【R18】第二王子と妃の夫婦事情

巴月のん

文字の大きさ
7 / 126

幕間2)父と兄の心配の種

しおりを挟む
本編第5話時点での兄と父の心境
・・・・ザンが残念な王子になっちゃったような(汗





最近、息子の感情が読み取れるようになってきた・・・ような気が。
ああ、息子とは、今目の前にいるザリュルエルト皇太子の方ではなく、この場にいない第二王子のザンの方である。
ため息をつきながら、向かい側にいるザリュルエルトと、横で立っている宰相を交互に見ながら呟いた。


「あれが・・・・第二王子があれほどに口悪くののしれたとはな」


『このくそボケ爺が。宰相のくせにその目は節穴か?あのバカ女が俺に相応しいと?あのどう見てもアリアに劣るあの女が?いいか、俺の妃はアリアただ一人。聖女も彼女ただ一人だ。その証拠に、アリアが消えてからの中庭をみろ。前はピンク色を放っていた空に張られている結界も今は白い。さらに、ボロボロになっている水晶花まで出ているじゃないか。本当にそのユナとかいうバカ女が聖女というならば、あの中庭や空上の結界を何とかして見せろ。そもそも、アリアの離縁届を受け取るほうがどうかしている!』

思い出したのか、宰相は顔を真っ青にしながらコクコクと頷いている。弱弱よわよわしい表情からして、よほどりたのだろう。あれ以来、宰相はザンとまともに話せていないようだ。
少なくとも、今までを知る限り、ザンは大人しかった。それこそ、小さい頃から可愛らしかった。しかも、手のかからないほど賢く、反抗期なんかあったかと思えるほどの穏やかさで、口調も大人しかった。世間一般では今なお、若い女性たちから理想の王子様だといわれるほどの評判の良さだというのに。ここだけの話、魔力が高く、珍しい色を持ったことも相まって、ザリュルエルトよりもはるかに人気があるほどだ。


「・・・父上、もしかしなくとも、ザンはいい子を演じていただけ、ではないでしょうか・・・」


遠い目をしながら核心を突いてくるザリュルエルトの意見を否定できない自分がいることに冷や汗を垂らした。


「もし、もしそうだとしたら・・・やはり、第二王子は皇妃に似たという結論になるのだが」


ポツリと呟いた自分のセリフに今度は宰相が何かを吐いて床へと項垂れた。


「ぐっ。あれは、あれはやはりあれですか・・・我が姪の遺伝かも知れぬと!?」


・・・実はこの宰相、我が皇妃の伯父にあたる。それだけに皇妃のことは、余やザリュルエルトよりもよく知っている。少なくとも、ここにいる3人は皇妃のことに関して情報を共有できる仲だと言えた。


「そうでなければああいう演技力はなぁ」
「母上も大概あれですからね・・・ザンが同じようになるまいと必死に隠しまくったので、ザンは母上の本性に気づいていないかもしれませんが」


はぁとため息をつくザリュルエルトに対し、宰相は未だに涙を流して 蹲うずくまっている。それほどまでにショックだったか。


「うう・・・できるならば、気性は皇帝陛下の方に似てほしかった・・・・!!」
「・・・いや、余に似てもそれはそれで少し問題があるような気がするがなぁ」
「少しぐらい気弱な方がまだかわいらしいというモノですぞ!」


髭を撫でながら、宰相から目を逸らしつつ、窓を見やった。すると遠目にではあるが、中庭が見えている。と、そこに人影があるのが見えたので、立ち上がって窓の方へと近づいてみた。ザリュルエルトも宰相も気づいたのか、一緒に窓へと近寄った。 
見えたのは、ザンが本を読みながら、アリア妃に膝枕をしているところだった。本を読んでいるその傍らで、時折、アリア妃の髪をすいている。・・・しかもその間隔も短く、それこそ、2・3分に1回という。そんなにアリア妃の髪の毛を気に入っているのか、オィとツッコみたくなるほどの甘さだ。
しかも時折、その髪にキスまでして・・・あ、ほっぺにもキスしているではないか。寝ているアリア妃はまったく気づかずすやすやと寝ている様子だが。


