86 / 239
第一章 高校一年生(二学期)
らっきー(葉奈)
しおりを挟む
下校時刻を報せるチャイムが鳴る。
もう家に帰らなくてはならない時間だ。
だけど、もう少しここにいたいような気もする。
授業が終わればすぐ家に帰ってしまう葉奈にしては珍しかった。
「お、朔良……っ!」
葉奈は廊下から、見知った姿が教室にあるのを捉えた。
明るく茶色に色付いた長い髪の毛が、微かに揺れる。
窓から差し込んだ光が、朔良の存在をより一層輝かせている。
「……え?」
――だが、何か様子がおかしい。
茶色の瞳は力なく開いており、机に向かって何かぶつぶつ喋っているように見える。
もしかしたら、調子でも悪いのかもしれない。
葉奈は朔良に駆け寄り、声をかけた。
「朔良ー! 大丈夫っすか?」
「おわっ!?」
葉奈は、その光景に唖然とした。
紺色の短いスカートから、純白の清楚な下着がタイツ越しに一瞬見えたから。
「あ……っ」
下着に釘付けになっていた葉奈に気づいたのか。
朔良はすぐさま、バッとスカートを押さえる。
「な、なんかごめん……その……見苦しいもの見せちゃったな……」
「……へ、え? い、いや、別に! うちとしてはご褒美――じゃなくてっすね……! ほんと大丈夫っす……」
顔を赤らめて、何やらもじもじしている様子の朔良に。
あやうく本音が出そうに――いや、実際出てしまった言葉を必死に誤魔化す葉奈。
どこか気まづい雰囲気になってしまった二人の間に、沈黙が流れる。
それを吹き飛ばすように、朔良は努めて明るく言い放った。
「じ、じゃあ、帰るか。葉奈」
「そ、そっすね……帰ろうっす」
と、ここで気になっていたことについて思い出す。
「そういえば、どうしたんすか? さっき思い詰めたような顔してたっすけど」
葉奈は下駄箱に向かって歩きながら訊く。
朔良もそれに続き、葉奈の隣を歩きながら答える。
「あー……美久里と喧嘩しちゃってさ。どう謝ればいいのかってずっと考えてたんだ」
「なるほどっす。それで今まで残ってたんすね」
朔良がそこまで思い詰めるなんて、よほどのことがあったのだろう。
葉奈はその件に関しては何も出来ないが、励ますことぐらいは出来る。
「ま、頑張れっす。美久里ならきっと許してくれるっすよ」
そうやって、朔良の肩をバンバン叩いた。
もう家に帰らなくてはならない時間だ。
だけど、もう少しここにいたいような気もする。
授業が終わればすぐ家に帰ってしまう葉奈にしては珍しかった。
「お、朔良……っ!」
葉奈は廊下から、見知った姿が教室にあるのを捉えた。
明るく茶色に色付いた長い髪の毛が、微かに揺れる。
窓から差し込んだ光が、朔良の存在をより一層輝かせている。
「……え?」
――だが、何か様子がおかしい。
茶色の瞳は力なく開いており、机に向かって何かぶつぶつ喋っているように見える。
もしかしたら、調子でも悪いのかもしれない。
葉奈は朔良に駆け寄り、声をかけた。
「朔良ー! 大丈夫っすか?」
「おわっ!?」
葉奈は、その光景に唖然とした。
紺色の短いスカートから、純白の清楚な下着がタイツ越しに一瞬見えたから。
「あ……っ」
下着に釘付けになっていた葉奈に気づいたのか。
朔良はすぐさま、バッとスカートを押さえる。
「な、なんかごめん……その……見苦しいもの見せちゃったな……」
「……へ、え? い、いや、別に! うちとしてはご褒美――じゃなくてっすね……! ほんと大丈夫っす……」
顔を赤らめて、何やらもじもじしている様子の朔良に。
あやうく本音が出そうに――いや、実際出てしまった言葉を必死に誤魔化す葉奈。
どこか気まづい雰囲気になってしまった二人の間に、沈黙が流れる。
それを吹き飛ばすように、朔良は努めて明るく言い放った。
「じ、じゃあ、帰るか。葉奈」
「そ、そっすね……帰ろうっす」
と、ここで気になっていたことについて思い出す。
「そういえば、どうしたんすか? さっき思い詰めたような顔してたっすけど」
葉奈は下駄箱に向かって歩きながら訊く。
朔良もそれに続き、葉奈の隣を歩きながら答える。
「あー……美久里と喧嘩しちゃってさ。どう謝ればいいのかってずっと考えてたんだ」
「なるほどっす。それで今まで残ってたんすね」
朔良がそこまで思い詰めるなんて、よほどのことがあったのだろう。
葉奈はその件に関しては何も出来ないが、励ますことぐらいは出来る。
「ま、頑張れっす。美久里ならきっと許してくれるっすよ」
そうやって、朔良の肩をバンバン叩いた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】
暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」
高らかに宣言された婚約破棄の言葉。
ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。
でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか?
*********
以前投稿した小説を長編版にリメイクして投稿しております。
内容も少し変わっておりますので、お楽し頂ければ嬉しいです。
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
最強転生悪役令嬢は人生を謳歌したい!~今更SSクラスに戻れと言われても『もう遅い!』Cクラスで最強を目指します!~【改稿版】
てんてんどんどん
ファンタジー
ベビーベッドの上からこんにちは。
私はセレスティア・ラル・シャンデール(0歳)。聖王国のお姫様。
私はなぜかRPGの裏ボス令嬢に転生したようです。
何故それを思い出したかというと、ごくごくとミルクを飲んでいるときに、兄(4歳)のアレスが、「僕も飲みたいー!」と哺乳瓶を取り上げてしまい、「何してくれるんじゃワレ!??」と怒った途端――私は闇の女神の力が覚醒しました。
闇の女神の力も、転生した記憶も。
本来なら、愛する家族が目の前で魔族に惨殺され、愛した国民たちが目の前で魔族に食われていく様に泣き崩れ見ながら、魔王に復讐を誓ったその途端目覚める力を、私はミルクを取られた途端に目覚めさせてしまったのです。
とりあえず、0歳は何も出来なくて暇なのでちょっと魔王を倒して来ようと思います。デコピンで。
--これは最強裏ボスに転生した脳筋主人公が最弱クラスで最強を目指す勘違いTueee物語--
※最強裏ボス転生令嬢は友情を謳歌したい!の改稿版です(5万文字から10万文字にふえています)
※27話あたりからが新規です
※作中で主人公最強、たぶん神様も敵わない(でも陰キャ)
※超ご都合主義。深く考えたらきっと負け
※主人公はそこまで考えてないのに周囲が勝手に深読みして有能に祀り上げられる勘違いもの。
※副題が完結した時点で物語は終了します。俺たちの戦いはこれからだ!
※他Webサイトにも投稿しております。
余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした
ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。
しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義!
そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。
「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる