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しおりを挟む「・・・まだかなぁ」
下校時間を狙って疾風の学校に着いた琉生は門の前で次々と下校する生徒たちを眺めていた。疾風は茶髪だし、ピアスもしているからかなり目立つ。見たらすぐにわかるのだが、今のところ、疾風らしき人は出てきていない。
テストも終わったこともあり、琉生の学校では進路学習に対応する形で自由登校が認められている。琉生も例にもれず、時間を調整して早めに帰れたクチである。だからこそ、ここで待つことができている。だが、待てども待てども、疾風は出てこない。
琉生が不安に思っていると、女子生徒が一人近寄ってきていることに気付いた。怪しさ満点だなと疑っていると、ツインテールの女子生徒は琉生をじろじろと眺めてきた。
一体何を・・・と思っていると、彼女はニヤリと笑いながら口を開いた。
「思い出した。あの日女の子とハンバーガーを食べていた人!!」
「は?」
「彼からいつも聞いていたし、あの日も苦々し気に見ていたからね。そかそか~」
疾風の名前が出たことに目を見開かせる。一体どういうことだと聞くと、彼女はどうしようかなーという態度。何が目的かわからないと琉生は眉間にしわを寄せた。
「君は誰なのかな?突然話しかけてきていい気分はしないんだけれど」
「私?ふーん、疾風から聞いてないのねぇ。ふふふ。あ、疾風なら運動場にいるよ。じゃーね!!」
ふふふ~んと鼻歌を歌いながら帰っていく彼女の後姿を見送った後、運動場へと走っていった。
ほどなくして網越しに見えたのは、何人かの仲間と一緒に笑っている疾風。
クラブのウェアを着こなし、汗をかいている様子が見えた。おそらく自主的に運動しているか、後輩の指導のためだろうと思った琉生は声をかけるか迷った。と、その時に疾風と目が合ったことに気付き、手を振ったが、睨みつけられた。
思いもしなかった反応にびっくりした琉生は振ろうとした手を困惑顔でおろした。何故睨みつけられたのかはわからないとしても、現状では邪魔になると判断した琉生は帰ろうと決めた。その矢先、声をかけてきたのは、疾風と同じ陸上部に入っている聡だった。疾風とも仲がいいので、琉生と疾風の関係も知っていて黙っていてくれているヤツでもある。
「あれ、琉生・・・お前、受験で忙しいんじゃなかったか?」
「うん・・・息抜きにと思って疾風に会いに来たんだけれど、集中しているみたいだから」
「ああ、そうなんだよね。あいつ最近せっつぱっているというか・・・余裕がないんだよな」
「そうなんだ・・・」
「疾風がお前に女ができたみたいだとかいっていたけれど噓だよな?」
は?と琉生はあっけにとられる。あの疾風がそんなことを言うとは思いもしなかったから。だが、よく考えてみれば、さっきの女子生徒もそんなことを言っていたように思う。
「・・・は?なんでそんな話がでるの?」
「え?なんかお店で女と食べていたとか・・・」
「女・・・?姉さんと食べに行った記憶はあるけれど、彼女なんかつくるわけないよ」
「だよな!あー良かった。疾風にそれ言ってやれよ。なんだか気にしていたみたいだ」
聡はほっとしていたが、琉生としては複雑な気持ちだ。そんなあらぬ誤解をする癖に自分はどうなんだというもやもやが沸き上がる。
つまりは、疾風は琉生が浮気でもしたと思っているのだろう。それは嫉妬を通り越して
「ああ、そういうことね。ばかばかしいから帰る」
「お、おい?もうすぐ終わるから、待てばいいんじゃ?!」
「さっき手を振ったのも無視されたから待ってても意味ないと思う。じゃあね」
手を振ってさっさと駅の方へ向かう。聡が何か叫んでいるか無視だ。疾風の学校から駅までは七分ほど。今から行けば、電車もちょうどいいタイミングで来るだろう。
「・・・ばっかじゃないの。変な誤解して勝手に怒って、何やってんだか。疾風なんてもう知るか。勝手にやってろ!」
悪態をつくも、その足取りが重いことは自分でも解っていた琉生だったが、気づかないふりをした。気付いてしまうと、涙がでそうで嫌だったから。
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