「・・・・・ゲロ甘ですね、父上」
「おかしいな、政略結婚のはずだったのだが・・・」
「あれほどに好いているようなら、もう好きにさせた方が良くないですか。幸いにして、アリア妃へ害がいかなければ、問題ないようですし」


目を凝らし、眉間による皺をのばしながら再び椅子に座ると、ザリュルエルトもため息をついて戻ってきた。呆れる様に言うザリュルエルトの言葉にもっともだと思いつつ、宰相に話しかけた。


「・・・宰相よ、第二王子は相当アリア妃に参っているようだ。恐らくあの様子だと、アリア妃が逃げても追いかけるであろう」
「・・・でしょうなぁ。実はここだけの話、トング・ポール団長から嘆願書たんがんしょが届いておりましてな。これも今ならば、ひっじょーに納得できる内容で・・・正直、もしあの王子を見ていなかったら、到底信じられぬ内容でございました」
「それは一体どのような?」


気になったのか、ザリュルエルトが質問すると、その件の嘆願書を差し出してきた。それに二人して目を通すと・・・顔を引きつらせることしかできなかった。宰相はため息をつきながら嘆願書を巻いて懐へ戻した。


「・・・ご覧になりましたように、要約しますと・・・自分の不備はいくらでも詫びるのでどうかザン王子の八つ当たりを止めてほしいと」
「・・・うーん、アリア妃だと気づかずに息子の嫁によかろうと採用したって・・・ある意味、度胸あるよね」
「それ以前にそんな理由で採用を勝手に行う人間が団長とは。今の兵団にこの国を任せてよいのか不安になるのだが・・・」
「ちなみに、このトング・ポール団長は現在、突然見舞われた謎の怪我のため、全治3週間の入院と聞いております。あと、息子の方のラティスという兵士も度々厳しい手合わせを受けておられます」
「・・・これに懲りて彼も反省したであろう。今後はさらなる活躍を見せてくれるであろうことを期待して・・・とにかく、どんな理由でも良いから名目上は見舞金という形で贈っておいてくれ。・・・残念ながら、余では第二王子の気持ちを諌めることはできないという詫び状も丁寧に添えてな」



(・・・・許せ、逃げるわけではないが、止められぬのは確かなのだ。ああ、決して、謎の怪我の原因が思いついたからではない・・・決して!!)



「父上の気持ちはよくわかります。解るのですが、私の方からもさらなる情報提供が」
「・・・・もう聞きたくないのだが。」
「偽の聖女を逃がす手配に協力し、アリア妃に害をなそうとした貴族・・・ミッチェルという者を捕らえたことはすでに報告した通りです。そのミッチェルが・・・その、警察病院に入院しました。こちらも謎の炎と竜巻の被害に遭い、全身火傷を負いまして。・・・その火傷が酷く、いつ完治できるかわからない状況です。・・・何故か、被害に遭う前に大量の自白書を残していましたので、他の共犯者に対する情報聴取にはまったく困らないのですが・・・ええ・・・その・・・」
「・・・全力でミッチェルの治療にあたり、決して死なせるなと、警察病院の医者に圧力をかけておいてくれ。さすがに犯罪者に対してとはいえ、世間に説明できない理由での殺人は不味まずい」
「・・・・かしこまりました。やはり、父上も私と同じ見解に至りましたか」


(誰がとは言わない。ああ、決して言わないのだが・・・何故だ、この流れですぐに犯人が予想できてしまうのは!!)


今後のことを予想すると嫌な予感すら感じる。やむを得ないとばかりに、宰相に対して異例ではあるが、とあることを命じることにした。


「第二王子に話がいく前にアリア妃に関わる全ての悪評を潰せ。でなければ、さらなる被害者がでるであろうことは確実だ」
「・・・ああ・・確かに予想できて怖いです。・・・今なら、あの会議に出ていた貴族達が喜んで協力すると思いますよ」
「そうでございますな、私も自分の命がおし・・・いえ、とにかくこの世の平和のためにも全力で協力いたしましょう・・・ぐに手配してまいります」


一礼して下がっていく宰相を見送り、親子揃って深いため息をついた。


「・・・父上、不思議なことに・・・母上を思い出しました。まだ小さかったザンに対して酷いことを言う貴族もたくさんいましたよね」
「うむ、第二王子は魔力が強いがために、紺色の髪に紫の目を持って生まれたからな。我々とははるかに違う色を持っていた故、気持ち悪がる貴族も多かったし、皇妃や第二王子に対して、心無い言葉をぶつける者も確かにいた」
「私はまだ小さかったですが未だにはっきりとあの恐ろしさは覚えております。母上はあの頃、全てを一蹴し、その心無い貴族たちを黙らせていましたよね」
「・・・そこは、麗しい母親の愛とでも思うがいい」
「思えませんよ!もういっそ、お互いの本性を明かさせた方が楽になるのでは」
「一応、皇妃も自分の本性が悪影響となると思い、第二王子に見せまいと必死に頑張っているのだ・・・」
「しかし、あの会議を見る限り、やはり遺伝としか思えぬのですが」


何かを思い出したのであろう、2人そろって身震いしたのは偶然かはまた必然か。


「・・・宰相に対して炎をぶつけていたザンを見た時は、母上の生霊でも乗り移ったのかと思ったほどです」
「それは・・・確かに余も同じことを思ったが・・・ううむ・・・」
「ついでに言えば、母上は『ツンデレ』なるもので、本当は父上のことが大好きなのだと思うのですが、そういうところも似たような気がしてなりません」
「・・・その『ツンデレ』というのは何なのだ?」
「アリア妃が教えて下さったのですが、アリア妃の世界では、特定の人間関係において敵対的な態度になる状態をツンツンと表現し、逆に過度に好意的な態度のことをデレデレと表現するそうで。つまり、普段は、ツンツンした態度の悪い相手が、ある状態になるとほれてデレデレになるというような状態を『ツンデレ』と表すらしいです」
「・・・ほう、『ツンデレ』とはそういう意味があるのか。・・・確かに考えてみれば、皇妃もそういう一面があるように思う」
「ザンも絶対同じだと思いますよ・・・アリア妃が、ザンはあれでも意地悪だと言っておられましたから」


首をふってげっそりしているザリュルエルトに対して余が言えたのはただ一言だけ。


「・・・皇妃の血をひいているのだ。それぐらいですむほうがまだ可愛いものではないか」


ザリュルエルトが一瞬言葉に詰まったところを見ると、確かにとは考えたのであろうな。
とりあえず、もう時間も時間なのでそろそろ執務に戻ることにする。部屋を出て、ザリュルエルトに別れを告げようとした時に、ふと思いついた。


「とりあえず、これからより一層アリア妃の価値は高まるであろうな・・・予想外に第二王子の心を掴んでいるようであるし・・・これもやはり聖女だからなのだろうか」
「うーん・・・ザンの様子を見るととてもそうは見えませんよね。聖女だからというより、アリア妃個人を好んでいるような・・・」
「だが、アリア妃は第二王子の執着心に気づいていないのであろう・・・心がすれ違わないか心配ではないのか?第二王子の勘違いでそれこそ変な方向へ行ったりしたら・・・」
「・・・違う、と言い切れないところが怖いですね。私も気を配ります・・・たまに弟の様子を見に行くとしましょう」


そうするが良かろうと頷き、別れを告げて自分の執務室を目指して帰ろうと歩き出した。ザリュルエルトも同様に仕事へと戻ったのだろう。反対方向へと歩いていく足音が聞こえていたが次第に小さくなっていった。






余談

「・・・ん、ザン?」
「起きたか、アリア」
「・・・・な、なんで、寝室にいるの?それに私、なんで裸なの・・・!?」

いつの間にかザンの寝室のベッドで裸になっていたことに驚く。
しかもザンも裸で、お互いに抱きしめあう形になっているではないか。横になって真っ赤になりながらも、ザンを見上げると、ザンの右手が伸びてきてムニュムニュと胸を揉みだした。

「きゃっ!?」
「・・・あんな顔をして寝ているお前が悪い」
「えっ?ええっ・・?・・・あっっ・・やっ・・・なんで寝ている時まで、やっ、揉まな・・いで・・な、なんで・・・寝てただ・・けで・・ワルイって・・・言われなきゃならないの~~~!」

覆いかぶさってくるザンに対して思わず絶叫が響いてしまうが、助けなど来るはずもない。かくして、アリアはそのままザンに料理され、美味しく頂かれてしまった。


しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...