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第一章 高校一年生(三学期)
たねまき(美久里)
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さぁ、待ちに待った久しぶりの昼休み。
いつもは教室で弁当を食べているが、今日は外に置いてあるベンチに腰掛けている。
葉奈が手作り弁当を持ってきて振舞ってくれるようなので、美久里はいつも以上に昼休みを楽しみにしていた。
大いに期待していた葉奈のお手製弁当は、その期待を上回るほどのものだった。
卵焼き、唐揚げ、ほうれん草のソテーなどなど……色とりどりで、どれも優しくて温かい美味しさで。
「はー……すごく美味しかった……満腹満腹」
「ははは、大げさっすよ。でも、ありがとっす」
満足そうにお弁当をバッグにしまう葉奈を見ていると、本当に料理が得意なのだと羨ましくなる。
葉奈は料理部に入っており、朔良と同じ部活に所属している。
ちなみに、同好会と部活の兼部はOKされている。
同好会と同好会、部活と部活はダメだが。
「そうっす、美久里! 見て頂きたいものがあるんす……!」
「ん、なになに?」
葉奈はカバンから小さな袋を引っ張り出し、対照的に大きな胸の横へと持ち上げた。
そこには「アイビー」と書かれている。
「ここが少し殺風景なのが気になってて、お花とか植えてみたらどうかなーと思っているんすよ」
「あー、確かにこの辺、ちょっと寂しい感じするよね」
ここは少し花が咲いていて、昔は綺麗だったらしき雰囲気を感じさせるものは沢山ある。
整備すれば花を育てることも可能かも知れなかったが……しかし。
「でもここ、あんまりスペースないけど……」
花壇には既にちらほらと花が植えてある。
本当に植えても大丈夫なのだろうかと不安になる。
だが、反対に葉奈の表情は明るい。
「大丈夫っす。生命力は強いらしいっすから!」
「きっと」と付け足したのは聞こえなかったことにしておこう。
いささか見切り発車感はあるが、それもいいだろう。
美久里は、その辺に転がっていたスコップで花壇にある小さなスペースを大きくしていき。
葉奈は、自分のカバンから引っ張り出した肥料を手慣れた様子で撒いていく。
美久里の視線に気付いた葉奈は何を思ったのか、肥料を渡してにっこりしている。
別に美久里はやらせて欲しかったわけではないのだが、見よう見まねでせっせと撒いていく。
「とりあえず、これくらいでいいのかな?」
「うーん、ガーデニングには詳しくないので何とも言えないっすけど……大丈夫と信じようっす!」
もし育たなかったらどうしようかと不安になりながらも、何粒か土に埋める。
(無事に育ってくれますように……)
そう念じる美久里の隣で――どこから用意したのか――葉奈が綺麗なじょうろを手に持っている。
どれくらい水をやれば良いのかも分からないので、これまた適当にばらまくことにした。
「……結構適当っすね、うちら」
「確かにね。まぁでも、『絶対完璧に育てる!』っていうんじゃなくて、これくらいラフなほうが良いんじゃないかな?」
「ま、そうかも知れないっすね」
そんなような会話を交わし、二人で仲良く教室へ戻っていった。
いつもは教室で弁当を食べているが、今日は外に置いてあるベンチに腰掛けている。
葉奈が手作り弁当を持ってきて振舞ってくれるようなので、美久里はいつも以上に昼休みを楽しみにしていた。
大いに期待していた葉奈のお手製弁当は、その期待を上回るほどのものだった。
卵焼き、唐揚げ、ほうれん草のソテーなどなど……色とりどりで、どれも優しくて温かい美味しさで。
「はー……すごく美味しかった……満腹満腹」
「ははは、大げさっすよ。でも、ありがとっす」
満足そうにお弁当をバッグにしまう葉奈を見ていると、本当に料理が得意なのだと羨ましくなる。
葉奈は料理部に入っており、朔良と同じ部活に所属している。
ちなみに、同好会と部活の兼部はOKされている。
同好会と同好会、部活と部活はダメだが。
「そうっす、美久里! 見て頂きたいものがあるんす……!」
「ん、なになに?」
葉奈はカバンから小さな袋を引っ張り出し、対照的に大きな胸の横へと持ち上げた。
そこには「アイビー」と書かれている。
「ここが少し殺風景なのが気になってて、お花とか植えてみたらどうかなーと思っているんすよ」
「あー、確かにこの辺、ちょっと寂しい感じするよね」
ここは少し花が咲いていて、昔は綺麗だったらしき雰囲気を感じさせるものは沢山ある。
整備すれば花を育てることも可能かも知れなかったが……しかし。
「でもここ、あんまりスペースないけど……」
花壇には既にちらほらと花が植えてある。
本当に植えても大丈夫なのだろうかと不安になる。
だが、反対に葉奈の表情は明るい。
「大丈夫っす。生命力は強いらしいっすから!」
「きっと」と付け足したのは聞こえなかったことにしておこう。
いささか見切り発車感はあるが、それもいいだろう。
美久里は、その辺に転がっていたスコップで花壇にある小さなスペースを大きくしていき。
葉奈は、自分のカバンから引っ張り出した肥料を手慣れた様子で撒いていく。
美久里の視線に気付いた葉奈は何を思ったのか、肥料を渡してにっこりしている。
別に美久里はやらせて欲しかったわけではないのだが、見よう見まねでせっせと撒いていく。
「とりあえず、これくらいでいいのかな?」
「うーん、ガーデニングには詳しくないので何とも言えないっすけど……大丈夫と信じようっす!」
もし育たなかったらどうしようかと不安になりながらも、何粒か土に埋める。
(無事に育ってくれますように……)
そう念じる美久里の隣で――どこから用意したのか――葉奈が綺麗なじょうろを手に持っている。
どれくらい水をやれば良いのかも分からないので、これまた適当にばらまくことにした。
「……結構適当っすね、うちら」
「確かにね。まぁでも、『絶対完璧に育てる!』っていうんじゃなくて、これくらいラフなほうが良いんじゃないかな?」
「ま、そうかも知れないっすね」
そんなような会話を交わし、二人で仲良く教室へ戻っていった。
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