98 / 239
第一章 高校一年生(二学期)
かいぐい(朔良)
しおりを挟む
大通りにある有名なアイスクリーム屋はタピ女に近く、小遣い程度のお金で気軽に食べられる。
その上色々な種類のアイスがあり、いつ来ても飽きることはない。
今日のようにいつ雨が降るとも知れない天気だとしても、女子高生はこういうお店に寄っていくだろう。
「……学校帰りにこういう店に寄るなんて、まるで女子高生みたいで嬉しいです」
「いや、あたしたち女子高生だろ」
萌花は様々な種類のアイスを輝いた目で見回しながら、朔良と会話をする。
店内は少し狭いが、イートインスペースもちゃんと確保されている。
朔良はポッピングシャワーを、萌花はティーオーレを購入した。
「もしかして萌花って、買い食いとかあんましないのか?」
「あ、ここまではしゃいでると分かっちゃいますよね……いつも真っ先に家に帰るので、お店で食べるのはすごく新鮮なんです」
「なるほど、だからそんなお菓子食べてる時みたいな顔しながら食べてるのか」
「えっ……!?」
咄嗟にアイスのカップで顔を隠す萌花に、「冗談だ」と伝える。
耳まで真っ赤に染まってはいるが、頬を膨らませる萌花を見るのは今が初めてだった。
「もう……恥ずかしいじゃないですか」
「ごめんって」
どうやら、お菓子を食べている時に顔が蕩けてるという認識はあったらしい。
その面白い表情と反応を肴にして、朔良はアイスを口に入れる。
しかし、こうして話していると萌花は……
「結構表情豊かだよなぁ」
「は、はい? 私ですか……?」
「おう。なんか正直、最初は仲良くなれないタイプだと思ってたんだよな。なんか腹の底が見えないっていうか、何考えてるのかわからないみたいな?」
「そ、そうなんですか……」
少しショックを受けている風な萌花に、朔良は咄嗟に取り繕う。
「いや、あくまで最初はそうだっただけだから! 今は全然そんなこと思ってない……から……?」
そんなことをあたふたしながら言っていると、萌花の顔がどんどんテーブルへと沈んでいく。
もしかしたら地雷を踏んでしまったのかも知れない。
「いえ、分かってはいるんです。でも、どうしても昔友人たちが仲違いしてしまったことを思い出してしまって……人と仲良くなるのが怖いんです」
萌花はそこまで言って、深く息を吸い、吐く。
しかし、それは溜め息というようなものではなく、どちらかというと、もっとポジティブなもののように感じられた。
そしてそれを裏付けるように、顔を上げた彼女の表情は、一転して明るいものとなっていた。
「だから私、すごく嬉しかったんです。朔良と……みんなと、仲良くなることができて」
少し長いまつげの端を光らせたその顔には、柔らかな笑みが浮かんでいる。
朔良にはもったいないくらいの、その真摯な想いに応えたい。そう心の底から感じた。
「うん。あたしも……萌花と友達になれて良かった」
「……ふふ、ありがとうございます」
口元に手をあてて小さく笑う萌花は、まるで周囲から切り離されたように綺麗で……思わず見とれてしまっていた。
その上色々な種類のアイスがあり、いつ来ても飽きることはない。
今日のようにいつ雨が降るとも知れない天気だとしても、女子高生はこういうお店に寄っていくだろう。
「……学校帰りにこういう店に寄るなんて、まるで女子高生みたいで嬉しいです」
「いや、あたしたち女子高生だろ」
萌花は様々な種類のアイスを輝いた目で見回しながら、朔良と会話をする。
店内は少し狭いが、イートインスペースもちゃんと確保されている。
朔良はポッピングシャワーを、萌花はティーオーレを購入した。
「もしかして萌花って、買い食いとかあんましないのか?」
「あ、ここまではしゃいでると分かっちゃいますよね……いつも真っ先に家に帰るので、お店で食べるのはすごく新鮮なんです」
「なるほど、だからそんなお菓子食べてる時みたいな顔しながら食べてるのか」
「えっ……!?」
咄嗟にアイスのカップで顔を隠す萌花に、「冗談だ」と伝える。
耳まで真っ赤に染まってはいるが、頬を膨らませる萌花を見るのは今が初めてだった。
「もう……恥ずかしいじゃないですか」
「ごめんって」
どうやら、お菓子を食べている時に顔が蕩けてるという認識はあったらしい。
その面白い表情と反応を肴にして、朔良はアイスを口に入れる。
しかし、こうして話していると萌花は……
「結構表情豊かだよなぁ」
「は、はい? 私ですか……?」
「おう。なんか正直、最初は仲良くなれないタイプだと思ってたんだよな。なんか腹の底が見えないっていうか、何考えてるのかわからないみたいな?」
「そ、そうなんですか……」
少しショックを受けている風な萌花に、朔良は咄嗟に取り繕う。
