11 / 12
番外編
昔の倫の想い(番外編 ツイッター企画より)
しおりを挟む「つまらないわね。」
「そういうでないよ。君達はお嬢様だ。SPがつくのは当然のことだろう。」
「くだらないわ。私ごときがいないぐらいでつぶれる家ではないでしょうに。」
幼馴染だった光や啓仁が、SPのスペシャリストである市松家の人間であることと、私と姉の護衛担当であると知ったのは、つい最近のことで、あれよあれよという間に、光は正式に私の姉の護衛になった。ちなみに、私の護衛は、光の兄である啓仁だが、今は姉である菜津姫の相手をしている。
4人でいるのが当たり前ではあるが、彼らの正体に気づいてしまうと、以前のように接することができず、鬱陶しくさえ感じるのはなぜだろうか。
どうやら、思っていたことが顔に出ていたらしく、光が宥めてきた。
「まぁまぁ。それより、今日はどこへ買い物へ?」
光に質問を受けたのを迷わず姉に振った。光の眉間にしわが寄ったが、見なかったことにする。
「姫、今日はどこへ?」
「私ね、前に光が言っていたパフェが美味しいお店に行きたいの・・・ダメかしら?」
見た目だけは清楚系の姉はおっとりとした口調で光に返事をしていた。どう見てもしなを作っているのはバレバレだが、光は敢えてスルーしているのだろう。
(まあ、光の今の対応は妥当な判断だよ。一応は姉の方に継承権があるわけだから・・・今は、ね。)
「もちろん問題ありません。・・・あそこは前に倫と一緒に行ったな。兄さん、手配を頼む。」
「待て、なぜお前が倫姫様と一緒に行ったのだ?」
「学校の帰りにちょっとね」
ぎろりと光を睨みつけてくる啓仁を見た私と光はお互いに目配せしあった。
(・・・こうしてみると私達だけじゃなくどこの兄弟(姉妹)も大変なのね。)
私から見ても光は才能があるとすぐにわかる。少々融通が利かないが腕は確かだといわれている啓仁だが、光に対してはコンプレックスがあるようだ。
(無理はないよね・・・だって、ほとんどの依頼人に頼られるのは啓仁。でも、人脈が広くてリピーターが来るのは光の方らしい。)
「どうしたのだ、倫よ。」
(・・・まぁ、光の場合は素っ頓狂なしゃべり方が面白いってこともあるんだろけれど)
光から呼びかけられたことで、我に返る。納得がいっていない啓仁に対して、強引に押し切ったのは、らちが明かないと判断したから。
「別に。それより、啓仁・・・早く予約してきて。」
「っ・・・わか、りました。」
命令には逆らえないとばかりに携帯電話を取り出して交渉を始めた。彼に対して思うことがあったのか、姉がこてんと、首を傾げながら口を開いた。
「少し言いすぎじゃないかしら?」
「これぐらいは普通でしょう。」
「そうかしら、ちょっと啓仁がかわいそうじゃない?」
「・・・」
納得がいかないと眉間にしわを寄せている菜津姫だが、光は首を傾げている。
お陰で、私自身が普通だと分かってよかったが。菜津姫は昔から、倫姫のすることなすことに文句をつけてくることが多い。
いろいろやっても変わらず、結局今日まで来てしまったわけだが。
「・・・とりあえず、行きましょうか。」
交渉が終わった啓仁が戻ってきたのを機に、みんなで出発した。
「わぁ、とっても美味しい!ここに来れて嬉しいわ。ありがとう、光」
「どういたしまして。」
「・・・・・ちらっちらっとこっちを見てるけれど、貴方もほめてほしいの?」
「い、いや、そんなことはありませんっ!俺は、俺はもうその、一人前ですから!」
「そう。」
「・・・・・・・。」
一応姉に言われたから、少し啓仁を気にしたのに、なぜかこちらを恨めし気に見てくる。「変なの・・・」と思いながらも、会話している姉と光をぼんやりと眺めた。
(あ、向こうは楽しそうだなぁ・・・)
今のところ、光は姉に会話を合わせている。彼は、対象者のリサーチを欠かさない。それもあって、姉は光に懐いている。
・・・ただ、それを面白くないと思う自分がいることも確かで。
(あ、ダメだ、落ち込むな・・・自分。光は私の護衛じゃないし、彼は私との約束を果たそうとしている。)
ここで、私が折れるわけにはいかない
諦めるわけにはいかない
佐野家を掌握するその時までは
笑え、笑って、笑うんだ、この想いに蓋を
私は、佐野 倫姫
『我が家の家訓は惚れた相手ならだれが相手であろうとも全力で守るべし』
(そうですよね、おじい様・・・!!)
10
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる