【R18】第二王子と妃の夫婦事情

巴月のん

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番外編

ザンとアリア出会い編①

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「・・・・どこよ、ここはっ!!」


呆然としている私の横でユナが喚いているが、自分としてはそれどころじゃなかった。絢爛豪華で広い部屋も驚きだけれど、それ以上に目の前にいる人たちに違和感を持ったからだ。ざっと十人ぐらいはいようか、その中の4人ほどは魔法使いのマントを纏っていて、フードのせいで顔も見えない。他は鎧姿の兵士たちが、警戒からか、私たちを逃がさないよう取り囲んでいた。こんな様子をみればここが日本でないことぐらいはわかる。


(うわぁ・・・異世界だ。)


突然のことに声を出せずにいると、ユナが魔法使いのような人たちに向かって指差しで叫んでいる。度胸あるな・・・と思いながらも、アリアはユナに突っ込んだ。


「ちょっと、あんたたち、何か答えなさいよっ!!」
「ユナ、この人たちと会話が通じるの?」
「・・・そ、そういえばそうね。」


思い当たったユナが考え込んでいると、正面にいた魔法使いらしき人物の一人がフードを外しながら声をかけてきた。


「それについては問題ない、我らが召喚する際に言葉が通じるようにプログラムを組んでありますので。」


アリアの目に入ったのは、グラテーションの入った黒から紺色に染まるような髪と、アメジストのように深い紫色の瞳を持った男だった。


(無駄に・・・)


「い、イケメンじゃん・・・。」


(って、口にするのね、ユナは!!!いや、それよりも問題なのはこっちでしょう!さっきの召喚なんとかってやつ!!)


内心で突っ込みながらも、アリアは恐る恐る目の前の王子に向かって口を開いた。


「・・・召喚というのは一体何のために?あなた方は我々に何を望んで召喚を?」
「さすがは女神様の代理人として召喚されただけのことはありますね、理解が早くて助かります。・・・俺はこの国の第二王子、ザン=トーリャ。皇帝の命により、こちらに聖女を召喚し、保護せよという名を受けております。」


マントを完全に外して優雅に一礼してみせたザンに対し、アリアはたった一瞬で感じ取った。


(・・・・この、人・・・絶対同じだ・・・!!うちのお父さんとっ!!!)


アリアの父親は似非笑みがとてもうまい人で、母以外には一切の感情を出さない人だった。娘の自分にさえ、微笑んで見せるのは母がいるときのみ。父親曰く、家系故の気質だから仕方がないというが、なんというか・・・極端ですよって話だよ・・・。昔はもう何度も悩んだけれど、今はもう綺麗さっぱり諦めてもうあれが「私のお父さん」なんだって割り切っている。


(そっくりだぁ・・・お父さんとよく似てるよ・・・作り笑いがきもっちわるい!イケメン台無し!!)


思わず口を閉ざしてしまったアリアはこっそりとユナの後ろへと隠れた。ちなみに、この時、ユナはアリアが怖じ気ついたのだと誤解をしてさらに増長することになるのだが、それはまた別の話。
ザンが言うには、周りにいるのは召喚のために結成された魔法使い達で、ザンは皇族として責任者としてここにいるという。兵士たちは万が一のために配置されただけで、害を加えるつもりはないということだった。説明の後、自己紹介を求められたアリアとユナはそれぞれ名前を名乗る。この時にザンの説明により、聖女として呼ばれたことを知ったアリアとユナだが、反応は正反対だった。


「きゃあっ!あたしが聖女なんて素敵!!この城で暮らしていいってことは贅沢なこともできるってことよね?!」
「うわ・・・メンドクサイ。」


アリアがつぶやいた時、ザンが一瞬目を細めるのを見たが、すぐに笑顔(アリアで言う似非笑み)に戻ったため、そっと目をそらした。ユナはもうすっかり浮かれ果てて、日本に戻ろうという意思がみじんも見えない。アリアはというと、脳内で分裂精神がせめぎあっている状態になっていた。


《ねぇねぇ、ありあちゃん、王子様にお願いして日本に戻れるかどうか聞いてみようよっ♪》
《いやいや、戻れる可能性なんてないでしょ?だって異世界よ?どう考えたって無理無理っ!ここは自分の生活を確保しなければっ!!》


(・・・あ、ダメだ・・・脳みそがパンク状態になってる。ここはひとつ冷静にならないと。)


「・・・・とりあえず、今晩はそれぞれ部屋を用意しますのでゆっくりお休みください。ポトス、ユナ様を部屋へ。アリア様は・・・シャラ、アリア様をあの部屋へお連れしなさい。」
「「はいっ!」」
「わぁ~どんな部屋なのかしら、楽しみっ♪」
「・・・・本当、この時ばかりはユナの呑気さが羨ましいよ。」


ザンの一言でその場は解散となったが、アリアとしてはひたすらひたすら困惑でしかなかった。シャラに誘導されてとある部屋に連れていかれたのだが、なぜかザンも一緒についてくる。疑問に思ったアリアは内心いやいやながらも、恐る恐る口を開いた。


「・・・・王子様はどちらへ?」
「ああ、自分の部屋は隣なんですよ。あの奥の扉です。」
「あ、そういうことですか。」


納得したアリアはシャラに開けてもらった部屋へと入った。


「うわあ・・・天井ガラス・・・すごい。あ、でも・・なんだか、日本っぽいものもある。」


最初の部屋と比べると地味であるものの、よくよく見てみると、和柄が多く使われており、全体的に城の豪華さとは異なる雰囲気ではあるが、アリアにとっては馴染みのある部屋になっていた。


「・・・なんだか、この部屋が一番落ち着くかも。」


ほっとしたものの、なんだか眠れない。窓近くのソファーに座っていると、ドアのノックとともに、シャラが入ってきた。


「お休み前に失礼します。ザン殿下が寝る前にお茶をどうかとおっしゃっていますが如何いたしましょうか。」
「・・・そう、ですね。少し気分転換に。」
「では、お連れ致します。」


いつものアリアなら怪しいと判断できるが、この時ばかりは眠れないというのもあってふらふらとついていった。






・・・・・・・ザンの化けの皮が剥がれるのはこの後すぐのこと。





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