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第一章 高校一年生(三学期)
かえりみち(葉奈)
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部活が終わり、葉奈たちは昇降口に向って歩いていた。
紫乃が葉奈の隣を歩いているのは、なんだか妙に安心感がある。
「紫乃ちゃんの家ってどこにあるんすか?」
「向こうにある駅の近くだよ~」
「そっすか、なら途中まで一緒かもっす」
「そうなの~?」
「うちの家はちょっと遠いんすけど、駅の方に行ってそこから電車に乗るんすよね」
「あ、じゃあ~……そこまで一緒に帰らない?」
なぜか少し頬が赤くなった紫乃が訊く。
クラスでこんな風に赤くなっているところもよく見るが、それとこれとは何かが違う気がした。
不意にイラストを見られた時とは違った反応を示したから。
それは、特別な人に向けるような顔で――
しかしそれは気のせいだろうと、変な思考を振り切る。
そんな葉奈の様子に不安になったのか。
「あ、あの、葉奈ちゃん?」
まだ頬を赤くしている紫乃が、ちょっと目を潤ませながら葉奈を見ていた。
「あ、えっと、迷惑だったらいいけど~。離れて歩くし~……」
どうやら葉奈が考え事をしてぼーっとしていたのを、紫乃はマイナス方面にとらえてしまったらしい。
「いやいや、もちろんいいっすよ。一緒の方向なんすし。それに、うちはもうそのつもりで歩いてたっすよ」
「えっ、そうなの? よかった~……」
心底ほっとしたような顔で、右手を胸の前で軽く握って息を少し吐いた。
「ごめんっす。ちょっと考え事してて」
「考え事~?」
「うん、そうっす」
葉奈は、軽くうなずいた。
「何を考えていたの~?」
紫乃が首を傾げながら、疑問を問いかけてきた。
「え? んー、紫乃ちゃんはすごいなーとかっすかね」
「えぇ? そ、そんなことないよ~。ぼ、僕なんて全然ダメダメだよ~」
慌てたように首を振り、否定してくる。
そんな紫乃がおかしくて、少し笑う。
「ダメだなんて、そんなことないと思うっすけど」
「も、もう遅い時間だからっ、早く帰ろ~」
紫乃は少し早足で、玄関から出て行った。
それが照れ隠しのように見えて、葉奈はさらに笑みを深くして、そのあとを追った。
「待てっす、紫乃ちゃん」
今日という日は、きっと紫乃と歩く道の最初の一歩だったんだと思う。
これから先、共に歩む時間の、始めの一歩。
紫乃が葉奈の隣を歩いているのは、なんだか妙に安心感がある。
「紫乃ちゃんの家ってどこにあるんすか?」
「向こうにある駅の近くだよ~」
「そっすか、なら途中まで一緒かもっす」
「そうなの~?」
「うちの家はちょっと遠いんすけど、駅の方に行ってそこから電車に乗るんすよね」
「あ、じゃあ~……そこまで一緒に帰らない?」
なぜか少し頬が赤くなった紫乃が訊く。
クラスでこんな風に赤くなっているところもよく見るが、それとこれとは何かが違う気がした。
不意にイラストを見られた時とは違った反応を示したから。
それは、特別な人に向けるような顔で――
しかしそれは気のせいだろうと、変な思考を振り切る。
そんな葉奈の様子に不安になったのか。
「あ、あの、葉奈ちゃん?」
まだ頬を赤くしている紫乃が、ちょっと目を潤ませながら葉奈を見ていた。
「あ、えっと、迷惑だったらいいけど~。離れて歩くし~……」
どうやら葉奈が考え事をしてぼーっとしていたのを、紫乃はマイナス方面にとらえてしまったらしい。
「いやいや、もちろんいいっすよ。一緒の方向なんすし。それに、うちはもうそのつもりで歩いてたっすよ」
「えっ、そうなの? よかった~……」
心底ほっとしたような顔で、右手を胸の前で軽く握って息を少し吐いた。
「ごめんっす。ちょっと考え事してて」
「考え事~?」
「うん、そうっす」
葉奈は、軽くうなずいた。
「何を考えていたの~?」
紫乃が首を傾げながら、疑問を問いかけてきた。
「え? んー、紫乃ちゃんはすごいなーとかっすかね」
「えぇ? そ、そんなことないよ~。ぼ、僕なんて全然ダメダメだよ~」
慌てたように首を振り、否定してくる。
そんな紫乃がおかしくて、少し笑う。
「ダメだなんて、そんなことないと思うっすけど」
「も、もう遅い時間だからっ、早く帰ろ~」
紫乃は少し早足で、玄関から出て行った。
それが照れ隠しのように見えて、葉奈はさらに笑みを深くして、そのあとを追った。
「待てっす、紫乃ちゃん」
今日という日は、きっと紫乃と歩く道の最初の一歩だったんだと思う。
これから先、共に歩む時間の、始めの一歩。
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