【R18】恋愛において天然は最強かもしれない

巴月のん

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番外編

天然は相変わらずです(ツイッターお礼企画)

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※ツイッターで、この話が好きだと言ってくださったとてっちゃんと読者達に捧ぐ






今日は結婚して一年目。


ピンポーンっ!


「え・・・朝からなんで・・・・あ、宅配便?!」


瑠梨は、モニターに宅配人が見えたことで慌てて玄関に向かった。ほどなくして、届いた花束と大量の箱を持ってリビングへ戻った。
箱に記載されている差し出し人を見ると、ほかならぬ旦那様になっていることに気付いた。

「あれ、新から・・・?」

宅配便にしなくとも、昨日手渡してくればいいのに・・・と膨れっ面になる瑠梨。
最近、新はかなり忙しくてなかなか会えていない。そんな中、昨日やっと二人で昼食をとることができた。その時に、記念日はホテルでディナーを食べようと会話をしたことを覚えている。
だから、朝から楽しみで服をあれこれと選んでいた。しかも、ラッキーなことに仕事は休みなのでゆっくりできる。ただ、気分が悪くて、朝ごはんをあまり食べられなかったけれど。

「っと、ちょっと開けてみよう。あ、花束は…花瓶がないから・・・バケツにINしよう。」

大体、新は私のことを言えないぐらい抜けていると思う。そもそも新の性格上、この無機質な部屋に花瓶などありえない。だって、全面的に真っ白で、机も椅子も何もかも白で統一されている部屋なんだよ。
最初に入った時に、うわぁ・・・あれだね、住宅メーカーの見学会に来た感じだよね。って引いたら、新が必死に弁解してきたっけ。

『・・・温かみのない部屋だね。』
『いや、その、あまり帰ってこないからな・・・。』
『キッチンなんて埃一つすらない・・・あ、料理道具もないっていうことは、料理は・・・他の人の家で?』
『実家、もしくはお店で食べてるから!!女を連れ込むこともないから、その冷たい視線やめてください。お願いだから!!』
『いや、そこまで疑ってはいないけれど・・・なんだかなぁって思って。』

(散々言い訳した後、新はこの家は瑠梨の好きなようにしてくれていいと言ってくれた。だから、少しずつ料理道具も増やして、いろいろと小物を揃えてきたのだが。)

ぼんやりとしながらも、箱を一つ一つ開けていくと、下着、ワンピース、アクセサリー、ショールといろいろと出てくる。目を丸くしていると、小さなメッセージカードが添えられていることに気付いた。

「えっと・・・今晩はこれらを着て来てほしい。夜を楽しみにしている?」

(つまり、あれだ、新が言っていた、男のロマン!! 着飾って、それを脱がしたいって・・・)

「要するに、ヤりたい!!ってアピールされているわけね。うーん、あまりロマンチックじゃないなぁ。・・・となると、シャワー浴びて、化粧も薄めにしなきゃ・・・」

瑠梨は納得すると同時に首を傾げていた。(ちなみに、普通はそういう発想にならないのだが、如何せん、これが瑠梨さんだ。あきらめようね、新君。)

夕方になり、そろそろ待ち合わせのホテルに行かなければならないことに気付く。
新から贈られたワンピースを着こなし、ネックレスやピアスを付けて、マニキュアも縫って完璧に整えた。

「・・・うん、服にはおかしいところはないみたいね。それにしても、吐き気もひどいし、匂いにも敏感になってるし、どうかしたのかしら。」

体調を悪くしたのかもと思いながらも、唇に薄目のルージュを引いていく。
予め、予約していたタクシーに乗り込み、新と再会したあの海野ホテルへと向かった。

降りた時、なんだか立ち眩みを感じてふらふらとなってしまう。その時、何もないのに思わず転びそうになってしまった。

(おかしいわ・・どうしたのかしら。なんだか・・・眩暈が・・・・)

「いけない・・っ・・・」

辛うじて、なんとか倒れずに済んだが、座り込む形になって立てない。もう少しで玄関だというのに、体が言うことを聞かないのだ。
途方に暮れていたら、影ができた。それにびっくりして見上げると、綺麗な女の人が前かがみになって私に手を差し伸べてくれていた。

「うう・・・」
「失礼ですが、手をかしましょうか?」
「えっ・・大丈夫です、あの・・いたっ・・・や、やっぱり、申し訳ございませんが、すぐそこのホールまでお願いできますでしょうか。」
「もちろんです。ああ、こちら側の腕に掴まってください。あ、パンプスも折れていますね。こちらもお持ちします。」
「す、すみません・・・・。」

パンプスまで持って、私の腕をつかみながら誘導してくれる素敵な女の人。きっと仕事もこんな風にできる人なんだわ・・・と思う。
ホールの椅子に座らせてもらうと、彼女はすぐにトイレに駆け寄っていった。何を・・・と思ったら、濡れたハンカチで私の捻った足首を巻いてくれた。

(こんな素敵な人、なかなかいないわ・・・!ああ、私が男だったら絶対に惚れているところよ!)

