【R18】第二王子と妃の夫婦事情

巴月のん

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スピンオフ

現代版ザンアリ『副社長と彼女の恋愛事情』(18)完

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*第二王子と妃の夫婦事情【スピンオフ】現代版ザンアリ『副社長と彼女の恋愛事情』(18)  完
※ザンがアリアと同じ世界の人間だったら?という話です






胸が痛い。でも、これは言っちゃダメ。口にしちゃダメ。
だって、契約だもの。ザンは・・・私に欲情はしてくれるけれど、それ以上の感情はないと思う。
最初の出会いの時を思い出してみてもそうだ。
お互いに恋愛感情なんて持っていなかった。それは明らかで確かな事実。

そりゃあ、同棲してるから、情は沸くよ?
それに、楽しかったし、身体の相性もいいみたいだし。

それはいいかえれば、彼にとっては凄く都合がいいってことで。


・・・きっと、破棄した後、彼は会社にとってメリットがある結婚するんだろうな。


ああ、胸が痛い。

アレクサンダーはなぜかいつもと違って自信がなさそうに眉間に皺を寄せていた。
有亜が黙っていると、なぜかいつもの尊大な態度ではなく、何かを迷っている様子だった。
何か言いづらい話題なのかと思い、しばらくはじっと見つめているだけにとどめていた。ようやく意を決したとばかりにアレクサンダーが口を開く。

「まず、なんといえばいいのか。少なくとも、性急に話を勧めたことは謝らねばなるまい」
「うん・・・それは契約の話だよね?」
「そうだ。いや、そんな顔をするな。いいか、俺はあーそーのー」
「やっぱり!そうだよね、ちゃんと契約の内容を確認しないといけないもの!大丈夫、私も考えてきたの」

そう、破棄しても苦しくないように色々と。例えば、同棲はいつ解消するのか。破棄したら仕事の部署を変えてほしいとか。

「いや、だからな・・・」
「大丈夫よ。ザンがまだ細かいところを決めてないなら無理に婚約届を出すことないし、気長にいこうよ?」

彼が言いづらそうにしていた原因に思い当たり、心配ないよとばかりに彼の両手を包み込んで励ましたら彼が何とも言えない表情を見せていた。あれ?こんな顏珍しいな?

「・・・有亜。いや、そうじゃなくてだな。俺は、契約をその・・・取り消したいなと思ってる。」

有亜はまさかの発言に固まった。それは一体どういういみだろうか。思わず握り締めていた手を外して、下を向いた。

契約結婚を辞めたいということはつまり、ザンに取っては合わなかったということだ。
なんてこと。ここまで来て今更とは思ったが、何か理由があるに違いない。逆に考えれば、結婚まで行かなくてまだよかったとも言える。

・・・・多分。まだ、傷は浅いから。今の内なら、まだ引き返せる・・・!

拳をぎゅっと握り締めて、無理に笑おうとするが、顔をまともに上げられない。声がうまく出ないのは解っている。それでも、鼻をすするのをやめられない。だって、すすりでもしなきゃ涙がでそうで怖い。

「・・・そっか。じゃあ、私はここにのころ・・・」

なんとか声を振り絞ったその時、目の前に彼の顏がアップになり、そのまま口づけられた。
突然の行動に訳が分からず、有亜は必死に抵抗するが、彼の舌が口の中まで入り込み、蹂躙してくる。舌を絡みとり、歯茎を舐めとり、時折、唾液と一緒に唇を吸われるのはこれいかに。
息苦しさから彼の広い胸を叩くが、びくともしない。数秒はゆうに経った頃、ようやく解放された。

「んふ・・・なんで・・・・?」
「変なことを考えているからだ。いいか、お前が嫌いだからとかそういう理由で辞めたいんじゃない」
「じゃあなんで・・・・あっ、もしかしてあいじ・・・いたっ!」

愛人に?と聞く前に額に衝撃が来た。彼が額をごっつんごさせたのだ。地味に痛いと額をさすると、彼が頬にキスしてきた。・・・・とんでもない告白と一緒に。

「愛人になんて愚かな。それぐらいなら我が妻としてファミリーの一員に迎えるほうがよほどいいに決まっている」
「・・・でも、契約は止めるんじゃなかった?」
「そうだ。その上でこう言っている・・・俺の妻になってほしいと」

・・・・・・・・・・・・・彼の言葉を何度か嚙み締めて訳文を必死に考えるが、脳は都合のよいようにしか捉えてくれない。これではあまりにも自分に甘すぎる。これはいかんと思った有亜は思わず、彼に聞いていた。

「一応お尋ねしますが、それは・・・契約を白紙にした上で?他になんらかの意図とかは・・・」
「日本語だと穿った目になってしまうということだな。いいだろう。ならば、言い換えよう」

そういいながら、アレクサンダーはポケットから小さな箱を取り出した。その形状の箱はテレビや恋愛小説に幾度も出てくるアレが入っているのだとさすがの有亜にもわかった。
いつの間にか涙を我慢できずにぼたぼたと流していた有亜の前に、ザンが片膝をついた。

「癪ではあるが、父の言う恋愛結婚も悪くないと君との生活で認識を改めた。ああ、認めよう、本当に君と過ごした日々は楽しくてたまらなかった。そして、できるならばこれからも続けていけたらと願う」

何、これ。沖縄で一体何が起こってるの?ここ、日本だよね?

