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第一章 高校一年生(一学期)
ゆうとうせい(萌花)
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なぜだかわからない。
だけど、なぜか自分の周りには人が集まる。
昔から、敵を作らないように気を張っていたからかもしれない。
まあ、いわゆる八方美人というやつだ。
クラスに一人はいるだろう。色々な人と仲良くなれるけど、決して誰にも深入りしない人が。
萌花が、その筆頭であると言えばわかりやすいだろう。
(正直結構疲れるんだよなー……敵も作りたくないけど)
萌花は魂まで出そうな大きなため息をつく。
この悩みはどうしたものか……
そう考えていると、係決めの時間がやってきた。
「室長やりたい人いますかー?」
先生の甲高い声が聞こえる。
だが、そんなに耳にダメージがくることはなく、慣れれば気にならない。
(室長……クラス委員か……やっておいて損はないよなぁ……)
萌花は、リーダー的な役割を率先してやることが多かった。
面倒くさいと言いつつも、なんだかんだで人をまとめることが好きらしい。
「はい……っ!」
萌花が手をあげると、教室中から「おぉ~!」という声があがった。
入学したばかりで、まだお互いのことをよく知らない時期での挙手は、ものすごく勇気がいる。
そんな勇者は、自然と称えたくなるものだ。
「では、室長は萌花さんで決まりですね」
驚きを隠せない様子の先生がそう言うと、自然と拍手が沸き起こる。
クラスメイトからの暖かい拍手を受けて、萌花は少し照れくさそうに顔を赤らめた。
「では萌花さん。一言どうぞ」
「は、はい……っ!」
先生に呼ばれ、弾かれるように席を立つ。
そして、教卓へ向かおうとする。
――が。
「わっ!」
机の足に自分の足を引っ掛け、危うく転びそうになった。
気を取り直して真っ直ぐ向かおうとするも――
「きゃっ!」
緊張で足がもつれ、教卓の近くでコケてしまった。
萌花は、教室中に変な空気が流れ始めていることに薄々気づいてはいたが、逃げることは出来ない。
小麦色の腰まで伸びた長い髪を揺らし、橙色の澄んだ瞳でクラス中を見渡す。
「あ、あの……っ! これから室長として精一杯頑張ります! なので、その、よろしくお願いしますっ!!」
……と、勢いよく頭を下げたら、教卓に頭をぶつけてしまった。
「いったーい!」
――あ、この人ドジなんだ。
クラス全員が、そのことに気がついて、哀れみの目を向けていた。
だけど、なぜか自分の周りには人が集まる。
昔から、敵を作らないように気を張っていたからかもしれない。
まあ、いわゆる八方美人というやつだ。
クラスに一人はいるだろう。色々な人と仲良くなれるけど、決して誰にも深入りしない人が。
萌花が、その筆頭であると言えばわかりやすいだろう。
(正直結構疲れるんだよなー……敵も作りたくないけど)
萌花は魂まで出そうな大きなため息をつく。
この悩みはどうしたものか……
そう考えていると、係決めの時間がやってきた。
「室長やりたい人いますかー?」
先生の甲高い声が聞こえる。
だが、そんなに耳にダメージがくることはなく、慣れれば気にならない。
(室長……クラス委員か……やっておいて損はないよなぁ……)
萌花は、リーダー的な役割を率先してやることが多かった。
面倒くさいと言いつつも、なんだかんだで人をまとめることが好きらしい。
「はい……っ!」
萌花が手をあげると、教室中から「おぉ~!」という声があがった。
入学したばかりで、まだお互いのことをよく知らない時期での挙手は、ものすごく勇気がいる。
そんな勇者は、自然と称えたくなるものだ。
「では、室長は萌花さんで決まりですね」
驚きを隠せない様子の先生がそう言うと、自然と拍手が沸き起こる。
クラスメイトからの暖かい拍手を受けて、萌花は少し照れくさそうに顔を赤らめた。
「では萌花さん。一言どうぞ」
「は、はい……っ!」
先生に呼ばれ、弾かれるように席を立つ。
そして、教卓へ向かおうとする。
――が。
「わっ!」
机の足に自分の足を引っ掛け、危うく転びそうになった。
気を取り直して真っ直ぐ向かおうとするも――
「きゃっ!」
緊張で足がもつれ、教卓の近くでコケてしまった。
萌花は、教室中に変な空気が流れ始めていることに薄々気づいてはいたが、逃げることは出来ない。
小麦色の腰まで伸びた長い髪を揺らし、橙色の澄んだ瞳でクラス中を見渡す。
「あ、あの……っ! これから室長として精一杯頑張ります! なので、その、よろしくお願いしますっ!!」
……と、勢いよく頭を下げたら、教卓に頭をぶつけてしまった。
「いったーい!」
――あ、この人ドジなんだ。
クラス全員が、そのことに気がついて、哀れみの目を向けていた。
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