・・・なんていう私のときめきに気付くことなく、彼女はにっこりと微笑んでくれた。少し会話をしていると、病院を勧められた。
一体なぜに・・・・と思っていると、妊娠している可能性があるという。

「もし、心当たりあるのであれば、転ばれたことも心配ですし、産婦人科を受診してみてはいかがでしょうか?」
「産婦人科・・・えっ、に、妊娠しているかもってこと!?」
「はっきりした確証はありませんが。とにかく、病院に行かれることをお勧めします。旦那様と連絡をとることは可能でしょうか?」

確かに思い当たることはあるので、新に連絡するために、携帯を取り出す。彼女は用事があるらしく、もう出ていくというので改めてお礼とともに、おいしい焼き鳥を出している店を紹介しておいた。・・・一応新が経営している店の一つなのだが、それは言わないでおこう。

「しかし、とってもいい人だったわ・・・あ、新?うん、そうなの、でも・・・・」

電話のやり取りから慌てたような声が聞こえてくる。電話の向こうで何やらやり取りがあった後、一度切るから待っていてほしいといわれる。

「動くなって言われても・・・足を捻っているから動けないのよね。」

十分ほど待っていると、エレベーターの方から新が近寄ってきた。隣にいる人は運転手を務めている秘書さんだ。

「ごめんなさい、ドジ踏んだわ。」
「いや、それよりも病院に行こう、ディナーどころじゃない。万が一妊娠だとしたら大変だぞ。」
「新、まだ決まったわけじゃないから・・・」

楽観的な私とは違って、新は心配症でせっかちだ。善は急げとばかりに私を抱き上げてさっさと車に乗り込んでしまった。
あれよあれよという間に、病院に連れ込まれ、受診する。ちなみに、瑠梨が気付かないところで、新がじっと医者を睨みつけていたのは余談だ。
受診の結果、おめでたということがわかった時の新の浮かれようは凄かった。

「男か、女か・・・・楽しみだ。ああ、そうだ、家もリフォームしなければな・・・そうだ、父や母にも知らせないと。」
「新、少し待って頂戴。まだ安全とは言いがたい時期だから流産の可能性もあるの。周りに言うのは安定期に入ってからの方が・・・。」
「そ、そうだな。もう少し待とう。しかし、こうもう嬉しいと言いたくなるな・・・。」

もし、お医者さんに説教されなかったら、きっと新は延々とのろけを続けていたことだろう。しかし、新のテンションはお医者さんに言われたある一言で冷めた。

「・・・・営み禁止・・・」
「まだ赤ちゃんにはよくない時期ですからね。少し我慢してください。」
「赤ちゃんのため、妻のため、我慢はしましょう・・・だが・・・うう・・・・」

葛藤している新に悪いが、瑠梨はほっとしていた。何しろ、会える時は毎回盛ってくるのだ。たまにはゆっくりと二人で会話する時間が欲しいと思っていただけに助かる。

(・・・男の人ってやっぱり身体のつながりを大事にするのね。悪いことじゃないけれど、たまにはゆっくりした時間を過ごしたいなぁって思うの。)

ため息をついた後、瑠梨はまだ医者に対してあれこれと質問していた新の耳を引っ張って出て行った。延々と聞かされていた医者から感謝されたのは言うまでもない。
病院を出ようとした時、瑠梨は助けてくれた時の女性にお礼を言いたいと告げると、新が代わりにお礼を言っておくよと請け負ってくれた。
直接話したいというと、今日はもう遅いからやめなさい、また今度会う機会を必ず作るからと言われては引き下がるしかない。

「・・・会いたかったなあ。」
「女性、だよな?おかまとかそういうのではなく・・・」
「新、失礼なことを言わないで。あ、そういえば、焼き鳥屋さんを勧めたわ。もしかしたらそこにいるかも。」
「わかった。瑠梨を送った後、その店に寄るとしよう。」

新との会話に満足した瑠梨は車の中へと乗り混むと、新の肩に頭を預けて目を閉じた。つまりは眠くなったともいう。

次に目を覚ましたのは、布団の中だった。もぞもぞと起きると、キッチンの方から音が聞こえたので、リビングに向かった。

「・・・新?」
「ああ、起きたか。体調はどうだ?」
「うん、たいぶマシになったよ。そうだ、あの女性には・・・」
「ああ、いろいろあったが、会って御礼はきちんとしたぞ。俺たちが予約しておいた部屋に泊まりたいと言っていたから快くプレゼントしておいた。連絡先も聞いておいたから、改めてお礼を言いに行こうな。」

新の言葉に笑顔になった瑠梨は思わず自分から抱き着いてキスまでしていた。ちょっと恥ずかしかったが、新が嬉しそうだったのでよしとする。

「ありがとう!!良かったわ・・・せっかくの記念日だったのにごめんなさい。」
「何を言うか、その分素晴らしいプレゼントをもらったんだ。むしろ、喜ばしいことだよ。」
「でも、ヤりたかったんでしょう?」
「瑠梨、いくら俺でもそこまで盛っては・・・」

途中で新の言葉が止まったのは、過去を思い出して唸っているからだろう。私もジト目で見つめている。

「・・・毎回盛っているよね?」
「えーと、はい、すみません。」

目をそっとそらすあたり、自覚はあったようで良かったです。うんうん頷いていると、新が慌ててフォローもどきなことを言ってきた。

「る、瑠梨、勘違いしないでくれよ?体目当てだとかそんなこと思っていないからな?子どもは本当に嬉しいし、瑠梨のことももちろん愛しているからな。」
「うん・・・愛を疑ったことはないけれど、たまに体だけなのかなって思うことがあって。」
「いやいやいや、それは愛ゆえになんていいますかね・・・」

新の弁解する様子がおかしくて、ついに吹き出してしまう。
瑠梨は新の愛を疑ったことはないが、それでも時々ふっとマイナス的になってしまう。それでも新が弁解する限りはまだ大丈夫と思えるから不思議だ。

「大丈夫、新が私を好きじゃなくなった時には私も多分新のことに冷めてると思う。」
「・・・・・全然、大丈夫じゃねぇ。これは、あいつのことを笑えないな・・・。」

がっくりと肩を落とした新のつぶやきに気付かないまま、瑠梨は新の料理に手を付けた。


「これからママになるんだもん、しっかり食べないとね。」



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