「いや、あくまで最初はそうだっただけだから! 今は全然そんなこと思ってない……から……?」
そんなことをあたふたしながら言っていると、萌花の顔がどんどんテーブルへと沈んでいく。
もしかしたら地雷を踏んでしまったのかも知れない。
「いえ、分かってはいるんです。でも、どうしても昔友人たちが仲違いしてしまったことを思い出してしまって……人と仲良くなるのが怖いんです」
萌花はそこまで言って、深く息を吸い、吐く。
しかし、それは溜め息というようなものではなく、どちらかというと、もっとポジティブなもののように感じられた。
そしてそれを裏付けるように、顔を上げた彼女の表情は、一転して明るいものとなっていた。
「だから私、すごく嬉しかったんです。朔良と……みんなと、仲良くなることができて」
少し長いまつげの端を光らせたその顔には、柔らかな笑みが浮かんでいる。
朔良にはもったいないくらいの、その真摯な想いに応えたい。そう心の底から感じた。
「うん。あたしも……萌花と友達になれて良かった」
「……ふふ、ありがとうございます」
口元に手をあてて小さく笑う萌花は、まるで周囲から切り離されたように綺麗で……思わず見とれてしまっていた。
0
あなたにおすすめの小説
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!
カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地!
恋に仕事に事件に忙しい!
カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m
レンタル従魔始めました!
よっしぃ
ファンタジー
「従魔のレンタルはじめました!」
僕の名前はロキュス・エルメリンス。10歳の時に教会で祝福を受け、【テイム】と言うスキルを得ました。
そのまま【テイマー】と言うジョブに。
最初の内はテイムできる魔物・魔獣は1体のみ。
それも比較的無害と言われる小さなスライム(大きなスライムは凶悪過ぎてSランク指定)ぐらいしかテイムできず、レベルの低いうちは、役立たずランキングで常に一桁の常連のジョブです。
そんな僕がどうやって従魔のレンタルを始めたか、ですか?
そのうち分かりますよ、そのうち・・・・
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
弟を探す旅の途中、身分を隠して村で薬師として生きていたセラは、
ハープの音に宿る才を、名も知らぬ貴族の青年――王弟レオに見初められる。
互いの立場を知らぬまま距離を縮めていく二人。
だが、ある事件をきっかけに、セラは彼の屋敷で侍女として働くことになり、
知らず知らずのうちに国を巻き込む陰謀へと引き寄せられていく。
人の生まれは変えられない。
それでも、何を望み、何を選ぶのかは、自分で決められる。
セラが守ろうとするものは、弟か、才か、それとも――
キャラ設定・世界観などはこちら
↓
https://kakuyomu.jp/my/news/822139840619212578
【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】
暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」
高らかに宣言された婚約破棄の言葉。
ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。
でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか?
*********
以前投稿した小説を長編版にリメイクして投稿しております。
内容も少し変わっておりますので、お楽し頂ければ嬉しいです。
婚約者はこの世界のヒロインで、どうやら僕は悪役で追放される運命らしい
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
僕の前世は日本人で25歳の営業マン。社畜のように働き、過労死。目が覚めれば妹が大好きだった少女漫画のヒロインを苦しめる悪役令息アドルフ・ヴァレンシュタインとして転生していた。しかも彼はヒロインの婚約者で、最終的にメインヒーローによって国を追放されてしまう運命。そこで僕は運命を回避する為に近い将来彼女に婚約解消を告げ、ヒロインとヒーローの仲を取り持つことに決めた――。
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる