男たらしだから、見た目や言動に騙されないほうがいいと言われまして。性欲処理の道具としては良いかもしれないが、妻として扱うと図に乗るから、メイドにでもしておいたほうが安心だと。」
巽の言葉が続かなかったのは、椿がサングラスを投げつけて叫んできたからだ。まさに憤慨という二文字が似合うとばかりに顔を真っ赤にさせて怒っていた。母親の怒りに押された巽だったが、黒川へのツッコミは忘れなかった。
「黒川、台所から一番切れのいい包丁をもってらっしゃい!」
「お、お待ちくださいませ、大奥様! 曲がりなりにも一応は跡取りでございます。包丁では死にますので、せめて打撲で!!」
「母さん、ちょっと待ってください!!黒川、お前もさり気に酷いぞ!」
「お黙り! 美しい歌を歌っている女性が性欲処理という言葉を平然と言い、その上に妹をメイド扱いしてちょうだいと言っているその落差に気づかないなんて・・・城野宮家の人間として・・・いえ、男としても人間としても恥ずかしいわ!!!」
「ぐっ、今思えば、その通りなのですが、その時は情けないことに花畑状態で、まったく気にも・・・。」
怒りでブルブルと震えている椿に黒川がそっと小さめの鞭を差し出した。
「大奥様、トンカチは見つかりませんでしたが、懐かしい鞭がございましたので、お持ちしました。」
「黒川!!」
「まぁ、貴方が小さい頃におどし道具として使っていた鞭なら丁度良いわね。今回は本気で叩かせてもらうけれども・・・」
「ちょ、ちょっと、まっ・・・やめてくれ!!」
ぎろりと鞭を手にして睨みつける椿に悲鳴をあげながら後退あとずさる巽。主がそのような目にあってもとめようとしない黒川。まさに自業自得とはいえ、最悪だと巽は汗を流していた。
じりじりと対峙している2人の耳にノックの音が聞こえてくる。それに気づいた巽が慌てて招き入れようと声をかける。すると、ノックと共にサービスワゴンを運んできた琴葉が現れた。
「失礼いたします、紅茶とお菓子をお持ちいた・・・し・・・・」
琴葉が目の前にいる椿を目にしたとたん、目を見開いて悲鳴をあげ、その場に蹲った。
「い、いやああああああああああああ!!!!」
「琴葉ちゃん?」
「奥様!!!」
「琴葉?・・・しまった!黒川、鞭をしまえ、それからすぐに医者を呼べ!」
「は、はい直ちに!」
「・・いや、ごめんなさい、ごめんなさい、許して・・・もう言わないから許して・・もう叩かないで・・・ごめんなさい・・・っ・・真琴様っ!!」
指示を受けて消えていった黒川を確認してから、慌てて、琴葉に近寄る巽だが、琴葉は混乱していて一向に落ち着かず、しばらく泣きながら震えてた後、失神した。
琴葉の悲鳴に衝撃を受けた椿だが、黒川も巽も琴葉の発言に慌てた様子はない。その様子からして知っていたのだと、椿は察した。
一体どういうことなのかと巽に聞くが、とにかくまずは琴葉を寝かせるために部屋に連れていきたいということで、2人かがりで琴葉を寝室の方へ連れて行くことにした。
琴葉をベッドに抱き上げて布団をかぶせた2人は、近くにある椅子に座る。ようやく落ち着いた巽はぽつりと話し出した。
「最初は、俺との関係はあまり良くなくて、メイド仕事は好んでいても俺に対する反抗がよくあって、なかなか敬語で話さなかったんですよ。それで、琴華に相談したら、いい方法がある。琴葉は鞭を見せると一気に素直になるし、言うことを聞くようになるからと言われて。」
「まさか、叩いたことがあるの!?」
「まさか。叩くふりをしただけです、しかし、今見たように失神してしまったので、それ以降、鞭を使うのは封印しました。俺だって、そこまで鬼じゃないです。その時、すぐに医者に診てもらったのですが、身体のあちこちに鞭の跡があることが解りました。」
「真琴というのが、琴葉ちゃんの母親の名前なのね?その人が琴葉ちゃんを・・・」
「ええ、恐らく虐待していたものと思われます。・・・その時をきっかけに反抗がウソのようにすっかり敬語で接してくるようになってしまいました。」
「可哀そうに・・・なんてこと。」
真っ青になる椿に巽は目を泳がせながら続きをぼそぼそと言い出した。
「その時に疑問を持てばよかったんですが、琴華から、あの子は男遊びでよく怒られていると聞けば同情する気もなくなってしまって・・・」
「・・・ああ、本当に情けない。」
「旦那様はその後の方が酷かったですよ。」
「どういうことなの、黒川!」
医者を連れてきた黒川が追い打ちをかけるように無慈悲に巽のした数々を一気に告白した。
「ちょ、まて、順序というものが・・・!」
「その出来事が、1年ほど前のことなのですが、琴華さんとやらにそれを聞いた後、何をどう思ったのか、琴葉様は男に飢えているのだと誤解して、琴葉様に男をあてがったんですよ・・・実際は後から男経験がないと解ったのですが。ちなみに、その方とは一度きりのご様子でした。」
「つまり、初体験を・・・無理やり・・・・。」
「しかも、琴葉様が性に不慣れだと解ったのが実に最近のことです。半年ぐらい前でしたね?婚姻届けを出してからは巽様も琴葉様を抱いておられます。」
「つまり、性欲処理のはけ口に。」
「半年ほど前に、琴葉様の初体験の相手をなされたというご友人から彼女は処女だったと言われるまでまったく気づかなかったそうです。」
部屋の体感温度が一気にマイナス1000度まで下がった。
原因はいわずもがな、椿が巽に対して怒っているせいである。ちなみに黒川の冷たい目も原因に含まれているに違いない。
「よくわかりました。巽・・・・今度シベリアかナイアガラ滝あたりにあなた一人だけの会社を作るからそこへお行きなさい。」
「そういわれても仕方がないぐらい酷いことをした自覚はあるが、飛ばさないでくれ!」
「・・・自分の母親に質に入れられて。当の馬鹿は酷いことをやって。それでも実家に帰れず、メイドの仕事にすっかり慣れてしまう・・・いっそ私が養女にしたいぐらいだわ。」
「いやいや、つい三ヶ月ほど前にあなたの義理の娘になっていますから!」
「ちなみに、そのご友人に言われたことが、今回琴華様とやらを疑ったきっかけになったそうでございます。」
そっと黒川が補足する。それを聞いた椿がますます怒り狂い、立ち上がった。
「遅いわ!!私だったらもう母親と会う時点で気づいていたわ!なんという花畑!なんという低能!情けなさすぎるっ!もう今すぐに離婚届を書きなさい!私が琴葉ちゃんを幸せにするから、遠慮なくさっさと書きなさい!」
「それはやめてくれ、本当に今必死に彼女に謝ってやり直そうとしているところなんだ!!」
「そう簡単にやり直せると思ったら大間違いよ!!!」
ぎゃあぎゃあとやかましい親子喧嘩は、うるさいのに切れた医者の怒りの鉄槌が与えられるまで一向にやまなかった。(黒川は親子喧嘩を放置して医者の指示であちこち動いていた。)
「・・・・・ん・・・・」
「おお、起きましたか。気分はどうですかな?」
「・・たけ、うち‥先生・・・?」
「ええ。お倒れになったそうでございますね、少々触診をしてもよろしいですかな?」
「はい・・・・。」
触診後は問診に続き、琴葉は薬を渡されてしばらく安静するようにと説明を受けた。医者は用が終わったとばかりに黒川に連れられて帰っていった。琴葉はというとぼんやりとしていたが、心配していた椿や巽がいることに気づき、慌ててベッドから降りようとしていた。
「も、申し訳ございません、すぐに降りて・・・」
「いいえ、まだ安静にと言われているでしょう?今日はここでおやすみなさいな。」
「そうだぞ。俺達は居間へ行くから、ゆっくりここで休め。」
でもと言い募る琴葉をなんとか思いとどまらせ、寝かせることに成功した親子は居間へと戻っていった。再び、居間のソファーに座りだした2人はどちらともなく、ため息をつく。
「とにかく、あなたは琴葉ちゃんと離婚なさい。黒川、離婚届と養子縁組の手続きの用意をしておいてちょうだい。」
「待ってくださいよ、母さん!」
「お黙り。もし、これが小百合だったら、私は親として怒り狂って相手を殺しているところですよ。」
「・・・なら、せめて、1年。1年でいいから試させてほしい。」
「1年でどうやって判断するというの?あなたが許されたというだけでは意味がないの。あの子が許したという事実が必要よ。」
しばらく考え込んでいた巽だが、思いついたように顔を上げた。
「名前呼びなら?俺の名前を人前でも呼べるようになったら、少しぐらい希望が持てると思うんだが。」
「1年でそう簡単に心を開くとは思えないわね・・・まぁ、いいでしょう。あなたが1年頑張ってそれでもダメな時は私の方で養女にします。もちろん、あなたには琴葉ちゃんがいいというまで会わせません。」
「わかりましたよ、母さん。」
巽がしぶしぶと了承したことで、黒川も一礼して下がった。ようやく話がまとまったことで椿も納得いったのだろう、自室へ戻ると居間を出て行った。
巽はというとぐったりとしながらも、琴葉が心配だということで、少し寝かせていた寝室の方へと寄っていく。
そっとドアを開けると、琴葉はぐっすりと眠っている。それにホッとしながら、巽はそっと琴葉の頭を撫でながら呟いた。
「簡単に許されるとは思っていない。全て俺のせいにしてくれていい。でも、お前を手放すことはできない。」
甘い吐息を伴う深いキス。
何度も口づけたキスマークが背中に散らばる。
何度も触り、舐めた乳輪は唾液で濡れて欲情を誘う。
深く繋がった結合部分は白い液体で濡れて俺を受け容れる。
心に痛みを伴う営みと引き換えに、琴葉を今日も抱いて繋ぎ留めることができたならばどんなにいいだろうか。
だけれど、身体だけでは心は手に入らない・・・・。
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