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第一章 高校一年生(二学期)
しんじつ(葉奈)
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こんなにも反響があるとは思わなかった。
こんなにもファンがつくとは思わなかった。
趣味で書いていたものが、まさかここまで身近な人たちの間で読まれるなんて……
「はぁ~……今月の新刊も良かったなぁ……!」
「わかる! ガーネットの正体がわかったところがもう最高だったよな!」
「相変わらず結衣ちゃんが優しいところに感動しました……!」
「だよね~! 僕はもう五回は見返したよ~!」
今は昼休み。
みんなで屋上に集まって、弁当を食べている。
秋の涼しい風が、青々とした空が、みんなの声が……心地よい。
『魔法少女になれたなら』の新刊について盛り上がっているみんなを横目に、葉奈はスマホを取り出す。
その中には、『魔法少女になれたなら』のデータが詰まっている。
(もしうちが……って言ったら、みんな驚くどころじゃないっすよね)
葉奈は何か企んでいるような感じで笑う。
悪巧みを考えていそうな笑みだ。
「何ニヤニヤしてんだよ、葉奈」
「は、はあっ!? ニヤニヤなんてしてないっすけど!?」
朔良に指摘され、慌てて表情を元に戻す。
だけど、こんなに慌てていると、却って逆効果だ。
朔良以外のみんなも、一斉に葉奈の方を見る。
「え、どうしたの?」
「何かいい事でもあったんですか?」
「エロ画像見てたりして~」
「断じて違うっす!」
紫乃の言葉に、葉奈は必死で否定する。
公衆の面前でエロ画像見る猛者なんてそうそう居やしないだろう。
なぜニヤニヤしてたらそういう画像を見ていることと結びつけてくるのだろうか……解せぬ。
「そ、そうじゃなくて……その……『まほなれ』書いてるの、うちっす……」
葉奈がしどろもどろにそう言うと、みんなは石像みたいに固まった。
そして、手に力が入らないのか、箸を落とす者もいた。
「……は?」
「えっと……どういうこと?」
朔良と美久里はやっと思考が追いついてきたようで、戸惑いながら口を開く。
それを見た葉奈は、ものすごく笑いを堪えている。
そう、これだ。こういう反応が見てみたかったのだ。
「実はうち……作家なんすよね」
てへっと軽く舌を出して、可愛らしく言う。
みんなはもう目を見開くばかりで、言葉が出ないようだった。
やっと誰かが口を開こうとしていたが、その声はチャイムの音にかき消されてしまった。
こんなにもファンがつくとは思わなかった。
趣味で書いていたものが、まさかここまで身近な人たちの間で読まれるなんて……
「はぁ~……今月の新刊も良かったなぁ……!」
「わかる! ガーネットの正体がわかったところがもう最高だったよな!」
「相変わらず結衣ちゃんが優しいところに感動しました……!」
「だよね~! 僕はもう五回は見返したよ~!」
今は昼休み。
みんなで屋上に集まって、弁当を食べている。
秋の涼しい風が、青々とした空が、みんなの声が……心地よい。
『魔法少女になれたなら』の新刊について盛り上がっているみんなを横目に、葉奈はスマホを取り出す。
その中には、『魔法少女になれたなら』のデータが詰まっている。
(もしうちが……って言ったら、みんな驚くどころじゃないっすよね)
葉奈は何か企んでいるような感じで笑う。
悪巧みを考えていそうな笑みだ。
「何ニヤニヤしてんだよ、葉奈」
「は、はあっ!? ニヤニヤなんてしてないっすけど!?」
朔良に指摘され、慌てて表情を元に戻す。
だけど、こんなに慌てていると、却って逆効果だ。
朔良以外のみんなも、一斉に葉奈の方を見る。
「え、どうしたの?」
「何かいい事でもあったんですか?」
「エロ画像見てたりして~」
「断じて違うっす!」
紫乃の言葉に、葉奈は必死で否定する。
公衆の面前でエロ画像見る猛者なんてそうそう居やしないだろう。
なぜニヤニヤしてたらそういう画像を見ていることと結びつけてくるのだろうか……解せぬ。
「そ、そうじゃなくて……その……『まほなれ』書いてるの、うちっす……」
葉奈がしどろもどろにそう言うと、みんなは石像みたいに固まった。
そして、手に力が入らないのか、箸を落とす者もいた。
「……は?」
「えっと……どういうこと?」
朔良と美久里はやっと思考が追いついてきたようで、戸惑いながら口を開く。
それを見た葉奈は、ものすごく笑いを堪えている。
そう、これだ。こういう反応が見てみたかったのだ。
「実はうち……作家なんすよね」
てへっと軽く舌を出して、可愛らしく言う。
みんなはもう目を見開くばかりで、言葉が出ないようだった。
やっと誰かが口を開こうとしていたが、その声はチャイムの音にかき消されてしまった。
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