パニックになっている有亜の前に開かれた箱。その中にある台にダイヤモンドがついた指輪が鎮座している。

「さぁ、返事を聞かせてほしい。Would you marry me ?」
「い、イエス、い・・・Yes・・・もちろん!」

気付けば、有亜は精いっぱいの返事とともにアレクサンダーに抱き着いていた。その返事は届いているよとばかりにアレクサンダーもまためいっぱいアリアを抱きしめていたが。

「良かった」
「・・・・わ、たし・・だけだとばかり」
「そんなわけないだろう。少なくとも、お互い惹かれているだろうとは思っていたから、大丈夫だと過信していたんだ。君が契約をそこまで気にしてくれているとは思わなかったというか・・・」
「・・・・気にするに決まってるよ」
「等庭にもそう言われたよ・・・だから、すまないと謝っている」
「ふ、ふふ・・・謝ってるように聞こえないよ」

声を立てて笑うと、さらに抱きしめてくる力が強くなった。彼が項にキスしていることに気付き、くすぐったいと洩らすとなぜか頬の方に何度もキスしてきた。・・・もしかしたら、彼も意外に浮かれているのかなとさえ思ってしまう。
そして、我に返ったときはなぜか、周りにいた人たちが拍手していた。観光客がひゅーと口笛を吹いているのも見えた。
ここが観光地であることを思い出した有亜は慌てて降りようとするが、彼がおろしてくれなかった。かくして、有亜は羞恥心から顔を必死に上げないようにしながら彼に抱きかかえられて車へと入っていった。

「あーーーーもーーーーもう首里城には来ないっ!恥ずかしすぎる!」
「心配するな、結婚式の時はこれよりもっとたくさんの人間が来る」
「そういう問題じゃない、もうっ・・・!」
「・・・東京に帰ったらすぐに結婚式の準備にとりかかろう。ああ、そうだ、その前にこれを書いてくれないか」

彼がポケットから取り出したのは、ペンと・・・婚姻届けだった。

不思議と、最初に見た時と違って気分は高揚している。われながら単純だと思いながらペンを執った。

「これでいい?」
「完璧だ。いい機会だ、首里城でプロポーズしたことだし沖縄で受理してもらおうか」
「え、いや、それは止めて。さすがに親子二代でそれは嫌だ」
「ふむ。なら、東京か?それなら、さっさと帰らねばなるまい」

ああでもないこうでもないと言い合いながらも、有亜は色々と悩んでいたことがバカみたいだとさえ思えるようになった。そういえばと思いながらあれやこれやと聞いていたら、なんと、ザンが自慰ぐらいいくらでもするぞ、これでも人間だと言うではないか。
これを聞いた有亜はふと思った。もしかしたら、色々話し合ってみたらもっと別の見方がでてくるのではないかと。
そして、これからはそれがいつでもできるという状況になるわけだ。
それは楽しそうだ。逆に自分が聞かれることさえあるかもしれない。そう、例えば、先輩が何故ザンの秘書になっているのかとか。色々と言ってないこともたくさんある。
お互いに少しずつ話し合って、必要なことを共有していけば、もっともっと楽しみが広がると思うと嬉しくなるし、ワクワクする。

「ね、私達どんな夫婦になると思う?」
「・・・・とりあえず、毎日がハラハラドキドキになることは間違いないだろうな」

同じことを考えていたのかなと思うと、嬉しくて頬が緩む。有亜はおずおずながらも、アレクサンダーの肩にもたれ掛かった。
滅多に見せない甘えにアレクサンダーもいつものぶっきらぼうな言葉を封印したのか、無言で有亜の髪を撫でている。
撫でられている感覚に気持ちよさを感じたのか、有亜はそのまま目を瞑ろうとしたが、その前にふと言っていない言葉を思い出した。
アレクサンダーを見上げて、つんつんとスーツを引っ張ると、アレクサンダーだがいつになく優しく聞いてきた。一体どうしたんだと。


なんて伝えればいいのかな?

愛してる?
うーん、それは後でも言える。

今一番言いたい言葉ってなんだろう?


ああ、そうだ。好き。


そう、好きってシンプルに言えばいいだけだよね。




「あのね・・・アレクサンダー、私、貴方のことが好き」
「・・・あ、ああ、おれ・・・」
「ううん、返事、いらない。解っているから。ちゃんと、言いたかっただけなの。おやすみなさい」
「・・・おやすみ」



そのままトロンと目を瞑って眠りについた有亜は気付かなかった。アレクサンダーが珍しく顔を真っ赤に染めて悶えていたことに。






余談

アレクサンダーは真っ赤になった顔を片手で抑えながら、ひとまずはと運転手に向かって一言告げた。

「ふいうちは卑怯だ。このまま東京の市役所に向かう。その後は家に直行だ。仕事?そんなものキャンセルに決まっている。まずは空港だな」
「まー当然っスね、了解!!いやぁ。良かったっスね~」
「・・・・ふ、言いたいことがあるならいくらでも喚くがいい」
「ちきしょーーーー彼女ほししいぃいいsっすぅうううう!」
「ああ、その調子でいくらでも叫ぶがいい。今なら寛大な気持ちでいくらでも聞けそうだ」
「あんた、やっぱり鬼っスわ・・・」




HAPPY END!


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